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ラプンツェル-第2部-塔の中の値札-

数か月後、透き通るような肌と金色の髪を持つ美しい女の子が生まれました。人買いの女は赤子を抱き上げながら、商品を品定めするような目で眺めました。「この美貌なら、成長すれば相当な値がつくな。ラプンツェルと名付けよう」


女はラプンツェルを育てながら、常に「商品価値」を意識していました。日焼けしないよう日陰で過ごさせ、傷がつかないよう危険なものは一切近づけず、将来の「売り物」として完璧に管理していました。


十二歳の誕生日、女はラプンツェルに告げました。「お前はもう外には出られない。お前は私の大切な『商品』だからね。目立つ傷でもついたら、価値が下がってしまう」


その日からラプンツェルは森の奥の高い塔に閉じ込められました。塔には扉も階段もなく、地面から見えるのは小さな窓がひとつだけ。まるで空に浮かぶ牢獄のようでした。


女が塔を訪れる際は、足元の地面を二度叩き、背後の木の幹のくぼみに小石を押し込みます。すると隠し扉が現れ、内部の階段から塔に上がることができるのでした。


「ママ、外に出てもいい?風の匂いを嗅ぎたいの」ラプンツェルが尋ねるたび、女は冷たく答えました。「風はお前を腐らせる。虫がついても、日焼けしても困る。お前がどれほど高い値で売れるか、分かっているのか?」


「でも…『売られる』ってそんなに大事なことなの?」


「ラプンツェル、世の中に自由なんて幻想しかないのよ。お前には高い価値がある。私がそれを管理して何が悪い?お前の価値を最大化するのが、私の仕事なの」


商品として育てられたラプンツェルには、疑問を抱く力も、反抗する意志も奪われていました。彼女はただ従順に頷くだけでした。



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