狩人のブルース ~ なろうの風は今日も冷たく ~
矢を番え、引き絞り、狙いを定めて解き放つ。
空を行く、風鳴りは、獲物の脇を摺り抜ける。
また一矢、取り出して、これはどうだと気迫の射。
ある時は、気まぐれに、放った一本光を纏う。
己が時と魂を、捧げて生み出す魔法の矢。
放った軌跡に重なる星は貴重な光を齎すけれど、闇の暗さに飲まれてしまう、神光なれども小さな希望。
内なる悪魔を祓うに足るのはどれだけ明るい太陽だろう。
空に瞬く無数の星を、にじむ視界に捉えて吼える。
荒れる野原を吹き抜けてゆく、風はいつでも冷たいけれど
自分の周囲を飛び交う火精にほのかな熱と力をもらい、今またもがいて一本作る。
たとえ下手打つ微力だろうと、数を放てばいつかは刺さる。
諦めず諦め悪く、狩人は魂こめて、今日も渾身一矢を放つ。