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ロイヤルリリー  作者: violet
13/23

ハイデル・キリンジャー

翌朝、あわただしさにディーヌは目が覚めた。

昨夜、部屋に戻っても、レッドフリートの百合の紋章が気になって眠れなかったのだ。




「ベル?」

ベルは昨夜出ていったまま戻っていないらしい。

たくさんの馬の(いなな)きがする。

ベルは怯えて、どこかに隠れているのかもしれない。大きな体で小心者なのだ。


侍女を呼んで支度を手伝ってもらうと、ディーヌは部屋の外に出た。

玄関には、軍隊がいた。


あの飛獣の調査に来たのだろうか。

「お嬢様、伯爵様が部屋にいるようにと言われてます」

侍女がディーヌを部屋に戻そうとする。


ディーヌが部屋に戻ろうとした時に、玄関に軍人が入ってきた。

ブロンドの髪に襟章のついた軍服。高官とわかる軍服だ。


家令が案内しているので、伯爵の執務室に向かうのだろう。

軍人はディーヌを見ると、騎士の礼をとり歩き去って行った。


「カッコイイ」

ディーヌが頬に手をあて、去って行った方向を見ている。

頬は紅潮し、ドキンドキン心臓の音がする。

麗しい男性を見れば、女性ならときめくのが普通のことだが、一緒にいた侍女は、ディーヌが好感を持ったように見えたようだった。


それは、伯爵の耳に入り、レッドフリートを悩ますことになる。



討伐隊が到着した事は、すぐにレッドフリート達もわかった。

レッドフリートは、伯爵の執務室に赴いた。

ドアをノックするとすぐさま開けられ、執務室の中に入る。


レッドフリートの姿を見て、中にいた軍人は驚いて目を見開いた。

「殿下」


その言葉に、やはり、とエインズ伯爵は思った。


「何故にこんなところに」

軍人は第2部隊長キリンジャー。


「事情は後で話す。今は飛獣だ」

「私を指名したのは、殿下だったのですね。

おかしいと思いました」


「レッドフリート王太子殿下」

エインズ伯爵がレッドフリートに向かい礼をとる。


「驚かないな。わかっていたか?」

「確信はありませんでした」

レッドフリートの問いかけにエインズ伯爵が答える。


「まずは、飛獣だ。

仲間を紹介したい。山の街偵察に行っているが、もう戻るだろう。

彼らには、私が王太子とは言ってないんだ。傭兵として知り合った」

王太子の言葉にキリンジャーは顔を歪める。


仲間だって。

今まで、自分が王太子の腹心だと思っていた。だが、何の連絡もなく、突然王太子は病気療養で王家の領地に行ったと知らされた。

あの時の嘆き。


「ハイデル、お前は私の友であり、相棒だ。お前に知らせずに姿を隠すようなことをした」

レッドフリートはハイデル・キリンジャーの肩をたたく。

その顔は、エインズ伯爵がいる今は話せない、と言っているのがわかる。


「レッドフリート」

その言葉でお互いの信頼がわかる。

「ハイデル」


「エインズ伯爵、ディーヌには私から話させてほしい。」

「殿下、娘のことは?」

「ディーヌは、なぜ王都で育てなかった?

貴族の社交にも出していない」

伯爵に問いながら、続ける。

「私は、ディーヌが私の運命だと思っている」


エインズ伯爵は驚くばかりだ。

「娘には王宮の生活は無理です」

「なぜ、いつも首元まであるドレスだ?」

レッドフリートはハイデルに向かう。

「後でディーヌを紹介したい」


まさか、ディーヌがハイデルにときめいていたとは、レッドフリートは知らない。



レッドフリートは伯爵とキリンジャーと共に、外で待機している第2部隊に向かう。

そのまま、飛獣が消えた山に向かえば、途中でゲン達とも出会うだろう。


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