第48話
いつも読んでくださってありがとうございます。
ブックマークや評価してくださってる皆さま、すごく執筆の励みになっております。
実は前回の第47話で、この小説の文字数が10万文字を超えました。まだまだ話は続きますが、おぉ翡翠頑張ったじゃないか、と一人で感慨にふけってました。笑
じわじわと読者数も増えていて本当に嬉しいです。
では、第48話をお楽しみください♪
まさか。
でも、それなら今までの作戦の失敗も理由がつく。
私がシナリオと違う行動をとっても最終的に同じ結果になるように修正され...る?
「おい、いま何か聞こえなかったか?」
警備兵達が先程うっかり漏らした声に気付き周囲を警戒しだした。
私は殿下に渡すはずだった小包を胸に抱き、すっくと立ち上がる。
「うわっ!?」
「ア、アリシア様っ!?」
まさかこんなところで公爵令嬢が地面に張り付いているだなんて露にも思わなかったのだろう。皆一様に目を白黒させて口は開いたまま硬直している。
「これをレオンハルト様にお渡しして。」
どちらかと言うとアリシアを気に入ってくれていた警備兵に抱きしめていた小包を押し付け、私は優雅にドレスの裾を摘んだ。
「では、ごきげんよう。」
呆気にとられている警備兵達をその場に残し、踵を返してエルケがいた場所まで走り出す。
走りながらさっき頭に浮かんだことを考えるとキュッと心臓が縮こまり走りながら握りしめた手が小刻みに震え出した。
もしも、もしも本当にゲームシナリオの強制力によってこの世界が修正されていくのだとしたら。
ゲーム通りにアリシアは2年後、レオンハルト様から婚約破棄を言い渡され氷漬けにされたあげく、他国へ流され悲惨な死をとげる。
......無駄なの?
私がいくら未来を変えようと足掻いても無駄だと言うの......?
レオンハルト様が私に気をかけてくださるのは、強制力のせい?
私が彼を愛してしまえば、のちに彼に愛されるレナーテ様に嫉妬心を持つようになるから?
どれだけ頑張っても、未来は変えられない......?
「あっ!?」
ハッと気づいたときには遅かった。
誰かの背中が目前に迫っていて、ぶつかる!と目を瞑ろうとした瞬間、その背中の主がひらりと私をかわした。
ぶつからなくて良かったと安堵する暇もなく、今度はその人物の向こう側にあった低木が並ぶ茂みに突っ込んでしまいそうになる。全速力で走っていたために止まれない!
ぶつかる!!
木にぶち当たる衝撃に備えて顔を両腕でガードした。
.........ガードしたが一向に衝撃はこない。
「.........?あれ?痛くない。」
え?と視線を下に下ろすと前のめりになった自分の体をお腹のあたりで誰かが片腕で支えてくれていいた。どうやら支えてくれた人物が私が木に激突するのを防いでくれたらしい。
「ふっ。アリシア嬢、元気がいいな。」
頭上から聞こえたハリのある明るい声色に顔を上げると、赤みがかった紫色の瞳と目があった。