1、珈琲恋愛
「恋愛はジュース。甘いけれど、かき混ぜるような刺激がないかぎり甘さは底に溜まり、やがて分離する。」
ジュースや弁当、さらには蜂蜜など、「恋愛」とは何か、空き教室の隅で考えている人達が今日も活動している。その名は、「y=恋愛同好会」、略して「y恋」である。この同好会は、恋を進めつつ恋について掘りさげていくという人の集まりだ。
所属している金沢瑠璃がこう言った。
「恋愛は方程式。xが決まらないと恋愛にはならないのよ。そのxを求めるのが非常に面白いのよね。恋愛はジュースだとしたら、果汁(新鮮さ)×オリゴ糖(甘さ)みたいな?」
その方程式をもとに恋愛を進める。それが彼女達だ。
1、瑠璃の珈琲恋愛
金沢瑠璃には、付き合って2年の彼氏がいる。彼の名は、克人。克人の熱いアピールで付き合うことになったが、最近、克人の愛情が薄いと、瑠璃は薄々思っていた。
「克人、最近冷たい気がするのよね。デートも、部活で忙しいって言われて結局行けないし・・・スタメンだからしょうがないか。」
「んー。瑠璃、それは危ないかも。あなた達の恋愛が珈琲だとすると、砂糖のような甘さが足りず、克人の愛が冷めてるのかしら?もしかしたら、牛乳に例えられた恋敵があらわれて、珈琲牛乳になってしまったりして・・・考えすぎかしら、ウフフ。」
なんて言っている屋敷座最中のところは、とてもアツアツである。(後に紹介)ちなみに、最中もy恋に所属中。
考えすぎとも思ったが、なんか心に刺さる。案外合っているのかもしれない。この言葉で瑠璃は、克人を牛乳(恋敵)から守る決心をした。守らないと、珈琲が牛乳で染まってしまうから。
久しぶりに克人の部活を見に行くと、ボールを必死で追っている克人を発見した。サッカー部である。以前見に行ったとき、「瑠璃が視界に入ってきて気が散る」といわれ、自分が視界に入る嬉しさと自分が邪魔な存在という二つの気持ちがこみ上げてきたのだが、自分が邪魔な存在になるという気持ちを優先したため、それ以来見に行かなくなった。フェンスの外には、瑠璃と一人の女子がいるだけだ。正直、うちのサッカー部はあまり顔面偏差値は高くないほうだ。しいていうなら、克人が一番高い方だと思う。顔はかっこいいというわけではないが、性格が良く、クラスの人気者の一人だ。そう思うと、なんとなく嫌な予感がしてきた。まさかと思って、その一人の子の視線を追ってみると・・・まあ、的中というところだろうか。克人を見ていたのだった。その手には、家庭科の授業でつくったのか、クッキーがあった。克人が休憩にはいると、その女子は、タッタッタと克人に駆け寄った。
「かつ!家庭科の時間にクッキーをつくったんだけど、よかったら食べない?」
「・・・ありがと。ちょうど休憩中だし、食べるわ。」
克人は、あまり元気のない笑顔でクッキーを受け取り、モグモグと食べ始めた。それを見ている女子は、幸せそうだった。・・・どうやら、手遅れ?すると、克人が瑠璃のことを見つけたようで、克人は瑠璃に向かって走って行った。
「瑠璃!お前どこに行ってたんだよ!ハァハァ。」
「へ?」
瑠璃が振り返ると、後ろには汗がダラダラと流れている克人がいたのだった。
「今日、何も予定入ってないか?それなら、俺を校門で待っていてくれ。」
「う、うん・・・(?)」
いきなりどうしたんだろう・・・そう思いながら、校門で待つことにした。付き合いはじめてから、克人からあまり遊びなどに誘ってこなくなった。恥ずかしいのだろうか。しかし、「あまり」から「全然」になってしまい、ちょくちょく話をするくらいになってしまったのだ。
しばらくすると、部活終わりの克人がきた。
「・・・そこの公園で話をしないか?」
「うん・・・。」
夜の公園。辺りはしんみりとしている。
二人はブランコに座り、克人が話しかけてきた。
「・・・なんで、なんで部活見に来ないんだよ。俺、なんか悪いことしたか?」
唐突に聞かれ、瑠璃はびっくりしてしまった。
「えっ・・・だって、克人が『瑠璃が視界に入ると気が散る。』って言うから、私が気をつかって克人の視界に入らないようにしただけ。」
・・・沈黙のあと、克人がボソっと呟いた。
「・・・そういう意味じゃないし。心配して損したわ。」
「えっ・・・?(最後のほうが聞き取れなかった。)えっと、どういう意味でいったの?」
そう聞くと、克人の頬が桃のようにほんのりと色づいた。
「えっと・・・瑠璃に見られると、恥ずかしさで体が硬直するんだよ。男って、格好つけたい生き物だからさ、失敗したら格好わるいだろ?だから、来るなって言っているわけじゃない。・・・むしろ、来ないと・・・不安で不安で余計プレーが悪くなるし。」
「・・・フフッ。」
は?という顔をしている克人。瑠璃は、克人の可愛らしさに思わず笑ってしまった。
「私からも聞きたいことがいくつかあるんだけど、いい?」
「おう、いいぜ。」
瑠璃は聞きたいことを整理して、フゥーっと息をはいた。
「なんで最近遊べないの?」
「大会が近くて練習で疲れていたから、かな。んまぁ、最近練習がハードでどっちみち疲れてたんだ。ごめんごめん、大会が終わったら久々にデートすっぞー!」
「態度が冷たいのは、疲れていたから?」
「そう。決して瑠璃のことを嫌いになったわけじゃない。いろいろ勘違いさせてごめんな・・・。」
最期に、一番聞きたい、クッキーの女子のことをきいた。
「克人にクッキーを渡していた子は何?」
「あー。あいつ、なんかのゲームに負けて、男子にクッキーを渡すのが罰ゲームだったらしい。なんか、俺なら気をつかわなくていいんだってさ。」
・・・三角関係になるかと思った瑠璃。牛乳に染まってしまうかもとおもっていたが、むしろゼラチンが入って、二人の愛が固まったようだった。
数日後。
「恋愛は珈琲。砂糖の甘さを加えないと、苦いブラックのまま。牛乳のような恋的に染められてしまい、珈琲牛乳になることもあるが、ゼラチンのような固まる愛が加わって、珈琲ゼリーになることもある。」
新しい恋愛式がつくられたのであった。
1、終わり
どうも、ちょまぴです(*・v・)
眠気と戦いながら執筆したため、誤字脱字等あると思います。あったらごめんなさい・・・。
友達が、どうやら「小説家になろう」をやっていたらしくて、私もやってみたい!って思ったんです。
今回私が執筆したのは、「食べ物のような恋愛」です。甘かったり、苦かったり・・・いろいろあると思いますが、応援よろしくお願いします!
次回、ちょっとだけ話にでてきた最中ちゃんが主人公となっております。できるだけ早く書けるように頑張ります!!