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ロイヤルリリー  作者: violet
14/23

飛獣

第2部隊が山脈に向かう途中で、空に飛獣が現れた。

それも3体である。


初めて飛獣を見るキリンジャーや隊員は、空を見上げ馬の足を止めた。

「あれが。あの大きさで空を飛ぶのか」

キリンジャーの口から驚きの声があがる。


「そして、肉食だ。

今なら個体数も多くないはずだ」

偵察から戻ってきたアイズが声をかけてきた。

ゲンとケーデルリア神官も一緒である。


何度もレッドフリートの随伴で神殿に行っているハイデルは、神官を知っている。

「ケーデルリア神官、貴方まで。ここは、一体なんなのだ」

困惑するハイデルに答えはない。一団は馬を駆け、山を目指した。


「この奥深くで、我らは飛獣のコロニーを発見したんだ。」

ゲンとアイズは早朝から山に戻り、そこでケーデルリアと合流したらしい。


奥深くに進むにつれ、ケーデルリアの様子がおかしい。

「神官殿の不調になる方向に進んで、みつけたのだ」

アイズが、コロニーを見つけた時の様子を話す。

「地に魔力が濃くなっていると言うのだ。俺には何も感じなかったが」

「たしかに」

答えたのはレッドフリートだ。

「身体が熱くなってくる」





「ねぇ、カッコイイ方だったわね。

お父様のお客様かしら?」

エインズ伯爵邸では、ディーヌが侍女に聞いていた。

「王都の第2部隊と聞いております」

侍女の言葉で、ディーヌは祭りの時にレッドフリートが言ったのを思い出した。

レッドフリートが父の伯爵に第2部隊の要請を言っていた。


「はい、お嬢様」

侍女がお茶を渡しながら言う。

「軍服がステキでしたわ」

「でしょ」

同感、とばかりにディーヌが頷く。


「あの方がキリンジャー隊長なのかしら?

きっとそうよね」

「軍の隊長は高位貴族の子弟が多いと聞いてます。

お嬢様、チャンスですわ」


「そうね」

と答えるディーヌに覇気はない。

素敵な男性とは思うけど、気になる男性がいる。


「お嬢様、レッド様は魅力的ですが、傭兵です」

侍女にはディーヌの想いがわかっているらしい。

ディーヌがそっと目をふせる。


「わかっています」

でも、ドンドン気持ちが大きくなっていく。

別の男性をみることで、諦めようとしているのかもしれない、自分で思う。


なぜ、こんなに気になるのだろう。

あんな初対面だったから、側にいくまいと思っていたのに。

傷は大丈夫だろうか?

昨夜はまだ出血していたのに、また山に向かった。


カップをソーサーに置くと、立ちあがり窓の方に行く。

山の方を見ても、何か変化があるわけでもない。

そこに、皆が行っている。レッドフリートもキリンジャーもエインズ伯爵も。


その目に、空を飛ぶ飛獣が映った。

ディーヌだけでなく、街でも目撃されているだろう。


ディーヌは、レッドフリートの外套を羽織ると、部屋の外に飛び出した。

「街のみんなが怯えているはず。

屋敷に残っている私兵隊は、私に付いてきて」


田舎育ちのディーヌは馬に乗れる。

私兵隊達と混乱する街に向かい、人々の誘導をするつもりでいる。飛獣が遠くに飛んで行ったようだが、どこに行ったかはわからない。



レッドフリートもディーヌも、それぞれが出来る事をするだけだ。

「お父様が出かけている間は、私が指示します。」

後を継ぐ弟は王都の学校にいっている。


王都に憧れはあるが、ディーヌは育った領地への思いが深い。

飛獣が飛来するのではと、恐怖はあるが、自分しかいないのだ。

「数人で飛獣が飛んで行った方向を調査お願い。

残りで領都の警備にあたります」


ディーヌが領都の中心地帯で、私兵隊の中から、調査に向かう人を呼ぶ。

「決して無理はしないこと。

わからなかったら、それでいいわ」

ディーヌがそう言うと、選ばれた私兵隊が農地地帯の方へ駆けた。


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