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三月三〇日(土)朝一一時 


姉と男は出雲市に着く。

出雲大社は遷宮直前の調整で、神様が皆小さい手前の祠に納められている状態だった。その神聖な祠の前で、彼氏ができますように、とはしゃぐ若い女が群れをなして手を清めていた。波を仰ぐ大和の君のポーズを真似して、両手をVの字に上げている化粧が濃い女の集団もいた。杖をついた老人が夫婦で冗談を言い合いながら銅でできた金運が上がるという言い伝えのある鳥居を触っている。

「触ってきたら?お金好きでしょ?」

と男は姉に言った。うるさい、と言って姉は出雲大社の写真を撮った。黙って一礼して鳥居の中に入ってゆく。同棲していた時、姉が小遣いの管理を1円単位でしていたのをこの男は馬鹿にしていた。それはこの男の食費もきちんと計算しなければ不公平だろうという配慮だったのだが。男も遅れて鳥居をくぐった。

手を清めようと柄杓に触れると、三月末だというのに柄杓の柄が驚くほど冷たく、姉は手を清めるのを躊躇した。左手を流し、右手を流し、冷たい水にキスをして、柄を洗い流して左を見ると、男はハンカチを持っていなかった。姉はポケットからハンカチを出すと、自分が拭く前に男にハンカチを渡した。


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