テンプレ
さて、街に行くと決めた訳だがひとつ気がかりなことがある。こういう世界で街に行く時にはおそらく門番がいる。そしてもしかしたら俺のステータスやらなんやらを確認するかもしれない。そうなった場合俺の種族や称号を見られた場合どうするのかということだ。
メフィスト・オンラインでは姿を変える方法はあってもステータスを偽造する方法はなかった。最悪姿を消して入ることも出来なくはないがバレた時にめんどくさくなることは避けたい。どうするべきか……。
そんなふうに街にはいる方法を考えていると遠くの方から何やら武器と武器が衝突しているような金属音が聞こえてきた。そして人の悲鳴も。
おそらくこれが異世界転生や小説でおなじみの「序盤の森で襲われているちょっと偉い人」事件なのだろう。ここで助けた場合もしかしたら街にはいる手段を確保してくれるかもしれない。それにここがメフィスト・オンラインに関係している世界だということはわかっていても、今この世界がどのような状況でどんなことが常識なのかは知っておきたい。
ということで打算ありきで助けに行くことにした。
騒ぎの場所へ着くと案の定少し高そうな馬車の周りを数人の騎士が守っておりそれを襲うようにそこそこの数の盗賊だろうと思われる者たちが囲んでいる。
俺はその中の騎士の1人に
「大丈夫ですか!」
と声をかけた。その声が届いたのか騎士は俺の方を向き
「君は…いや、救援なのか?」
と聞いてきた。
「いえ、たまたま近くを通っていたら戦っている音が聞こえてきたので…お邪魔でしたか?」
「いや、そんなことは無い!可能であれは助けてもらいたい!」
と予想通りではあるが助けを求めてきた。
「もちろん構わない。」
と俺は応えるとそのやり取りを見ていた相手の1人が
「おいてめぇ!そんな貧弱な装備で俺たちと戦おうってのか!今ならまだ見逃してやる。さっさと消えな!」
と脅すような口振りで俺に向かって言ってきた、が俺は既に助太刀することは決めているため
「そうか。ならほんとに貧弱か試してみるか?」
と挑発しつつ逃げない意志を伝えた。
「そうかそうか。よほど死にてぇみてぇだな。お前ら!やっちまえ!」
と俺の登場で止まっていた戦闘が盗賊の声によって再び始まった。
俺の方にも幾人かの盗賊が向かってきたが動きは遅くおそらく高レベルでは無いことが分かる。正直こいつらのレベルが高かった場合俺一人じゃ勝てるか分からなかったため少し安心した。
試しに一撃受けてみようと盗賊の攻撃を体で受けてみたがやはりダメージを受ける様子はなかった。であればレベルは確実に50以下である。であれば安心して倒せる。
そして俺に攻撃したはずが傷一つ負ってない俺を見て盗賊の一人が
「てめぇなんで血が出ねぇ!」
と言ってきた。俺としては別に答える義理はないため
「さぁな。お前の攻撃が弱すぎるだけなんじゃないか。」
と煽るとやはり盗賊、顔を真っ赤にしたかと思うと
「てめぇ!舐めてんじゃねぇぞ!」
と周りのヤツらと一緒に攻撃を仕掛けてきた。だがその攻撃は俺に届くことはなく、そして俺も野郎共に集られる趣味は無いため片手で少し力を込めて盗賊を振り払った。
そう、俺は振り払ったつもりだった……だが俺が強すぎたのか盗賊が弱すぎたのか、盗賊は振り払った勢いのまま木へ激突したかと思うとまるで人間に叩かれた虫のように血を吹き出して腹の辺りが破裂したのだ。
俺も多少のグロには耐性はあるがあまりのキモさに思わず「ウェッ」という声を出してしまった。そしてそのことは他の騎士や盗賊も見たのかまだ戦っている盗賊の一人が、
「な、なんなんだっお前!」
と恐怖に顔を歪ませながら聞いてきた。
「さぁ?」
と惚けたように答えると
「クソっ…こんな奴がいるなんて割に合わねぇよ!お前ら!引くぞ!」
と言うと固まっていた盗賊たちが武器をしまうと一斉に逃げ始めた。俺はそいつらを逃がすつもりは無いため追おうと思ったのだが先程の騎士から
「お待ちください!」
と声をかけられたため俺は動きをとめた。
「なんでしょうか?」
「あの者たちはそのうち街の兵士たちに討伐されます。それよりも貴殿には我々と我々の主からのお礼を受け取って欲しいのです。」
と言ってきた。よしっ、当初の狙い通りにことが進んでいるな。
狙い通りに進んでいる以上断る理由は特にないため俺はその申し出を受けることにした。
「わかりました。」
「ありがとうございます。それでは……少々お待ちください。」
そう言って騎士の一人が馬車の中へと入っていき少しすると騎士と一緒にいかにもという格好をした青年が降りてきた。
「この方が我々の主であるハルベルト=マークスマン様です。ハルベルト様、この方が今回助太刀頂いた……申し訳ありません。お名前を教えて頂いてもよろしいでしょうか。」
なんか締まらないな。と思いつつ俺は相手が貴族の可能性を考えていつもの言い方ではなく少し丁寧に名乗ることにした。
「私はハーゲンダンツと申します。」
「…ハーゲンダンツ様です。」
となんだか気の抜けた紹介が終わった。すると早速ハルベルトと呼ばれた青年が
「改めて今回助けていただき感謝するよ。本来あんなものたちに負けることは無いのだが少々疲労が溜まっていたようでね。貴殿が来なかったら危なかったよ。」
「いえいえ、困っていたら助ける。当たり前のことです。……ただ、もし感謝しているのでしたらどうか街へ入る手助けをしていただきたいのです。」
と本来の目的を果たすためにお願いをすることにしたのだった。
ただ、そんな中で俺は頭の片隅にひとつの疑問が浮かんだ。こういうのって普通お嬢様が出てくるよな……と。
ストーリーはあってないようなものなのでラノベの鉄板で進んでいきます。あくまでこんな設定のゲームかラノベがあればいいなという思いで書いているのでストーリーに深みとかはありません。
それでもいいよという方は引き続き読んでいただけると幸いです。