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ぐだぐだ

「実家に帰らせていただきます!」

 とある女性が夫にそう言って、自宅から出ていった。

 それで、少し経ってから、夫である男性が彼女の実家を訪れた。

「お義父さん。道代に会わせてください」

「本人が顔を合わせたくないと言っているよ。昌彦くん、娘を傷つけるなんてひどいじゃないか。どうなっているんだね?」

「待ってください。道代は、怒って実家に帰るというのをやってみたかっただけだと思います。道代が晩ご飯を用意しながら『今日はごちそうよ』と言ったのを、『どこが?』と僕が返したのに腹を立てたんですが、写真を撮ってきたので、そのメニューを見てください。普通の白米のご飯に、味噌汁、納豆、海苔、目玉焼き、ソーセージ、野菜炒め。これだったら『どこが?』となりませんか?」

「何を言うんだね。きちんと作った、実に立派なごちそうじゃないか」

「お義父さん、笑っちゃってるじゃないですか」

「って、きみのほうこそ、神妙にしてなきゃいけないのに、ほおがゆるんでるじゃないか」

「いや、だって、お義父さんの笑い方が……」

「ちょっと二人ともいいかげんにしてよ!」

「道代。そういうきみだって笑ってるじゃないか」

「もー、二人がドラマの撮影でNGを出して笑いが止まらなくなった俳優の人たちみたいになってるからでしょ!」

「いくら語気を強めても、笑顔で全然駄目だよ。今、お義父さんにも言ったけど、実家に帰るってのをやりたかっただけなんだろ?」

「違うわよ、そんなわけないでしょ。もー……ホホホホ」

「三人のなかで一番笑ってるじゃないか。しっかりしろよ」

「そうだぞ、道代。お前が最もマジな顔してなきゃいけないだろうが。ムフフフフ」

 夫についてきて、ずっと見ていた、小学生の娘がつぶやいた。

「何なの? これ」


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