ハッピーハロウィン!④
4話でも終わらなかったです(TT)。細かい描写を除きたくないのでもう1話だけお付き合いください。ハッピーハロウィン!は⑤で完結予定です。
「うっ......!」
テーブルに伏して寝てしまったアリシアに近づいた僕は思わず後ずさってしまった。
.........なんだこれは!?
「......ん...。」
僕がたじろいだ際のかすかな衣擦れの音にうつ伏せに寝ていた彼女が小さな声を出して横を向いた。
起きてはいないようで、横を向くとまたすやすやと寝息を立てる。
「僕は神に試されている?神は僕の理性を試しているとでもいうのか...?」
秋も深まり涼しくなってきたはずの気候なのに今僕は動揺のためか頬に一筋の汗が伝っていた。
なぜなら、思わず見惚れてしまうアリシアの陶器のように白く艶やかな頬に加え、さらに輪をかけて僕の目を奪うものが彼女の可愛らしい耳の上に存在していたのだ。
ピョコン
アリシアが身動きするたびにソレがやたら可愛らしく向きを変える。
アリシアは一体なぜこんな格好を!?
これは僕への試練なのか...?
いや、待て僕!これは『はろうぃん』の仮装だ!アリシアのくれた要項に書いてあったじゃないか!しかし、何故、何故、
「何故、君は黒い猫耳なんてつけてるんだあぁぁぁぁ...」
理性がふっとびそうになるのを必死に抑え、つい猫耳に触りそうになりそうな衝動も必死に抑え、ヨロヨロと彼女が寝てしまっている反対側によりかかるようにテーブルに腰かけた。
僕の動揺などお構いなしですやすやと寝ている彼女の顔をそっと見つめると何やら口元が少し動いている。息を潜め耳を傾けるとそれはどうやら寝言のようだった。
「......れお、んはると様も、...たのしめたら、よかった、のになぁ......」
「.........っ」
薄いピンク色の唇からこぼれた言葉に激しい何かが心を突き刺す。
反則だ。可愛い上にこんな......
「アリシア、遅くなったけど君に会いにきたよ」
小さな声でそう言うと僕は目を瞑り彼女の長い金色の髪の先を持ち上げ口付けた。
顔を見ることもできたし、城に帰ろうかとそっと目を開ける。すると目の前で2つのエメラルド色の瞳がこちらを見つめているではないか。
「!!」
見開いた彼女の瞳の中には長い銀髪に青い瞳、そして口元からは鋭い牙を出した青白い肌の黒衣に身を包んだ青年が映っている。
「起きたの?アリシア...。」
思わぬ近さで彼女に見つめられ、僕は自分の氷魔法で氷漬けされたかのようにその場に固まってしまったのだった。
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