第三話 元勇者パーティー
今回は軽くゲイル達や主要な人物の一部が登場します!!
時刻は午後5時、丁度日が沈みかけた頃…
ゲイルの所有する屋敷の一室にとある人達が集結していた。
「みんな、フロンティアから報告があったから転移魔法で呼び寄せたよ?」
そう言ったのは、大賢者:ゲイル。深緑色の髪に紫色の瞳をしたエルフの少年。ほぼ全ての魔法を獲得しており、主に司令塔と最終兵器の役割を担っている…年齢を聞くのは厳禁。
「あー…転移魔法ってやっぱ便利だなぁ」
次に言葉を発したのは、狩人:フロンティア。灰色の髪に緑色の瞳をした狼の獣人女性で、魔法銃:ラディンの所有者。放たれた矢を銃弾で弾くことが可能。
「それで、報告って何だ?」
彼は、暁の勇者:ガルド。紅色の髪と瞳をした青年で、聖剣:プロメテウスの所有者。脳筋だと思われがちだが、意外とよく考えて動いている。
「………ポリポリ」
無言無表情のまま氷を食べている少年は、氷結の剣士:アルファ。深い青色の髪にライトブルーの瞳をした氷剣:サールダストの所有者。背が低く、中性的な顔立ちなので、よく女の子と間違えられる…顔には出さないが、実はかなり傷ついていたりする。
「ねぇレーヴァ♪お菓子食べたいな?」
「…しょうがないですね、夕御飯の前なので少しだけですよ?」
甘えるイムにそう言って、アイテムボックスを開いて作り置きしているお菓子を取り出すレーヴァ。
「おほん、簡潔に言うと…魔族領の結界が消えかかってる」
「!?」
「何ッ」
「…ッ」
「えぇ!?」
「…」
フロンティアのその言葉に、全員がピタッと動きを止め、先程の楽しげな雰囲気からまるで空気が凍りつくような緊張感に包まれる。
「それはおかしいよ。あそこの結界には定期的にかなりの魔力を注いでいるから、たとえガルドの本気の一撃でも少し傷が入ったくらい。魔族領に残ってる魔族程度にはどうする事も出来ないはずだよ?」
ゲイルは、結界に不備がないことを告げる。
「なら、結界の核を破壊されたとか?あれは確か張っている結界ほど耐久力はないだろ?」
「いいや、結界の核は魔族領の外側に設置されてるから魔族側にはどうする事も出来ない。それに、もし結界の核が破壊されたら僕の気配探知から消える筈だけど、今も反応はあるからそれはないよ」
ガルドの懸念である、結界の核が破壊されたわけでもない。ならば、一体何故なのか…
「そういえば、張ってあった結界を何か黒色の魔力が侵食してるみたいな感じで破壊してたな」
「侵食?それなら聖魔法か闇魔法とかの現象であるけど、黒い魔力の光は発さないから。だとすると…あ」
フロンティアのその言葉で、何か思いついたような素振りを見せるゲイル。しかし、どこか難しい顔をしている。
「何か分かったのか?」
「うん、まだ確定じゃないけど…」
そして、ゲイルはその原因の名前を口にする。
「…原因は、レクシア様が作った女神様の誰かだと思う」
こうして、ゲイル達元勇者パーティーは、後に始まる大戦へと身を投じることになる。
次回…『魔導の女神:フィーレア』
次回をお楽しみに〜!!