表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

悪魔系ショートショート

業績悪化

 ある日一人の悪魔が地獄で昼寝をしていると、悪魔の王がその姿を見て怒鳴った。


「業績が落ちているんだぞ。しっかり働け!」


 地獄中がビリビリと震えるような怒声に悪魔はすぐさま飛び上がると、地上めがけて大慌てで走っていった。


 そして地上に降り立った悪魔は周りを見回しておやと首を傾げた。人の姿がまるで見当たらないのだ。たしかにいまは夜である。だが、以前悪魔が地上に来たときは人の作った灯りが夜の街を昼間のように照らしていたはずだった。

 もしかして、と悪魔は考える。

 自分が地獄でサボっている間に大規模な戦争でも起こり、人類の数が極端に減ってしまったのでは?


「そういえば王サマも業績が落ちてるとか言ってたっけ」


 しかし業績が落ちているとしか言ってなかったということは少しは生きている人間もいるはずである。その内に見つかるだろうと楽観的に考えた悪魔は、月明かりしかない暗い小綺麗な街をぶらぶらと散策がてら歩き始めた。


 するとその内に、1つだけ灯りのついている建物を見つける。


「しめしめ、やっと生き残りがいたか」


 悪魔はそう呟くと意気揚々とその建物に入り、そして思わず足を止めてしまった。

 その建物には棺のように人が寝ている箱が大量に並び、箱からはなにやらケーブルが伸びて建物の中央にある機械に通じている。


「なんだ、こりゃ」


 悪魔はその様子を見て呆然と呟く。すると、誰かが近付いてくる。起きている人がいたのか、と悪魔がそちらに目を向けると、そこにいたのは仲間の悪魔だった。


「お、お前もここに来たのか」

「ああ。ところでこいつは一体全体どういうことなんだ?」


 すると仲間の悪魔は肩をすくめると、どうもこうも、と言った。


「人間共は自分の望む夢の見れる機械を作り上げちまったんだよ。いまじゃ起きてる人間なんてほとんどいないぜ」


 悪魔は最近業績が悪くなっている理由を理解した。

お読みいただきありがとうございます

面白ければ感想や評価をお願いいたします

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
夢が見れる機械…。 そりゃ、業績も悪くなりますね。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ