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三月二八日(木)夜一一時五〇分
姉は満員の中央線に乗り、疲労困憊でやっと家にたどり着いた。
姉は今日はランチを食べ、夕食を食べ、夜景を見ただけで帰ってきた。奇跡的なことだ。あと何週間もしないうちにあの男は家に来たいとせがみだすだろう。そうして自分の裸に欲情し始めるのだ。つまらないことだ。と姉は思った。だから今日は帰ってきた。
男と女がいたら、そういうことになり、それはとても当たり前のことで、そしてとてもつまらないことだ。今の姉にはあまり性欲もなく、できることならそういう事は避けたいと思っていた。しかし付き合う前の男が、特に若い男は最終的に女を抱くことだけを目的にして女に優しさを振りまいているということも最近なんとなく分かってきた。
それなら、こちらも、体は最後の最後までとっておくべきだ。感情の問題ではなく、それは欲しい男を手に入れる為の理性的な作戦だ。
こんな話も妹が聞けばやっぱり汚いというのだろうか。
しかしあまりそんなことを考えている時間はなかった。




