表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/12

これが話題の異世界転移



 どのくらい寝てたのだろうか。俺は意識を取り戻すと体を起こした。だが俺はまだ朧気な意識の中違和感を感じとった。寝ている床がやけにチクチクするのだ。その違和感を確かめるために俺は身体を起こした。

 だがそこでまたさらなる違和感を感じた。万年腰痛に悩まされているはずの俺の腰がスムーズに動くのだ。常日頃から部下と上司の板挟みによって常に誰かに頭を下げる毎日。そんなことをしていれば必然と腰が痛くなるだろう。だが今はその痛みが一切ない…まさか一日で治ったのだろうか。


 俺はそんないくつもの違和感を覚えつつも今まで閉じていた瞳を開いた。


「え、ここは…どこな…んだ?」


 目を開けた俺の視界に広がるのは俺が住んでいるところではまず見ることの出来ない森だ。いや、仮に見た事のある景色だとしても直前の記憶だと確かに自宅にいたはずだ。

 となると…誘拐?だが俺を誘拐して何になるんだ。お金は全部メフィスト・オンラインに費やしておりほとんどない。それに妻などもいない独身だ。誘拐したところでお金なんて手に入るはずがない。


 だが今はそんなこと考えている暇は無いか。これが誘拐だろうがなかろうが今はこの場から離れるほうがいいだろう。

 俺はそう結論付けこの森の出口(あるのかは知らない)に向かって進むことにした。


 そうして進んでいる俺だがやはり体に違和感がある。仮に体が良くなったとしよう。だがいくら良くなったからとはいえここまで速く動けるものなのだろうか?明らかに人間の限界を超えているような気がする。


 そんなことを思いつつ走っていると前方から草むらが揺れる音が聞こえてきた。その音を聞くと俺はすぐに走るのをやめて音のした方へ意識を向けた。


「なんだ。俺をさらった奴なのか?」


 と声をかけてみるが相手からは返答はなくただ草むらが揺れるのみだ。いくら待っても相手から返答がないため俺は近づくことにした。

 もし相手が俺をどうにかしたやつならこの場では殺されないはずだ。殺すんだったらもう既にやっているだろうし何も無い状態で俺を放置していたならこうやって逃げ出すことも分かっているはずだからだ。


 俺は恐る恐る草むらの方へ足を進める。そうして草むらとの距離がだいぶ縮まった時突如草むらから何かが飛び出してきた。俺はそちらの方へ目を向ける。するとそこにはうさぎがいた。そう、うさぎがいたのだ。角が生えている。


「何だこのうさぎ!」


 俺はたまらず声を上げた。そしてその声が思ったよりデカ勝ったのかうさぎは一瞬ビクッとした後に角をこちらに向けてきた。


「お、おい…まじかよ。」


 角を向けられた俺はもちろん抵抗なんてできない。うさぎは角を向けるとこちらに向かって落ちてきた。

 あんな鋭そうな角に刺されたらもちろんお陀仏だ。だが悲しいかな、俺にはどうすることも出来ない。どうすることも出来なければどうするのか。俺は目を瞑った。最後に起きた意味不明な出来事を恨みつつもっとゲームやりたかったなと思いながら角に貫かれるのを待った。



 ……だが覚悟を決めた俺とは裏腹に一向に衝撃が来ない。流石におかしいと思った俺は恐る恐る目を開けてみた。するとどういうことなのかは分からないが角が俺のところまでこずに少し手前で止まっていたのだ。だがそれも一瞬のこと、うさぎはすぐに体勢を建て直してまた角を俺に向けて跳んできた。……だがまた手前で止まった。


 もしかして俺にこれは届かないのか。そう思った俺だがうさぎはそんなことに気づく訳もなく止まっては跳んで止まっては跳んでを繰り返してきた。最初のうちはびっくりしたが何回も続けられたら流石にむかつく。どうせ喰らわないんだからと俺はうさぎが飛んできたのに合わせてはたく様に手を横からうさぎに向かって振った。


 そう、ただ振っただけだ。それなのにも関わらずうさぎはまるで超高速で走っているトラックに引かれた小動物のように吹っ飛んで行った。…明らかに物理法則を無視しているような。俺はあまりの出来事にそんなことを思った。


 だがその驚きはまたすぐに別の驚きへと変わった。なぜなら目の前に突然


 『ホーンラビットを倒した。

 うさぎの角×1を入手した。』


 と見慣れたUIで表示されたからだ。


 これは俺が一番やりこんだゲームであるメフィスト・オンラインのUIだ。それに気づいた時俺はひとつの可能性を感じた。もしかしてここはメフィスト・オンラインの世界、もしくはそれを元にした世界なのではないかと。

 夢でないことはあのチクチクとした草が教えてくれている。そして現実であれば目の前にこんなUIが浮いていることもないだろう。だから恐らく俺が今いるここは上記のふたつのうちどちらかということになるだろう。


 どちらにせよここが地球という可能性はほとんどない。であれば1度試したいことがある。


「ステータスオープン!」


 そう唱えると先程まではこじんまりとしたUIがいきなり広がり俺のステータスだと思われる画面が表示された。


 『名前:ハーゲンダンツ 職業:魔術師

 種族:死人族(デミ・ヒューマン)

 レベル:100

 称号:魔王』


 おお!これはメフィスト・オンラインでの俺だ。通りでさっきの力が出せるわけだ。普通の人がいくらうさぎとはいえあんなに飛ばせるわけは無いしな。


 となるとさっきホーンラビットの攻撃を無効化したのも己スキルのひとつ「物理無効化」の影響だろう。物理無効化と言っても完全にブロックする訳じゃなくて自分の半分以下レベルからのの物理攻撃を無効化する程度だから使い所はあまりないが…。



 だけどそうなるといよいよここがメフィスト・オンラインに近しいところだと言うのは確定したな。あっちの世界でもっとゲームをしたいという気持ちはある。だがせっかくメフィスト・オンラインのような世界に来たのだから楽しんでみようか。


 とすると…とりあえずは人がいるところに行くべきなのか。方向はわからんが進んでみるか。



 

スキルは甲乙丙丁戊己庚となっていて甲が一番レベルが低く康が一番レベルが高いという扱いです。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ