表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

2/5

第二話 これは……

すいません投稿遅れました!

これから自分はテストがあるので、投稿が遅れるかもしれません。作品を見失わないためにブックマークをつけて頂くことをおすすめします。

「エレミア……なのか?」

「はい……!そうだよ、ユウト……!」

 これは一体どういう事だ……?

 中に浮いたトラックの真下の俺にかけ寄り、優しく頭を撫でてくれる人物。

 紺色の聖職衣に身を包み、金のロザリオを首から下げる、まるでお人形のような可愛らしい顔をした、見た目十四、五の少女。

 忘れるはずも見間違えるはずもない。

 彼女の名はエレミア。

 彼女は俺の冒険者パーティーでシスターとして、回復担当をしていた。

「なっ、なぜエレミアがここに!」

「えっと……それはね──」

「おいおい、アタイを忘れるんじゃないよ!」

 少し低い女性の声が聞こえ、その方を見てみると、胸当てとパンツだけのような、全身に多くの露出が見られる格好をしている、オトナの色気漂う妖美な女性がこちらに近づいて来ていた。

 彼女のことももちろん知っている。

 俺のエレミアと同じく、俺のパーティーで盗賊職をしていたカルミネだ。

「カルミネ!? お前まで……」

「アタイだけじゃないさね! ほらあそこ」

 彼女が指差した先には、こちらに走って向かってくる二人の人物。

 一人は上裸でドウェイン・ジョンソンもびっくりのゴリマッチョスキンヘッド。

 もう一人はほっそりとした体型で、緑のローブと瓶底メガネの少年。

「よう! 久しいな! だいぶ痩せたんじゃねえか? 筋トレするなら誘ってくれよ!」

「ローデン! それに……誰だっけ?」

「シモンです! 貴方と同じパーティーの魔法使い! 忘れないでください!」

 戦士ローデン、魔法使いシモン。

 彼らもみんな俺のパーティーメンバーだ。

「それよりも早くこの下から出て下さい? 僕が魔法で持ち上げてますけど、結構重いんですよ?」

「ああ……悪い」

 エレミアに支えられながら俺がトラックの下から出ると、シモンはそれを降ろし、俺たちはとりあえず道端に固まった。

 そこでひとまず話をしようとしたのだが。

「見てみて! あの人たちさっきトラックを──」

「ラッキー! 投稿のネタ発見!」

「コスプレしてるけど……もしかして本物の魔法使いだったりして!」

 まずい……完っ全に目立っている。

 俺は世間に魔法を使用できることは徹底的に隠してきた。

 間違いなく注目されて面倒なことになからね。

 こいつらから事情を聴くよりも先に、この場をどうにか収めないと……

「そうだ、あの魔法なら!」


 ***


「《アムネシア(記憶喪失)》!」

 エレミアが魔法を唱えると、一瞬周囲が光に包まれる。

 それが消えると周囲の人たちやトラックは、突如何事もなかったように道を歩き始めた。

「記憶は消したよ?」

「よくやった!でかしたぞエレミア!」

 記憶を消す魔法で、今の出来事を実質的に抹消した俺たちは、今度は路地裏に移動し固まって話を始めた。

「ユウト、久しぶり!」

「アタイたちの事忘れてないだろうね?」

「ああもちろん!みんな……一体どうやってここへ?」

「まあ簡単に言えば転生ですね」

 転生……ということは。

「お前たちあっちの世界で死んだのか!?」

 そう問うと、みんなは後ろめたい表情で、俺から目線を外した。

「実は──」

 シモンがその理由を説明してくれたので要約すると。

 俺がいなくなった後、話をしていた彼らはふと、俺が言っていた異世界の食べ物の事を思い出したらしい。

 確かに俺は異世界の料理を再現したものを、何度かこいつらに振る舞ったことがある。

 そしてその中で俺が再現に失敗した、わらび餅に興味がわいたらしく、その特徴を色々と総合してみた結果、スライムという雑魚モンスターがそれに近いと思ったらしい。

 問題なのはここから。

 スライムはそのあたりにいるので簡単に捕獲することはできたが、スライムは完全に倒してしまうとただの水に戻ってしまうので、みんなしてそのままスライムをちぎって食べてしまったらしい。

「そしたらそのスライムが思いのほか喉で暴れて……」

「俺たちの喉につっかえて全員窒息死しちまったってわけだ……」

「一言言ってやろう。馬鹿だろお前たち」

 魔王を討伐したのに死因は雑魚代表のスライムを食べて窒息なんて……俺たち世間の笑い者じゃん!

「それでこっちの世界に転生してきたと……」

「あ、そうだ! 私たち女神様にも会ったんだよ。そうしたら……『あなたたちは魔王を倒した勇者の仲間なので少しばかりの猶予を与えます。ユウトの世界へ送りますので……そちらではユウトに色々面倒を見てもらいなさい』って赤と青の四角い箱をポチポチしながら言ってたよ」

 あんのクソ女神……!

 やってる生活がほぼニートじゃねえか!

 こっちは自分の生活費だけでカツカツなんですけど!?

「ってなわけだから」

「俺たちの事」

「こちらの世界でも」

「よろしくね!」

 そう言って俺に向かってにっこりな四人。

 将来が不安になってきた俺……

 これは転生元勇者と癖者パーティーメンバーとの現代スローライフ……を目指す物語である


 

【営業戦士の豆知識】

わらび餅の再現を何度もしていた勇者ユウトは、実はわらび餅の代わりとしてスライムを食べた事があったが、ユウトはアニサキスだらけの魚や賞味期限切れしてから一カ月前の牛乳、生のジビエ肉を食べても食あたり一つ起こさない最強の胃袋の持ち主であり、食べたスライムはものの数秒で強酸性の胃液に溶かされてしまった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ