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王子と私の婚約破棄戦争  作者: 翡翠 律
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クリスマスプレゼントを君に。①

 なんとかスマホが起動したのでクリスマス番外編投稿できました。クリスマス当日になんとか①話だけ間に合った...。よかった(><)!


 Merry Xmas☆


「じゃあ行ってくるね、ビーア。良い子にしているんだよ。」


 ゆっくりと私の頭を撫でてから扉の向こうに消えていく両親を何度見送ったであろうか。

 小さかった私は両手いっぱいに人形を抱え込み、人形達に半分顔を(うず)めながら上目遣いで両親の出て行った玄関扉を見つめていた。

 そして、それを見かねたユリアンが声をかけるのだ。



ーーー「お部屋に戻りましょう。お嬢様。」と。






 雨の日も風の日も、昼でも夜でも暑い日も、そして今日のように雪の降る凍えるような寒いクリスマスの朝も。いつも両親は同じ言葉を残し屋敷を出て行く。

 あいも変わらずに。

 変わったのは私が幼女から少女に変わったことぐらいだろうか。


「じゃあ行ってくるね。ビーア。良い子に...。」


「父上。私はもう幼い子供ではありませぬぞ。」


「あぁ、すまない。そうだね、ビーア。じゃあ、あまり夜更かしせずに早く寝るのだよ。私達は明け方に帰るだろうから先に寝ていてかまわないからね。」


「......父上、母上、今日は帰りを待っていてはなりませぬか?」


 いつもは言いたくても言えない一言を自分の勇気を最大限に奮い起こして両親に伝えてみた。そんな私に両親は大きな目をさらに大きく見開いて驚いた顔をする。


「まあ、何を言ってるの?夜更かしをしてビーアのこの美しい肌が荒れてしまったら母はビーアを創りたもうた神になんとお詫びしたら良いのか...!」


 いや、私を作ったのは父上と母上なのでは?


「そうだぞ。ビーア。精霊の愛し子とさえ称されるお前の麗しい(かんばせ)に隈でもできようものなら精霊達が怒り世界が崩壊してしまうかもしれない...!!」


 どんな過保護だ。


「ですが今日はクリス......」


「ビーア。」


「父上も母上もできるだけ早く帰れるように頑張るからね。良い子にしているんだよ?」


 結局、今日も幼子に言うような言葉を残して両親は行ってしまった。

 だが私はもう幼い頃のように人形達に顔を埋めたりはしないぞ。ただ後ろ手に一体のニャン人形を握りしめていることぐらいはまぁ大目に見てもらいたい。


「ユリアン。」


 後ろに控えているはずの我が家老に声をかける。


「部屋には戻りませんよ。お嬢様。」


「は?」


 いつもと違う老執事の言葉に、先程出立した両親よりも大きく目を見開き私は彼を振り返った。


 にこやかに微笑むユリアンが執事服の胸元から一枚の上質な紙を出しぴらりと私の目の前に広げた。


「先程伝書鳩が届けにきてくれました。すでにアリシア様とシャルロッテ様にはベアトリクス様が向かうことを連絡済みでございます。」


 ユリアンから受け取った上質紙を持つ手が震えまくる。



「お、王宮でシークレットニャンイベント!?しかも騎士団コスの限定ニャン人形を先着50名にて販売いぃぃぃいっ!?

 ああああああぁっ!!!こうしてはおられぬ!!馬車を!!この屋敷1番の早く走れる馬車を表にまわすのでありますぞおぉぉぉおっ!!!」



 クリスマスの寒い朝、私は限定ニャン人形欲しさのあまり興奮してすっかり忘れていたのである。



ーーー王宮にはアイツがいることを。

◇翡翠の小説好きだよーと思ってくださった方、ブックマークや☆評価(↓にスクロールして広告下にある☆☆☆☆☆です)いただけたら執筆頑張れます(^^)。

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