第2話 お嬢様は風邪です。
いつも読んでいただきありがとうございます!
お嬢様は病弱である。一年に一回は絶対にインフルエンザにかかり、一カ月に一回は絶対に風邪をひく。
そして今日はその日である。
「仕江~!」
お嬢様に呼ばれたので寝室に向かうと、ベットから顔だけ出したお嬢様―――姫野 姫代様が涙目でこちらを見ている。
「どうされましたか?お嬢様」
「抱っこしてぇ~」
はぁぁ?と言いたい。
17歳の少女が同級生に抱っこを命じるなんて…………。
「申し訳ありませんが、うつるわけにはいきませんので無理です」
「けちぃ!」
「ケチとかじゃないですよ!」
「ぶぅ……」
ほおを膨れさせて、フグみたいになっているお嬢様を呆れた目で見つめる俺なのであった。
「そろそろ学校行きますけど、ちゃんと留守番しててくださいね?お昼にはいい感じに早退してきますから」
「わかった……いってらっしゃい」
「はい。行ってまいります」
・・・
と、いうことで今日の俺の任務は姫代様が学校に来ていることを偽装することだ。万年皆勤賞を取らなければ、風紀委員長として、情けない!ということで、彼女が俺に課して来た我がままの一つである。
全く、どうしてこんなことに……。無駄に女装スキルと変装スキルが上がってしまったではないか!
学校に着いた俺は、誰とも会わずに、保健室に行く。
「ああ、よく来たね。仕江君」
「お世話になります。篠田先生」
篠田 瑞樹。我らが秀英学院高等学校の養護教諭(保健室の先生)である。僕の数少ない協力者でもある。メイク道具と変装道具を貸してもらっている。
「さて、今日は風邪かい?彼女は」
「ええ。そうですよ」
「全く君も大変だね。仕江家にさえ生まれなければ、とか思わないの?」
「まぁ、小動物みたいで可愛いですから」
篠田先生は少し懐かしそうな顔をする。
「そうだったね。いや、君が初めて来たとき、本当に驚いたよ……まさかあの完全無欠に見えた風紀委員長が実は甘えん坊のダメ人間だったなんて……ねぇ?」
「あははは……」
彼女との出会いは、とても肝が冷える物だった。
・・・
その日も今日のように風邪を引いた。しかし、意地を張ったお嬢様は俺の完全監視の下、学校に行かれた。しかし、彼女が突然、廊下で「もう限界……」と、涙を押し殺したような声で言ってきた。俺は慌てて(はたから見たら至極冷静に)保健室に運んだ。そして、彼女を布団に寝かせた。
次の瞬間事件は起こった。
いつものように寝ぼけたお嬢様が抱き着いてきたのだ。そして、ドアが開き、篠田先生と遭遇。
「女子にベットに引っ張られる男子と、男子をベットに引き寄せる女子の絵図」を完璧に見られ、俺たちの秘密はあっけなくバレたのだった。
・・・
「あの時からずっと黙っていただいてありがとうございます」
俺は再度、頭を下げる。
「いいってことよ。ささ、手早く済ませちゃおうか」
こうして、俺の第?回目の女装がスタートした。
続く
次回
第3話 お嬢様になりました。
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