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ロイヤルリリー  作者: violet
15/23

聖なる泉

山奥深く、小さな泉が涌き出ていた。


「これが異常な進化の原因ではないでしょうか?」

ケーデルリアが、手のひらに水をすくった。

「今、私は殿下から微妙ですが魔力を感じてます。

王家は魔力があるのでしょう」


その通りだ。王家は代々、竜の血を受け継いでいる。


「この水にも魔力を感じるのです。

本当に微々たるものですが、飲むのを続けていれば影響がでるかもしれません。

飛獣など、今まで聞いたことも見たこともありませんでした。」

ケーデルリアが皆に説明する。


魔力のある自分が飲めば、自分も変化するのか?

レッドフリートは、竜になる、という伝えを思い出す。


「つまりは、この水があの飛獣を作るほどの魔力があるということか。

わかった、すぐに塞ごう」

泉に歩きだすのはキリンジャーだ。


レッドフリートが、王宮を出る時にキリンジャーに言わなかったのは、キリンジャーの性格を心配してのことだ。

行動力も、剣技も抜群だが、調子者なのだ。

頭の回転も早い、だが行動はもっと早いのだ。


すでに泉に浸かっているが、深いところでも膝までぐらいしかないらしい。

水が涌き出ている所を探しだしたようで、水辺から大きな石を持ってきて塞ぎ始めた。


ケーデルリアの言葉は可能性に過ぎない。

それを確認するよりも、怪しいなら潰してしまおう、ということらしい。

この泉はこの地域の水源かもしれない、植物形態が変わるかもしれない。


「ハイデル、泉はもういい。塞いでも、地盤の弱い他の所から染み出すかもしれない。

まずは飛獣のコロニーだ」

レッドフリートの言葉に、了解したとばかりにキリンジャーが泉からあがって来る。


「隊長、泉の中に魔獣はいませんでしたか?」

隊員が、魔獣の姿がないと言う。

「どうやら、飛獣を怖れて、この辺りは魔獣や獣は少ないみたいだ」

答えたのはゲンだ。



飛獣のコロニーは泉からすぐに着いた。

数匹の幼体だろう飛獣と、たくさんの卵。

1匹の成体の飛獣がいた。

足元にはエサだろう、たくさんの魔獣の死骸が転がっている。

幼体でも、人間の大人ぐらいの大きさがある。



「急がないといけませんね」

ショックを受けているエインズ伯爵の代わりに、ケーデルリアが言う。


「飛んでいった3匹が戻って来る前に、出来るだけ減らした方がいいな」

「だな」

レッドフリートとアイズが、他にも隠れていないかと確認している間に、キリンジャーは部隊を率いて成体に挑みにいった。


「あいつ」

アイズはキリンジャーを見ながら言葉が続かない。

飛獣は、キリンジャーの攻撃を受け、興奮して飛び上がった。


「腕はいいんだ」

レッドフリートが片眉をあげて、擁護するように言う。



その場にいた全員がコロニーに突入したが、成体は簡単にはいかない。飛んで頭上から攻撃してくるのだ。


レッドフリート、キリンジャーで成体を攻撃している間に、伯爵が卵を叩き潰してまわった。

幼体はアイズとゲンと隊員が斬りつけている。成体の固い身体に比べ、まだ皮膚が柔らかいみたいで深い傷になっていく。


「ギャアア」

耳をつんざくような鳴き声をあげて、成体がキリンジャーに向かって来る。


一瞬、動きが止まったキリンジャーだが、爪にかすられながらも避ける。

「これが、こいつらの魔力か。頭が痛い」

かすられた腕からは血が流れている。


「耳から頭が痺れているような感じだ」

ゲンも耳を押さえている。

「これを何匹も一緒にやられると、やばいな」


ケーデルリアが呪文を唱えると、一瞬で錯乱が治まった。

「すごいな、助かったよ」

レッドフリートがケーデルリアに声をかけるが、体力を消費したのだろう、ケーデルリアは肩で息をしながら声も出せず、手をあげた。


レッドフリートが縄を投げると、うまく魔獣の足にからまり、落ちて来た。

「これで少しの間は飛べまい」

今だと斬り込んで行くレッドフリートとキリンジャーに魔獣が鳴き声をあげる。


耳と頭の痛みに耐えながら、一撃一撃と剣を振り下ろす。


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