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ハルベルト見つかったり



 ハルベルトに事情を聞くために捜索を使って見つけた方向に向かって進む俺たちだが、指し示している方向は街の裏側、所謂スラム街と呼ばれるような所に向かっている。


「本当にこんなところに仮にも貴族が向かうのか?」


「そうですね…。反逆者と言われていますし表通りを歩いていたら捕まる可能性もあります。スラム街に逃げるというのも有効なのだと思います。」


「俺も姫様に同意だぜ。それにまだ乾ききってない血もついてたりしてる。関係しているかは分からないけど少なくともここで戦闘をしていたことは間違いないはずだ!」


 確かに。言われた通り周りを見てみれば血の跡のようなものがいくつも見られる。俺は血が付いたばかりかは見分けられない。流石近衛騎士ということだろう。


「ならこっちで間違いはなさそうだな。ここからは俺も守るがことを荒立てないように慎重に行くぞ。」


 スラム街ということもあり余計な被害を出さないように俺たちは慎重に進んで行った。

 そしてスラム街に入ってからしばらくするとようやく何やら争いの音が聞こえてきた。そして捜索のスキルも反応しているとなると…やはり、この先にいるのだろう。



「二人ともこの先にハルベルトがいる。身の安全を第一にな。」


 そう二人に警告しつつ俺たちはいよいよハルベルトの元へたどり着いた。

 狭い路地から開けた場所に出た俺たちは先程から聞こえていた争いの音の正体をやっと確かめることが出来た。

 その様子はハルベルトと会った時のような構図だ。違いがあるとすれば馬車がなく、盗賊の代わりに騎士然とした人達が囲んでるというくらいだ。


 ハルベルトの姿を確認した俺は聞こえるように


「ハルベルト、事情は後で聞く。今回も助けるということでいいんだよな?」


 と聞いた。その声が届いたのかハルベルトはこちらに顔を向け


「ハーゲンか。……頼む。必ず後で説明するよ。」


 と言ってきた。その言葉を聞き俺は二人に


「俺は怪我した奴らの方を見てくる。その間は二人で耐えていてくれ。できるか?」


「任せてください!」


「もちろんできるに決まってるぜ!」


 頼もしい奴らだな。だが見た感じハイゼンはともかくカレリアにはまだ荷が重そうな相手だ。なるべく早く助けに行かなければだな。


 俺は二人を見送ると急いでハルベルトの元へ向かった。遠目からでもわかるくらいに負傷していたハルベルトはやはり深手を負っていたようだ。


「ハルベルト。大丈夫……じゃないよな。」


「すまない。私の予想だともう少し余裕を持って動けたはずなんだけど…思ったより兄は行動力があったようだ。」


「わかったから今は喋るな。まずは体を休めろ。それと…エクストラヒール!……とりあえずこれで大丈夫なはずだ。」


「ありがとう。本当は私も戦いたいが…今は甘えさせてもらうとするよ。」


「任せろ。」


 ……ふぅ。とりあえずハルベルトの危機は去ったようだ。だがまだ油断はできない。ハルベルトを見た感じ体調が良くなったとは思えないからな。

 だが今は追っ手を倒すことが先決だ。俺はハルベルトを安全な場所に連れていくと二人が戦っているところに向かった。ただ、俺自身は戦うつもりは無い。二人に経験を積ませたいというのもある。ただ、それとは別に俺の目指す魔王ロールプレイは配下に戦わせて俺自身は後方支援魔王というのを目標としている。そのため本当の緊急時以外はあまり戦うつもりは無い。

 それにハルベルトを助けるという一番の目的はもう達成している訳だしな。


 ということで今回は無理のない範囲で二人に経験を積ませることにする。もちろん危なくなったら助けるが…。


 そうして二人と追っ手との戦いを見ているとやはり予想通りハイゼンのほうは優位に戦えている。目算だがハイゼンの方が追っ手達よりもレベルは高いと思う。それに修練度が上がる装備を渡しているのだから負けることは無いだろう。


 だが一方でカレリアは何とか食らいついてはいるがやはり経験の差だろう、追っ手の攻撃をいなしきれていない。また、スキルも俺が教えていなかったということもあるがまともなものがなく純粋に剣技だけで戦っている。




 俺は少しの間二人の戦いを観察して危なそうな時はこっそりスキルを使って助けたりしつつ二人の課題を考えたりしていた。だがこれ以上ここで争って騒ぎを大きくする訳にも行かないので俺は二人に


「ハルベルトは助けた。ここは退くぞ!」


 と伝え二人が頷くのを確認すると、アイテムボックスの中から煙幕弾を取り出し地面になげつけた。その瞬間投げた地点を中心に煙で辺り一帯を覆い、追っ手たちが戸惑っている間におれは、ハルベルトと二人の手を引きこの場から逃走した。


 その後も少しの間全員を連れて逃げ最終的に街の外の森まで向かった。一応ついて来れないようにしたつもりだが万が一もある。森についてからもしばらく警戒していたが結局追っ手が来ることはなくやっと一息つけるようだ。


 俺は戦った二人に良くやったと労いの言葉をかけつつここまで連れてきたハルベルトになぜこうなったのかを聞くことにした。


「ハルベルト。ここならしばらく安全なはずだ。……それで…なんで反逆者なんて言われているのか教えてくれないか?」


「……もちろん話すよ。」


 そういうとハルベルトはなぜ反逆者と言われているのかを教えてくれたのだった。


 

本編で触れられなかったので煙幕弾のようなアイテムについて


 煙幕弾はゲーム内では自分よりレベルの低い魔物に対して使うと標的から外れるためしつこく追われることが無くなるという地味に便利なアイテムだった。

 だが異世界ではただ単に煙が出るだけのアイテムとなった。

 このようにゲーム内では効果があるアイテムの中には異世界に来たことによって効果が変わる、もしくは効果が消えることもある。

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