【第一章‡白昼夢{デイドリーム}】
僕の名前は高橋拓夢、高校一年生だ
「ファァァ、眠い・・・」
「よっ!おはよう」
「ん?あぁ、おはよう」
こいつは、中学の頃からの親友、富山晶翔
「なんだよ、寝不足か?」
「いや〜なんか、昔、ばあちゃんに寝る前に
聞かされた夢を見てさ〜」
「どんな?」
「えーと、『この世が、闇に染まる時、
その魔獣が目覚め人々を喰らいにやって来る・・・・』
とか?」
「なんだ、それ?」
「さあ〜、夜遅くまで起きてた時に、言われたから、
ただの脅しだよ、てかヤベ!もうこんな時間だ」
俺達は急いで学校に向かった
“学校”
「はぁはぁ、ギリセーーフ」
「朝から疲れた〜」
なんとか、チャイムが鳴る一分前に教室に着いた
「あれ?」
「どうした?」
「みんないないぞ?」
「はぁ?」
僕は辺りを見渡したら、確かに、
そこにはクラスメイトの姿がない
「今日、日曜日じゃないよな?」
僕は携帯電話を取り出し、日にちを見た
「今日は火曜日だ」
「今日なんかあったっけ?」
「いや、ない・・・」
その時、辺りが暗闇に包まれた
「えっ?なんだ!」
「今、朝だったよな?」
ひたひた、と廊下の方から何かが近づいて来る
「なんなんだよ、次から次へと」
「は、早く逃げようぜ!」
「あぁ!」
俺達は急いで昇降口に向かい階段を降りて行くが
なかなか一階に着かない・・・
「くそ!なんで一階に着かないんだよ!」
「はぁはぁ・・・さっきから同じ階を回ってない!?」
「そんな訳・・・マジだ」
ひたひた・・・
「「!?」」
そこには、10~12歳くらいの男の子がいた
「なんだ子供か〜」
「・・・・」
「どうした?」
「なんで?ここに子供が居るんだ・・・」
その男の子はニコッと不気味に笑いながら近づいて来た
「「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」」
俺達はダッシュで逃げ、理科室に駆け込んだ
「はぁはぁ・・・もうなんなんだよ!」
「はぁはぁ・・・もうダメ走れない・・・」
「そういえばよ、さっきお前が話した話と似てないか?これ」
「『この世が、闇に染まる時、
その魔獣が目覚め人々を喰らいにやって来る』ってやつ?」
「うん、それ」
「確かに似てる気がするが、あれは昔話だぞ?」
「もしかしたらってこともあるぞ」
「『夢』ってことか・・・」
「そうだよ、これはきっと夢だ」
「でも、俺達は起きてたぞ?」
「あれだよ・・・えっと・・・」
「デイドリームってやつ?」
「それだ!」
「だとしてもどうやって出るんだよ?」
「それはなんかのきっかけとか・・・」
「具体的に言うと?」
「さっきの子供を倒すとか」
「つまりこの空間を作ってるのがあいつってことか・・・
でも、どうやって倒すんだ?」
「それは・・・」
「無いのかよ」
「と、とりあえず、武器になりそうなやつ見つけようぜ」
俺達は理科室を隅々まで探した
〜5分後〜
「なんかあったか?」
「えーと、ほうきとモップと・・・爆竹」
「なんで学校に爆竹あるんだよ!」
「この際、なんでもいいよ、そっちは何かあった?」
「ほうきと鏡とカッターと・・・私物の短刀の木刀」
「なんで木刀持って来てんだよ!」
「いや〜ばあちゃんに世の中は危ないから持たされてる」
「・・・まー、いいや、行こう」
俺達は理科室を後にした
「まだいるか?」
「いや、よく見えない・・・!」
ひたひた・・・
「来たな、行くぞ」
晶翔は不気味な子供の足元に爆竹を投げつけ、
動きを封じ、俺がほうきで畳み掛けた
「はぁぁぁぁ!」
「やったか?・・・」
不気味な子供は倒れた・・・・
「ニヤ・・・」
「えっ!」
「効いて・・・!」
俺は腕を強く掴まれた
「いっ・・くそ!離せ!」
「拓夢!」
晶翔は不気味な子供の腕をほうきでぶっ叩いた
「大丈夫か?」
「なんとか・・・いたっ!」
掴まれた腕が紫色になって力が入らない
「あいつの腕力、子供・・・いや人間の腕力じゃない・・」
「骨は折れてないのか?」
「そういや、紫色になってるけど折れて・・・・」
「きぁぁぁぁぁぁぁ!」
「なんだ、これ!」
「頭が・・・痛い!」
叫び声をあげ、子供の姿から悪魔の姿に変化し、
俺達の方に走って来た
「あれが本性か」
「どうやって倒すんだよ」
「やるしかないだろ」
晶翔は悪魔にほうきで振りかざしたが、
ほうきを掴まれ、蹴り飛ばされた
俺は、構わず木刀で畳み掛けた
「はぁぁぁぁぁぁ!」
「ぐちゃぁぁぁぁぁぁ」
「ぎゃぁぁぁぁぁぁ!」
悪魔の右腕を切り落とした
「効いてる?いける」
俺は連続で畳み掛けた
悪魔は弱り切り姿を消した
「やったのか?」
「いや逃げた」
「そっか、でもなんとか追っ払ったな」
「それより大丈夫か?」
「たいしたことはない・・・!」
急に辺りが明るくなり光に包まれ、気づいたら、
俺達は学校の校門前に居た
「さっきまで学校の中に居たよな?」
「あぁ」
「そういえば、お前腕は?」
「!」
強く握られた腕には跡が残っていた
「さっきまでのは夢じゃないってことか」
「そうゆうことだな」
俺達はこれからこの町に何が起きるか
今は知らなかった・・・・
【第一章‡白昼夢{デイドリーム}】 完