雨のち曇り
人の気持ちの浮き沈みは激しいのと同じように、天気の移り変わりもまた激しかったりする。春夏秋冬、様々な季節のあるこの國は日ノ本という名である。春には桜の花を眺め酒を嗜む。夏には風鈴の音に涼む。秋は木枯らしが葉を巻き上げるのを眺める。冬は白く冷たい雪に心踊らせる。それぞれに楽しみがある中で、雨降りの時期がある。雨は人の気をどんよりと落とし、楽しみとは一風変わったものを運ぶ、ある人は雨の降る音は心地よく、空の奏でるオーケストラと例える。またある人は、恋路を支える温水と例える。そして、この二つ以外を考えるのが、一般的だと思う。冷たい空気を連れてきたり、はたまた生ぬるい風を届けてきたり、それぞれの季節でも雨の働きは様々だ。大地を潤す。生物の体を濡らし凍えさせる。物質に染み込み、カビが生えたりといいこと悪い事すべて引き受ける。雨は偉大でもあり黒幕でもある。
雨が上がる時、空には橋がかかる。七色に輝く綺麗な橋が。夜には拝めない代物だ。星空と青空、輝くものは違えど、生物の心を豊かにしていることに代わりはないのかもしれない。ただ、夜に雨が降ると輝くものが無く、暗闇に見舞われる。恐怖にかられる生物も少なくはない。分厚い雲に覆われた輝くもの。
今となっては、街灯という、人工物により照らされる路面にその輝くものの光は届かない。そのような儚い光は昔と変わらず輝き続けているのだが、この星の大気が濁ってしまったことで、届きづらくなった光が多々ある。雨のち曇り、光の届かない天気。晴れていても星星の光は空気中にて分散する。空の恵、雨。人々の助け光。光を遮るもの、雲。これらのものがもたらす幸福と心への潤い、はたまた気持ちの浮き沈み。様々の事柄に影響を与えるこれらはきっと亡くならない産物であろう。雨は降り止まずとも暑い雲の向こう側に光は待ち構える。終わりの見えない星星の物語。生涯語り継がれる星の末路。さぁ、人生を謳歌しよう。