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第一章 転異

つい最近まで横を見たら満開の桜が見れたというのに今はもう緑の葉でおおわれている。

先生は教卓でつまらない歴史の授業をしている。

ーー「このあたり一帯は戦争でーーー」

不意に耳に入ってきた言葉。戦争なんて今教えて何になるというんだろう。戦争なんてバカな国同士がやって無責任な国民を殺すだけの脳みそが詰まっていないやつらがやるものだ。

それにそんな昔の話を今更されたって、何の役にも立たない。今は国民の自由が尊重されている国であり、治安もいい。それなのにどうしてこんな無駄な授業があるのだろうか。

横目で時間を見る。10時14分ー。まだまだ授業は終わらない。僕はそのまま机に伏せて目をつむる。


意外と深い眠りだったような気がした。何時間寝たんだろう。チャイムの音が聞こえるはずなのに耳に入ってこなかった。そんなに熟睡していたのだろうか。

ゆっくりと目を開ける。そこにはさっきまでの教室ではない。目を横にやっても桜の木もなく、先生の鬱陶しい声もない。自分の体を見ると着ていたのは制服ではなく、教科書に載っていたような軍服みたいなものを着ている。いつの間にこんなものを...

「ねぇ、大丈夫?」

隣から高い声が聞こえる。顔を上げてみると女の子がいた。中学生くらいに見えるような、私よりは小柄な子だ。そんなことより何より違和感があるのが軍服だ。同じものを彼女も着ている。

「あなたは...?」

私がそう尋ねると彼女はハッとしたように表情が変わる。

「あ、言い忘れてました!私は同じく帝国大学付属高等学校第二学年三組のレイシアです!」

帝国大学付属高校...?え、それってどこ...?私が通ってるのは普通の市立の高校だ。しかも、帝国って私の住んでいるところは帝国ではないのに。

「え、えっと、ここってどこなの...?」

私は不意に彼女に聞いてしまう。レイシアは首をこてんと傾けており、何を言ってるのかわかっていなさそうだ。

「えっと...、ここは第三帝国大学付属高校ですよ...?ノクスヴァル帝国の中央区に位置してる...」

ノクスヴァル帝国って初めて聞く名前。授業を聞いていないからわからないけど、多分私が住んでいた世界の国ではないような気がする。つまりここはアニメとかでみる異世界なの...?でもなんで急に...。

「あの...、本当に大丈夫ですか?特に頭とか...」

最後の言葉が妙に強調されているような気がした。

これはただ純粋に心配して言ってくれているのか、私のことをディスっているのかはわからないが、もはや人を煽る天才だと思う。

その時鼓膜の容量をはるかに超えるような音と共に激しい揺れが襲い掛かる。外は何かが爆発したのか火の塊が転がっていた。

「あー、またやったのですね」

彼女は今日の天気を語るような、当たり前の顔で外を見つめていた。

「へ、な、何...?」

私はただ困惑していた。急に襲い掛かった爆音と彼女の当たり前のような顔。何がどうなってるのかわからない。私はこんな世界で生きていけるのか...


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