プロローグ
先月。
授業終了のチャイムが鳴り、みな仲のいい友達と談笑したりして思い思いのことを過ごしていた。
そんな活気のある教室のこと。
自分の携帯を一人の生徒に見せびらかしている生徒がいた。
「おいちょっと、見てみろよ。お前の面白い写真だ」
その携帯には、もう一人の生徒の一生懸命に走っている姿が・・・。
決して整っているとは言えない生徒の顔は、走っている苦痛で歪んでいた。
その生徒は下卑た笑いを浮かべる。
──人の不幸が、心底楽しい。
そんな顔。
「そ・・・そんな写真いつ撮ったのっ!!」
当然、生徒は消してもらおうと手を伸ばす。
しかし、それは叶わずぎりぎりの所で、離される。
勢いがついていたのか、かわされた少年はよろっと体を倒した。
「この前の体育の時にちょろっとな」
「消してよ……」
「いやだね……。それよりわかってるよな?」
生徒は息を呑む。
ドラマとかでしか見たことのない、虐め。
それは脅しという暴力……。
生徒は、この日から数日……。
この生徒に、忘れたくても忘れられない数日を過ごした。
さぞ屈辱だっただろう。
その時に彼の親友と呼べるものは、彼を助けようとした。
だが虐めをする人数は次第に増えていき彼を虐める者たちに抵抗が出来なくなった。
心の支えもなくなり、どうすればいいのか。
なぜ自分がこんなめにあっているのか。
とうとう彼は我慢できなくなり、自分の心にカギをかけた……。