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第4話 — 老母の家と境界の余韻

やがて、集まっていた死者たちはそれぞれの仕事に戻り始めた。

老母はその場に残り、足を鳴らしながらツキヨを睨みつける。

その視線は、彼女を殺すほど鋭かった——

もし、ツキヨがすでに死んでいなければ。


「自分が何を引き起こしたか、見えてる?」

「今じゃ、あの包帯まみれのチビがあんたを追ってるのよ」


ツキヨには、老母の言葉の意味がすぐには理解できなかった。

掟を破ったことは分かっていた。

でも、こんなに騒ぎになるほどのことだったのだろうか?


状況を整理しようとするが、どうしても大事に思えなかった。


「でも、ばあちゃん。

毎日地上に行ってる人たちもいるよね?

彼らは怒られたりしないの?」


老母の顔がさらに険しくなる。


「誰がばあちゃんよ!」

「ほら、行くよ。ガキどもがまた騒ぎ出してる」

「次に“ばあちゃん”って呼んだら、バラバラにしてやるからね」


ツキヨはしぶしぶ頷いた。

でも、老母は質問に答えなかった。

なぜ、他の者は地上に行けて、自分は行けないのか——

その疑問が、心に残り続けた。


歩きながら、ツキヨはいつものように周囲を見渡す。

多くの死者が彼女に挨拶をする。

ツキヨはいつも優しく、親切だった。

だから、争いになることは滅多にない。


——ただし、“あのグループ”を除いて。


街の役に立たず、誰にも歓迎されない四人組の犯罪者たち。

彼らには居場所がない。

それでも、ミイラ将軍は何も手を打たない。


恐れているのか。

それとも、ツキヨの知らない何かがあるのか。


気にせず、ツキヨは老母と一緒に小屋へ向かう。

数歩進み、扉の前に立つ。

老母は立ち止まり、しばらく動かない。


そして突然——ガンッ!


扉を蹴り飛ばす。

その勢いに驚く者もいれば、慣れた者もいる。


中の光景は、予想通りだった。


少年たちがテーブルの周りを走り回り、

骸骨の腕を振り上げて遊んでいる。

それは、末っ子のリョウの腕だった。

彼はいたずら好きで、よく標的にされていた。


少女たちは、死者の茶会ごっこをしていた。

だが、すぐに一人の少年が少女にぶつかり、口論が始まる。


老母は肺いっぱいに空気を吸い込み、叫ぼうとする。

その前に、ツキヨが優しく前に出る。


「はいはい、もう終わり。

隠れた方がいいよ。ばあ…いや、老母がまた木に吊るすかもよ?」


老母は、吸い込んだ空気をゆっくり吐き出す。


「助かるよ、ツキヨ。

あんたがいなかったら、どうなってたか…」

「まだ怒鳴り足りないけど、それは後にする。

話は、まだ終わってないからね」


その瞬間、ツキヨは少しだけ嬉しかった。

でも、心の奥にはまだ引っかかるものがあった。


彼女は振り返り、境界の門を見つめる。


「また…“彼”に会えるかな」


そして、扉を閉める。

家の中には、老母の怒鳴り声と——

逃げ回る子供たちの笑い声が響いていた。

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