三月二八日(木)
三月二八日(木)夜一一時五九分
姉は家のベッドに横になり、スマートフォンを探した。男とデートしている間、スマートフォンは充電が切れていたのだ。充電器をつなぎ、電源を入れると、母からの不在着信が昼の二時から三〇件以上入っているのを見つけた。
なんだかただごとではない。
妹は男の声を聞きながら考えていた。
「賭けの内容は、あなたのお姉さんが汚いか、否かです。お姉さんにはもうすぐ、大きな試練が降り注ぎます。お姉さんの心は試される。
ここに、二つの石があります。もし、お姉さんの心が綺麗だとあなたが思うなら、ピンクの水晶を、汚いと思うなら黒い水晶をお取りなさい。」
男はいつの間にか二つの丸い石が乗った盆を抱えていた。石は周りの白い光を反射して、内側から光っているように見えた。
「姉の心が綺麗かどうかは誰が決めるの?」
男は若干微笑んだように見えた。
「あなたです。しかし私にはあなたの考えていることがわかるので、私が決めるとも言える。」
妹は少し考えた。
「賭けでしょ?勝ったら何をくれるの?」
「あなたが望んでいるものを差し上げます。」
「負けたら?」
男はさっきよりもう少し大きく微笑んだ。
「あなたはこの夢から覚めません。」
妹はさっきよりもう少し長く考えた。
男は続ける。
「先程も申しましたが、この賭けへの参加は任意です。降りることも可能。」
男が言い終わらないうちに妹は顔を上げた。




