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WALL  作者: 小空
2/6

1:目覚め

こちら側に、わたし

向こう側に、あなた



目が覚めれば、冷たいコンクリートの壁によりかかっていた。

涙が一筋、頬を伝っていた。

何か、とても悲しい夢を見たような気がする。

薄っすらと目を開けてみると薄暗い部屋に、鉄格子の窓から伸びる光の筋が3本。

見回すと、そこは映画なんかでしか見たことのない、そう、丁度牢獄のような場所。

頭の中では、夢じゃないかと考えながらも、背中から伝わる冷たさに嫌な汗が流れる。

じわりじわりと恐怖が滲む。

「私の、部屋じゃ・・・ない」

腰を上げようとした私は何かに動きを阻止された。

左腕が・・・ない。

いや、正確にはコンクリートの壁に開いた直径10センチほどの穴に私の左腕は突っ込まれていた。

どれだけ引っ張っても抜けない。

手首が何かに固定されている。

冷たい、金属に巻かれているような感覚。

穴に突っ込まれている左の手首は、穴の中で手錠で固定されているのだ。

それも、電気椅子なんかに付いている様な太い金属の輪で。

これじゃ、本当の囚人みたいじゃない!

現実ではありえない風景に、混乱する。

でも、肌に感じる寒気や、流れる汗や、手首の金属の触れる感覚は確かなもののように思う。

怖いから大声を出すことも、穴を覗き込むこともできない。

ただ呆然とコンクリートに背中を預けて、辺りを見回した。

震える唇をこじ開けて、静寂に溶け込ますような、消えるような小さな声で呟いた。


「ここは、どこ?」

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