表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
王子と私の婚約破棄戦争  作者: 翡翠 律
144/191

第82話



「だから言ったのにっ。あんな場所(・・・・・)で魔力を暴発させるなんてっ!僕、注意したでしょ!?」


「仕方ねぇだろ。この子の闇の力があの女のせいで急激に増加しちまったんだ。人間の感情は時に信じられねぇくらい強いんだぜ。そうなったら俺ら(・・)にはもう手出しできねぇ。」


「そこをなんとかしなきゃでしょ!?」


「無茶言うなよ。」



ーーーー誰かが、頭の中で言い合っている?


ーー誰?



「僕より体が大きいんだから、ちゃんと大きさに見合った仕事してよねっ!」


「あのな...!この姿はこの子の希望の姿だろ?俺が好きでこの姿になったわけじゃねぇっつーの!魔力もおまえと半々だろがっ。」


「あー言えばこー言うじゃない?」


「おう!言ってやるぜ。だいたいなんでオマエだけこんなこの子ウケいい姿してんだよ!気にくわねぇ。」


「僕の方が可愛いからに決まってるでしょ。手のひらサイズだから良いとか言われちゃったし!羨ましいでしょー?」


「ムカつく野郎だぜ。だがな、女ってのは結局最後は強い男のとこに来んだよっ。俺みてぇなカッコいい男のとこにな!!」


「はぁ!?何言ってるの!?そっちこそムカつくんだけど!?

 だいたいそんな姿じゃ男じゃないじゃん!?オスでしょ!?オス!!」


「んだと!?てめぇもだろが!!」


「僕は男だから好かれてるんじゃなくて、存在自体が可愛いってこの子に思われてるんだからね!」



ーーーーうーん。なんかよくわからないけど、誰か達が近くですごく言い合いしてる?おーい、喧嘩はよくないわよー。



 ふわふわ真っ暗な闇が舞う。

 時折キラキラと光が差す。

 なんだか不思議な空間。


 体を動かそうにも動く力がなくて、そもそも意識しか今の私にはないのかしら?力が入らない。

 ただふわふわと漂うだけ。


 もしかしてこれは夢の中なのかな。


 ボーっと当たりを見渡す。


 口喧嘩をしている声の主達は近くにいる気配がするのに、なぜかその姿は見えなかった。



「ったく。ムカつくが、今は言い合ってる場合じゃねぇだろ?」


「......そうだね。あの銀色の王子様が、あいつを抑えてくれなかったらこの子はあいつの闇に取り込まれてしまってたよ。」


「そしたら、俺たちも終わりだ。

 俺たちは宿り主が死ねば消滅する。」


「そうだね。10年以上共に過ごしたんだ。

 僕達が消滅することを抜きにしても僕はこの子に生きて欲しいと思うよ。

 だって、ずっとこの子が頑張ってきたのを僕達は見てきたんだ。」


「......ああ、そうだな。」



 それきり声はしなくなった。

 かわりに真っ暗な闇が白んできて。

 時折差していた光とはまた違う、あたたかな光があたりを塗り替えていく。





「アリシアお嬢様!」


 目覚めて見えたのは見慣れたベッドの天蓋。

 横を向けば、エルケの心配そうな顔が間近にある。


 ガーラント家の自室に、私は寝ていたのだった。


◇ブックマーク、評価で応援いただけたら嬉しいです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] 始めから???の回でしたね! 凄く面白くて色々妄想が捗っちゃいます! 今回は久し振りの本編で、「やったぁ!」と叫んでしまいました笑笑 謎の声は何なのか、男の子達?二人は何者なのか、もう続き…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ