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特進の少年は元恋人の編集者になりたい

作者: ナベノヂ
掲載日:2025/12/03

特進の少年は夢を叶えたい。

「2学期の期末テストの範囲を言います」

僕は筆箱から赤色のペンを取り出す。

「ま、プリントで既に知ってると思うけど。えっと」

理科の先生は範囲を教える。

それを聞きながら、僕たち13人の生徒は教科書に印をつける。

「宿題もきちんとあるから、きちんとするように。

特進なので、頑張ってください」


授業後、席から立ち上がる人はいない。

皆、参考書を解く。

特進だから、いつもの光景。

県でトップクラスの高校だし、期末テストも近いから。


まだ、1年生なんだけどなー。

僕はついていくのに必死、何とか食らいついている。

好きな本もなかなか読めない。


でも、僕には夢があるし。


勿論、7時限目が終わっても、家で勉強。

「塾じゃないか」て?

宿題が大量にあるから塾に通ってたら留年確定なんだよなあ、特進だから。




そして、日曜日の朝。


「うーん。

いい目覚め」

背を伸ばし、僕は言う。

「休みだーっ」

そう、休み、本当の休み。

土曜日は、宿題と予習復習で1日潰れるから。


まあ、夢のためだから。

叶えたい夢、誓った夢。


「本読もう」

好きな本。

「好きな人が書いた、好きな本」

日曜日は、いつもそれにつかう。




『私、高校に入らないでプロとして生きていく』

『そっか』

『だから、キミとも別れないといけない』

『うん、新人だし、作家って生きていくだけでも大変そう。しかも、大企業じゃん。頑張らないと』

『今まで、ありがとう。本当にありがとう』

『…いやいや、こっちこそ。作品をいつも読ませてくれて、ありがたかったよ』


中3の春、学校で進路を決めた日の帰り道、僕は言われた。

元恋人になるか、別れたから。ケンカして別れた訳ではないんだけど。


「僕は、編集者になる」

元恋人の編集者になって、支えたいから。

約束はしていないけど、好きだったし、頑張る姿が。迷惑かもしれないけど。

「そのためには、食らいついて、いい大学に入らないと」


平凡だったけど、なんとか県でトップクラスの高校に合格できた。

そして、特進、特別進学クラス、東大とか、早稲田とか、そういう大学に絶対入りたい人のクラスに、入れた。


「最終目標は、あの子と世界一。

そのために、あの大企業。

いい大学に入らないと。

まずは、期末テストを。

はあ」

大変だけど、僕は心の中で誓ったから。


あの子の出した本を日曜日に読み、また明日から頑張ろうって思うんだ、いつも。

ありがとうございました。

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