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王子と私の婚約破棄戦争  作者: 翡翠 律
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第108話 ≪エルケ

最近更新頻度が少なくお待たせしています。忙しい時期もすぎたのに、なかなか執筆モードにならずでσ(^_^;)。

いま本編は、回想でエルケとアリシアの幼少期の話ですね。次話以降、少年期のあの人やあの方も出てきます。楽しみにしててください。



 大貴族の屋敷にはもしものときの隠し通路があるものだが、最近は年頃の令嬢の部屋には逆に外とつながる通路があるほうが危ないとのことで部屋の中に隠し扉があることは考えにくい。......部屋の棚も触ってみたが子供の力でばびくともしない。あとは移動系の魔法陣が使われた可能性だけど、精神を研ぎ澄まして魔力を追ってもこの部屋で魔法が発動した跡はなかった。


 「めんどくさい。」


 仕方ない。

 地道に聞き込みかな。

 アリシア嬢が姿をくらましたことをまだ悟られないほうがいいか。外に出たとはまだ確定できていない。

 それにあれだけ妹に過保護な兄、テオドールがいるのだ。部屋から抜け出しても連れ戻されていないということは護衛を密かにアリシア嬢につけて黙認しているということも考えられる。


 廊下に出て近くにいた先輩侍女に話しかけてみた。


「まぁ?アリシアお嬢様の好きな場所ですか?

 そうですねぇ。洗濯場や調理場もよく居られますし、庭もお好きですね。いろいろな場所に行って私たち使用人とも気さくにお話しくださるのですよ。」


 答えてくれた先輩侍女がなんだか嬉しそうにわたしを見てくる。


「なんですか?」


「いえいえ。エルケがお嬢様に興味を持ってくれて嬉しくて。うふふ。」


「なっ!これはべつにっ。興味とかじゃ...!」


 思わぬことを言われて顔が真っ赤になる。

 わたしのその様子を見て先輩侍女がさらに嬉しそうに笑った。


「ふふ。あら。そうそう調理場といえば、そろそろ荷物が運び込まれる時間だわ。毎日この時間に夕飯の材料が運ばれてくるの。エルケはまだ料理長に挨拶したことなかったわよね。見に行きましょう。案内するわ。」


「えっ?ちょっ、待ってくださいっ。」


 先輩侍女は良い人そうだけど、人の話を聞かないタイプのようである...。

 でも、今はアリシア嬢を探さなきゃなんだけど。しかしながら引っ張られている左手は離されそうにもなく。諦めてわたしはまず調理場に行くことにしたのだった。




 調理場のそばまで来ると、さっきまで静かだった公爵邸の廊下が騒がしくなってきた。パタパタと走り回る調理師達が手にいっぱいの野菜や調味料を抱えて、冷蔵保管庫や収納場所へと片付けている。


「これで全部かね。いつもありがとうよ。」


 一際大きな体格の白いコック帽をかぶった男が、調理場の勝手口にいる若い男性に声をかけた。


「こちらこそ、いつもご贔屓ありがたく思ってますよー。総料理長。明日もこの時間に伺います。」


 野菜を持ってきたらしい若い男は空箱を台車に沢山つみ外に出ようとしている。その様子を見ていると先輩侍女にポンっと肩を軽く叩かれた。


「エルケ。野菜売りが帰ったら総料理長と調理師のみんなに挨拶致しましょう。」


「え、あ、はい.......ん?」


 先輩侍女に返事を返そうとした時、わたしの目が不思議な光景をとらえた。


 ......台車につまれていく空箱に今一瞬何か小さな動物が入り込まなかった?


「まっさか!?」


「エルケ?どうしたの?」


 突然、大声をあげたわたしに先輩侍女が目を見開いてびっくりする。


「......先輩。あの野菜売りは街のどこに店があるのですか?」




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