鏡よ鏡、61
「ひとみちゃん、お久しぶりっす!」
ママはわたしの少し年下で40過ぎくらい。おなかが(大きい)。
「ママ、おなかが!」
「来月産まれるの」
「おめでとう!結婚したの?」
「ありがとー!あの人がだんなさま」
ママが座っているテーブルには気のよさそうな男がこちらを見て笑っていた。 「お店は?」
「いまからちょっと顔だけ出そうかな。もう若い子にまかせっぱなし」
「森さん、いまから歌いにいこうか?」
「うん、いきたい!」
「じゃ、わたしの車でご一緒しましょう」
「ママ、飲んでるんじゃ?」
「妊婦が酒飲んでるわけないでしょ」
「あはは、たしかに」