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王子と私の婚約破棄戦争  作者: 翡翠 律
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海底神殿と赤い髪の勇者 13



「おぉ...素晴らしい。水トカゲを王宮内で見ることができますとは!失礼致します、殿下。この水トカゲに触れて少し見させていただいても?」


 俺の生誕祭のパーティーに呼ばれていた生物博士や魔獣研究者達が、俺の横でスマイル顔で魚料理をたべている水トカゲをヨダレをたらしそうなほど興味深そうにとり囲んでいる。

 ちなみに魔法庁の者達は、球体バリアの中で洗濯機よろしくぐるぐると水洗いされているフリッツ兄を囲んで「なるほど、こういった魔法の使い方も...」となにやら感心して頷いており、国史学研究所の職員達は「チェラード所長、またですか...」と棒のような目をしてバリアを見て肩を落としていた。


「俺はかまわないが。本人...本トカゲ?に聞いてみるといい。ソイツは結構頭が良いみたいで、俺たちの会話を理解しているようなんだ。」


 なぁ、と水トカゲを見ると一瞬食べている手を止め、俺を見るとウンウンと頷く。


「なんと!知能がこれほど高いとは!」


 白髭の生物博士の目にハートが飛んでいる。


「でっ、では、我らに貴方の生態を...。」


 研究対象を前にはぁはぁフンフンと息が荒い博士達にまわりの給仕達がひいているのが見てわかるが、赤い水トカゲは特に気にしていないようで、すっと片手を博士達に差し出すと、『勝手に調べていいよ』と言っているかのように、反対側の手で魚を掴んで食べることを再開した。


 体のあちらこちらを拡大鏡(ルーペ)で調べられ、体温を測られたりしているが、水トカゲは我関せずというように食事に集中している。



 はは、マイペースなやつだな。

 俺は思わず笑みをこぼしてしまう。


 本来なら水から長時間離れることができない水トカゲ。だが、こいつは今俺達人間のように陸に上がり食事をとっている。

 そして、赤い水トカゲの額には出会ったときにはなかった青い紋様が刻まれていた。







 ーーーあの時、怪鳥ハルフを倒した後



 すぐさま赤い水トカゲを回復魔法で治したが、さすがに二度の重傷は体に応えたらしく、ぐったりとしてややふらついていた。それに長時間海水からでていたからか皮膚が乾いて鱗の下に裂け目ができて血が滲んできている。


 早めに海底神殿まで戻ろうと乗ってきた海竜に水トカゲを抱えまたがり、海へと戻った。


 海竜は神殿の近くまではわかったらしいが、正確な場所が結界で誤魔化されているのか、困惑したようにぐるぐると海面を大きく旋回しだす。


 仕方がない、一度、海底神殿への入り口まで戻るかと陸地を見た瞬間、バン!!バン!!バンッ!!っと轟音を上げて海中から跳ね上がった水が水柱を作り何十本、何百本も立ち上がった。


「なっ!?」


 なんだ!?と水柱を避けて海竜を飛ばしたが、目の前にさらに水柱が立ち上がり、あっという間に俺達は巻き込まれ、海中へと引き込まれて行った。





 ピチョン、ピチョン......。



 水音がする。


 水柱にのまれた時、目を瞑っていたが、どうやら今は水の中ではないらしい。

 苦しくもない。空気が吸える。


 うっすらと目を開けると。



「勝手にアタシの結界壊して行くんじゃないわよおぉーーー!!!」



 目の前に両手を腰に当て、大層ご立腹な海の女神ゼリンダの顔面が目の前にあった。



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