お風呂とステータスと現状確認
この小説はKE・N・ZE・Nですので、R-18,15の描写はありませんので期待はしないでください。
俺はいま風呂に入っている。
風呂と言ってもこの屋敷の風呂はもう温泉だ。一階に降りたあと中央の扉を開き左の通路を進み、一番奥の右の扉そこが浴場となっている。
だが、この浴場がとても広く、脱衣所はもはや銭湯のそれだった。そして、脱衣所を出ると人が20人は入れそうな温泉に露天風呂も完備してあり。もちろん男湯と女湯が分かれている。
なのに今、男湯には二人が入浴している。
...そう、ネリィとハルだ。
二人は露天風呂にいた。こちらは屋内の温泉と違って少々手狭だが、二人で入るには十分に広い。ハルは壁にもたれながら、ネリィはハルに持たれながらそれぞれ温泉を堪能していた。温泉に入り、ネリィの濡れた髪が妖しく光る。ネリィは俺の肩に頭を預け目を閉じている。そんな中ハルは考えていた。
(なんでこうなったんだ?)
ことは、少し前に遡る。
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「いや、ネリィ...いくらなんでも女の子が男と一緒に風呂に入るのはどうかと思うぞ?」
「...ダメ?」
「むぅ...ダメだ」
ネリィが上目遣いで聞いてくる。ハルは今まで人と深く関わってこなかった。それ故に、人に対する壁は厚いものの、一度通してしまえばその人との壁がなくなってしまうのだ。
それに、初めてまともに話した相手が、ネリィのように自分と似たような人間であれば、つい甘やかしたくなるものだ。
「流石にこれと言う理由がない限り無理だな。今回ばっかりは」
「私は監視者...いつでも見張って「それについては大丈夫だ」...?」
「俺は長風呂だから、先にネリィが上がれば俺は何もできないし。あそこの塀はな、内からも外からも通行できないようになっているからな」
「むぅ...」
ネリィが唸りながらこちらを見てくる。俺は石鹸などを持ち、男湯へと行こうとすると、ネリィが俺の服を引いた。
「なんだ?まだ言うことがあるのか?」
さすがにこれ以上御託は並べられないだろうと思っていたハルは、ネリィの思っていた以上の諦めの悪さを知らなかった。
「洗い方...分からない」
「...おまえ、風呂入ったことあるって言ってたよな?」
「ある...けど、アンセン様と...一緒だった」
「アンセン?」
「女神...フィア=アンセン様」
「あぁ、女神の名前か。で?それとこれと何が関係あるんだ?」
「アンセン様に...いつも洗われてた」
「え!?」
まさかだ...まさか、神が従者の髪を泡っているとは思はなかった。だが、
「それでも一人で洗えるはずだ。なんせ石鹸で体を洗って、シャンプーで髪を洗うだけだからな」
ちなみに、この世界にシャンプーはなく雑多倉庫の中にいろいろと入っていた。倉庫は脱衣所の向かいなので、取りに行くのは楽だ。
「無理...今まで洗ったことない...つまり洗えない」
「む...」
「ハルはいいの?...髪も洗ってない子が...隣を歩いてても」
「うぅ...それは」
もうここまで来たら、理由じゃなくてゴリ押しだ。
(ネリィの性格を甘く見てたな。ここまで押しが強いとは、無口な奴だったからもっと消極的だと思ってたが。...腹を決めるか)
「分かった。そこまでいうなら仕方が無い。一緒に入ろうか」
「うん!」
ネリィはとてもいい顔で笑った。
「じゃあ先に行け」
「...?」
「いや、そんな不思議そうな顔をされても...」
「一緒に行けばいい」
「着替えばっかりは無理、ほんと無理」
「目を閉じてればいい」
「...どうしても?」
「どうしても」
畜生!もうここまで来たらヤケだ!
「じゃあそうするか」
俺は目を閉じて服を脱いだ、倉庫にはタオルもあったので絶対に見られないように手早く腰に巻いた。
「もういいか?」
「...ん。いい」
目を開けると、目の前にタオルを体に巻き付けたネリィが立っていた。
肌は処女雪のように白くきめ細かい。体型に大きな起伏はなく、年相応に幼い。頬は少し上気している。
(そんなに恥ずかしいなら別で入ればいいのに...謎だ)
「行くか」
「...うん」
脱衣所から出て浴場に入った。
「...広いな」
「...そう?」
「お前はどんな風呂に入ってたんだ...」
呆れながらそう言う。風呂場は手前に鏡とシャワー、椅子が10組ある。奥には風呂...温泉があり、右に扉がある。そこから露天風呂に行けるのだろう。
「じゃあ体を流してから風呂に行くか」
「わかった」
俺とネリィは右のシャワーと石鹸を使い、先に自分を洗い、シャンプーで頭を洗う。次にネリィを洗うが、ネリィが体を洗っている間に頭を洗うことになった。
俺が後ろからネリィの頭を洗い、泡を流す。そして、体を洗うためにネリィがタオルを外し体を洗っていく。その間、何をしようかと考えていると。
「ハル...背中、洗って」
「ん?あいよ」
泡立ったタオルを受け取り、ネリィの背中を拭いていく。触れば壊れてしまいそうなほど華奢な体で、力加減が難しかった。
「ほれ、終わったぞ」
「ありがとう」
体に残った泡をシャワーで流し、タオルを巻きなおす。ネリィが立ち上がって、手を引っ張り。
「露天風呂に...行きたい」
「おう、いいぞ行くか」
ネリィが頑なに手を離そうとしないので繋いだままで露天風呂まで行った。ネリィは終始俯いていたが...。
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そして冒頭に戻る。ちなみに、手はまだ繋いだままだ。俺は今、妹がいたらこんな感じなのだろうかと思いながら、ネリィの頭を撫でていた。ネリィは気持ちよさそうに身を寄せ、暖かな時間が過ぎていった。空には星が爛々と輝いていた。
「そろそろ上がるか?」
「...うん」
ネリィが真っ赤になった顔で言う。
「大丈夫か?のぼせた?」
「らい...じょうふ」
「いや、ろれつが回ってないぞ」
フラフラしながらネリィが歩いていき。そして、
「ネリィ...おぶってやるから来な」
「...ごめんなさい」
「だから謝るなって...こういう時は謝罪じゃないだろ?」
「...あり...がとう」
ネリィが背中に顔をうずめながら言う。背中に冷たいものが伝った気がした。
案の定ネリィはのぼせていた。
「着替えられるか?」
「...うん」
おぼつかない動きで水色パジャマを着ていく。パジャマはこの世界にはないはずだよな。てか、この世界にないものを持ってきすぎだろあの駄神。
「...終わった」
「そっか、こっち来い」
「ん」
ペタペタと音を立てて歩いてくる。そして、膝の上に座った。...あれ?俺は隣のところを指したはずだよな?何故に膝の上?
...まぁ、いいや
細かいことは気にしないことにした。膝の上にいるネリィに団扇で風を送る。ネリィは気持ちよさそうに体の力を抜く。
「次からはのぼせそうになったら言うんだぞ」
「うん...でも、これなら...たまには.........」
「ん?最後なんて言った?」
「...なんでもない」
「...そっか」
そのまま穏やかな時間が経ち、部屋に移動することにした。ネリィが船を漕ぎ出してきた。もう、12時くらいだろうか?ネリィを背負いながら部屋まで戻った。ネリィをベットに降ろし、俺もベットに腰掛けた。
「ハル?...寝ないの?」
「寝るよ...でも、ネリィが寝たらね」
「...なにかするの?」
ウトウトしながらもネリィが聞いてくる。そんなに信用ないかね。
「少しね。でも、部屋から出ないから安心して」
「...わかった。でも、眠るまで...手...繋いでてもいい? 」
「いいよ」
そう言い、ネリィの手を握った。ネリィは安心したように、笑い...そして眠った。
(さて、これからどうしたものかな)
遥は別にいかがわしいことをしようとして起きているのではなく、眠れないのだ。正確には知らないところでは慣れるまで...2~3日くらいかかる。眠らないことは慣れているので大して堪えない。だから部屋にあるティーセットで紅茶でも飲んでステータスを見ようとしていたのだが。
(こいつ、手を離さないな)
まさか、ここまで計算づくで手を繋がせたのか?安心しきった顔で眠るネリィを見てそうとしか思えなくなってしまった。
(紅茶は諦めるか...とりあえず、ステータスプレートを見るか)
左手を使い、胸ポケットに入れておいたステータスプレートを取り出した。
(さてさて、いろいろと特典で強化されているはずだが...どうなってるかな?)
小鳥遊 遥 (17) Lv.1
種族 人族
職業 高校生
神の加護
統制の加護
女神の加護
知識の加護
死神の加護
HP 7000/7000(6821up)
SP 5000/4980(4930up)
MP3050/3050(2750up)
STR 2300(2186up)
DEF 2(60down)
INT 2450(2314up)
DEX 9(60down)
AGI 1700(1524up)
LUC −−(???)
スキル
【威圧10/10】【閲覧10/10】【完全操作】【完全隠蔽10/10】【魔力譲渡10/10】【思考加速10/8】【並列思考10/7】【模倣術10/8】【想像魔法】【付与魔法10/9】【空間魔法】【無詠唱10/10】【生成魔法】【魔糸10/8】【電光石火10/9】
称号
神に遊ばれた者 神に殺された者 復讐する者 人間武器庫 魔の想像者 スニーキング・ストーカー 人外認定 知識欲 テンプレGOGO
となっていた。
(どうしよう…どれから突っ込めばいのか分からない)
俺は頭を押さえてステータスプレートを投げたい気持ちを抑えた。まず、上から見ていくか。ステータスプレートは記入してある情報を詳しく知りたいと思うと更に細かい情報が表れる仕組みになっている。
統制の加護…LUCを大幅に向上・知識欲の付与・成長に補正
ネイの野郎...いいやつだったんだな...
女神の加護…LUCの向上・テンプレGOGOを付与
称号のやつはこれが原因だったか。
知識の加護…INTの向上・理解力の向上
これはありがたい、ありがとう、見たこともない引きこもりさん!
死神の加護…LUCの無効化・防御系統の弱体化
なんじゃこりゃ!誰だ死神!怒らないから出てきなさい!...にしてもこれは加護なのか?呪いだろ!
つまりLUCが−になっていたのはこれのせいということか...てか、無効化って何?LUCが無くなったってことか?分からん、今度ネイに聞くか。
防御の弱体は...ステータスを見れば一目瞭然だな、何だこの防御、一桁はないだろ一桁は...まぁでも、ネイが見せてきた平均のステータスを見た感じ問題ないか?まっ、実際に受けないとわからないか...次いこ...
スキルで新しく出ているのは...
【威圧】…神経の鋭い生き物やLv.の高い人間を威圧できる。レベルに応じて範囲・対象・威力が変わる
【閲覧】…対象の情報を開示する。レベルに応じて情報が細くなる
【完全操作】…魔力操作・身体操作の統合スキル。魔力と自分の体の全てを操作・把握できる
【完全隠蔽】…魔力・表情・動きなどをすべてを隠せるレベルに応じてバレにくくなる
【魔力譲渡】…魔力を対象者に譲渡する。対象者のMP上限を超えると発熱・嘔吐などの症状がでる可能性があるので注意。レベルに応じて渡す量を精密に調整できる
【思考加速】…レベルに応じて加速スピードが変わる
1-2倍 2-4倍 3-6倍
【並列思考】…レベルに応じて一度で考えられる数が変わる1-2個 2-3個 3-4個
【模倣術】…見たもの触れたものを模倣する。レベルに応じて模倣にクオリティが上がる
【想像魔法】…全魔法の統合スキル。自分のイメージですべての事象を生み出す
【付与魔法】…ものなどへの魔法・効果の付与。レベルに応じて付与時の効果が変わる
【空間魔法】…亜空間を生み出し転移やモノをしまうなどのことができる。MP依存で大きさ・距離が変わる
【無詠唱】…魔法発動の詠唱を破棄できる。しかし、効果の強いものはできない。レベルに応じて詠唱を破棄できる範囲が変わる
【生成魔法】…生成魔法の武器・防具・道具の統合スキル。あらゆるものを創り出す。レベルに応じて品質・精度が変わる
【魔糸】…魔力によって糸を作り出す。レベルに応じて強度・長さが変わる
【電光石火】…一定時間AGIを5倍にする。レベルに応じて時間が伸びる
う〜ん、多いなとりあえず、全体的に使えそうだけど【模倣術】や【空間魔法】は実際に使わないと良く分からないが、まぁ、使えるだろ。最後は称号だな
神に遊ばれた者…LUCに補正。これは名誉なことなんだよハルちゃん(`・ω・´)
ここにまで登場するなよ!暇なのかあの駄神!
神に殺された者…LUCに補正。ごっめ〜ん(´>∀<`)ゝ
ごっめ〜ん...じゃねぇよ!説明がいちいちうざいな!
復讐する者…強者との戦闘中全ステータスが上がる。てか、鼻が無くなった程度で怒るなよっ(●`з´●)
...いや、強いのは分かるんだけど、いちいち最後の顔文字で台無しなんだよ
人間武器庫…一人で多数の武器を所持できる。ラ〇ボー
かよ(*´艸`*)
ラ〇ボーって...バズーカーとか作れんぞ...
魔の想像者…新しい魔法を作り出すことに補正がかかる。う〜ん、創造者の劣化版かな?(´・ω・`)?
新しい魔法か...魔法ってイメージで作るから新しいとかあるのか?まぁ、イメージがかたまりやすいとかかな?
スニーキング・ストーカー…足音を立てず気配を消して移動できる。これでキミもストーカーだね( -`ω-)b
人外認定…人の枠を超えた者。特典だけで人外って...良かったね?(ー'`ー;)
俺人間なんだけどなぁ。まだ戦闘したことないし、戦闘すれば分かるか。
知識欲…【模倣術】のスキルを使えるようになる。写〇眼みたいだってばよ。(≧∇≦)b
【模倣術】はありがたいが、たとえが悪くないか?
テンプレGOGO…異世界ならテンプレだよね?フィアはこれを付与したのか...( ̄▽ ̄;)
テンプレ?異世界?よくわからんな。
さて、これで全部かな。かなり変わっていたが特に変わった感じがしないんだよなぁ。まぁ、明日になれば分かるか。
(さて、後数時間何して時間を潰すかな?)
左手は今だネリィに掴まれているのでお茶も飲めない。...寝てみるか。ネリィの隣に横になり天井を見ながら目を瞑り。寝ようかと思ったとき、
「...ママ」
「ネリィ?」
消え入りそうな声でネリィが寝言を言った。目からは涙が垂れていた。
「...」
指の背で涙をすくい、頭を撫でてやった。
「俺はここにいるからな...ネリィ」
そう言うと俺の腕を強く抱きしめ、安心したように笑いながら眠っていた。俺は日が昇るまで頭を撫で続けていた。
はい、やっとステータスを公開できました。かなり急ぎ足だったような気もしますが。まぁ、目を瞑ってください、次回はテンプレをご期待ください。