第一話 束の間の平和
原初の女神がグランテーゼを去った頃…
とある草原で一人の少年と小さな女の子が日向ぼっこしていた。
「温かいね〜ゲイル♪」
小さな女の子…緑色の髪と瞳をした精霊のイムは、隣にいる少年ゲイルに話しかけていた。
ゲイルは暗い緑色の髪に紫色の瞳をした、種族はエルフで魔道士の少年。
「そうだね…イム♪」
ゲイルはそう言うと、イムをゆっくりとした手付きで撫でる。
イムは「えへへ♪」と嬉しそうに目を細めてされるがままになっていた。
そこにメイド服を着た金髪赤眼の女性…レーヴァが2つの白いかごを抱えて持ってきた。
「食事を持ってきましたよ〜」
「ごはんッ!!」
イムはその言葉に目を輝かせてレーヴァに抱きついた。
「ちょっと、イム?抱きついてたら支度が出来ませんよ?」
「ごはん、ごはん〜♪」
そう促されても、食べる事しか頭にないイムに「しょうがないなぁ…」と言ってゲイルはレーヴァの手伝いをした。
白いかごの中には、水筒とティーカップ、バターにパンと色々な種類のジャムが入っていた。
イムは「うわぁ♪美味しそう!!」と言って目を輝かせていた。
「ゲイル、パンを焼いてトーストにしてもいいですね♪」
「…はいはい、魔法で焼いて欲しいって事ね…」
「レーヴァも大分丸くなったなぁ…」と思いながらパンを焼き始めたゲイルだった…