第33話
今回なんだか頭が回らなかった...。
書き忘れたことがあれば後日手直しするかもです(ーー;)。
私の執筆意欲戻ってこーい。笑
ルシフェル君の兄、誰かわかった人いるかな?
「何が「よーし!誰もいないわね。」だよ。誰のおかげで今まで何事もなくこの界隈で過ごせてると思ってるんだ?」
やや長めのダークブラウンの前髪をかきあげながら俺がつぶやくと、隣でともに窓の外を覗いていた黒髪の男がいかにも心外だと言うかのようにこちらを向いた。
「...明らかにオレのおかげでしょ?」
まぁ、確かに、俺は彼女を守るように彼に指示を出していただけで、書店内で彼女に近づこうとした男どもを長い間駆逐し続けていたのは彼なのだが。
「だったら、ソラルを彼女に近づけるなよ。フェル。」
「...あのさ...いつものようにアリィ嬢の護衛だけならともかく、あの女好きの手綱まで任せてくるなんて、ちょっとオレを働かせすぎじゃない?...あいつ女の子への嗅覚すごいんだから。...それにしても彼女に鉢合わせて正体がバレないかと思った。...オレと兄者は顔が似てるから。」
よほどソラルのことを任されたのがイヤだったのか、いつもより饒舌に青藍色の瞳を半目にしてうんざりしたようにこちらを見てくるフェル。
「まぁ。確かにフェル達兄弟は顔も背丈もそっくりだしな。バレなかったのは髪や眼の色が違うことが幸いしたか。」
「...醸し出す雰囲気が違うからじゃない?...あんな見かけ天使で心は悪魔の恐ろしい兄と一緒にされたくないし。...あぁ、そう言えば、あの見境ない男は......ソラルはどこ行ったの?」
「見境いない......おまえ無口なわりに辛辣だよな。ソラルなら学院にさっき購入した資料を持ち帰ってから帰宅するらしいぞ。」
「...へぇ、一旦学院に戻るなんて、あいつがそんなめんどくさいこと引き受けるなんて珍しいね。」
「資料室の鍵の当番が明日からチェラード先生だと伝えたら、今日持って行ってくるって笑顔で引き受けてくれた。なぜか汗かいて顔色が悪かったけどな......。.........。」
............。
「...どうしたの?リオ?」
「......なんか、チェラードの名前出したらさっきのこと思い出して腹立ってきた。」
「...は?...さっきのはソラルに彼女の素性をばらさないようにオレに口裏合わせたでまかせでしょ?...作り話に腹たって魔力暴走とかやめてよ?」
カタカタと揺れだした窓枠から手を離し、はぁと首をすくめたフェルの黒髪が俺からはなたれる魔力の波動が生み出す風になぶられる。
「いや!でも本当に、もし、アリィがチェラードのファンだったりするとか想像して考えたら、なんかやたら....やたら、腹立つうぅぅ......!!」
自分の周りに風が巻き起こる。
近くに置かれていた書棚の本が棚から吹き飛んでいく。
フェルが自分の頭を守るように両腕で覆うのが目の端に見えた。
「...あのね、この二階の談話室、フリックル男爵の好意で貸してもらってる部屋なんだけど。...あんたの身勝手な妄想で魔力暴走して壊すとかほんとやめてくれない?
...だいたいこんな街中で魔力暴走して、もし平民のあんたの魔力量が王太子に匹敵する膨大な魔力量とバレたりでもしたらどうするの?」
その言葉にはっとした俺はなんとか理性を取り戻した。
危なかった。どうやら俺はアリィのことになると自分でも歯止めが効かなくなるようだ。
「...そんなに好きなら。さっさと身も心も自分のものにしたら良かったんじゃない?」
「ばっ!馬鹿。そんな無体なことできるわけないだろっ!?アリィは...アリシアは次期王太子妃なんだぞっ!」
「...まわりくどい。...いちいち理由付けずにさっさと抱いたら?」
「ルシフェル!!」
俺の叱責に軽口を叩いていたフェルがびくりと肩を揺らした。
彼の真名を呼んだことにより、ただのクラスメイトから主従の関係へと位置付けが変わる。
「...ですぎたことを申しました。」
言葉では謝罪しても、フェルの内心は不満があるのだろう。不満気な口調がそれを物語っていた。
「...オレは貴方に早く幸せになってもらいたいだけです。」
「仕方ないだろ。今の俺じゃ、アリィにこれ以上近づくことはできないんだ。」
「...言えないことを承知で問いたい。
...貴方はなぜ彼女にこれ以上近づくことを恐れるのですか?....言い方を変えましょう。
...貴方は...貴方はあの時、一体何を視たのですか?」
眉を寄せて問うフェルに、俺は苦笑し窓の外を見た。アリィの乗る公爵家のお忍び用馬車はすでに走り去っている。
「そんなに心配することはないよ。ルシフェル。『私』は彼女を諦めるつもりはない。」
ーーー必ず手に入れると決めているのだから。
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