ひなの誕生日SS 後編
広いホールの1段上がったところだけがスポットライトに照らされた。
──そこには机にのった巨大なケーキがあった。
「えっ、でかっ…」
大きすぎて、思わず声を上げてしまった。そのぐらい大きかったのだ。
僕はだいたい155センチあるからそれを基準にすると、140センチはあるかもしれない。絶対1メートルは超えてる。そのぐらいでかいけど、細かく装飾されていて上品で高級そうだ。
5段にケーキが積み上がっていて、たくさんのフルーツが色とりどりに飾られている。
5段目は、真っ白のクリームにツヤツヤな一粒がとても大きい赤い、いちご。
4段目は、5段目のように真っ白のクリーム。その上には、オレンジやキウイ、ぶどうがのっている。
3段目は、ピンク色のクリームに、ミント色のクリームで飾り付け。
2段目は、ピンク色のクリームにキラキラと輝くホワイトイチゴが。
1段目にはルビーのように輝くラズベリーソースがかかっていて、その上にホワイトチョコで出来た、「happy birthday!」と書かれたプレートがのっている。
「あれって本当にケーキなのか…?」
高級感が強すぎて、食べれなそうに見えるのだ。それに食べられるとしてももったいなくて食べれない。結婚式で出てきそうなケーキの上位互換だ。
パッ!
♪〜〜♫〜〜
えっ!
突然、電気がつき、音楽が流れてきた。
クラシックのようだ。誰でも一度は聞いたことがある曲だと思う。
なんの曲か考えていたら急に、ケーキの後ろから人が飛び出てきた。
「わ!れお!」
「えっ!なんだ、ひなか〜。」
「驚いてくれた?」
「めっちゃびっくりしたよ。急に電気が消えて、1メートルを超えているケーキが現れたからね。」
「良かった〜!驚かせたかいがあったよ。あられはちょっと、バラしそうになってたけどね。」
「やっぱりあられは知ってたんだ。」
急に誰かが飛び出してきたから驚いて、一瞬心臓が止まりそうになっちゃった。あられは、知ってたっぽいけど、ペンギンの口笛っていう珍しいところが見られたからよかった。いつか、合唱してみたいな〜。
「さあさあ、このケーキ食べよ!」
「えっ、このケーキを食べてもいいの?絶対高級なのに。」
「食べていいに決まってるよ。それとも私があーんって、してあげよっか?」
「や、や、やめて!自分で食べられるから!」
れおは顔を真っ赤にし、ひなはそれをからかうという、いつもとは違う光景が出来た。さらに、追い打ちをかけるように、ひなはれおの口元まで運んでいった。
「本当に、いいからぁ〜!!!」
「ふふっ♪」
恥ずかしいー!!!この状況をどうにかしないと。まだ、配信してないだけましだけどね!!!視聴者にからかわれてる未来がめっちゃ想像できる。
辺りをキョロキョロ見回しても、配信カメラは見当たらない。よし、絶対配信されてないね。
「自分で食べれるからね。」
ケーキの2番目の段を取って、食べよう!
「ジーーーー」
ひながこちらを見つめてきた。悲しそうな目でだ。
「自分で食べるよ!」
「ジーーーーーーー」
また、悲しそうな目で見てきた。そんな目で見られると、食べられないんだけど。
うう、しょうがない。
「じゃ、じゃあ、ひなお願い…」
「いいの!?ありがとう!」
そっちが言ってきたんでしょ!口には絶対に出さないが、心のなかでツッコんだ。
そして、心を無にしよう。平常心、平常心。
「じゃあはい、あ〜ん。」
パクっ
「お、」
「お?」
「おいしーーー!!!!」
僕は、恥ずかしさを忘れ叫んだ。
そのぐらい美味しかったのだ。
「でしょ?これを作っているところ、私のお気に入りの店なの♪」
「本当にありがとう!おいしくて、いくらでも食べれちゃう。」
「こちらこそ。こんなにいい反応をしてくれるとは思わなかった!」
おいしすぎるし、ひなも喜んでくれているみたい。不本意だけど。
本当に、今日は最高の日だな〜。ひなの誕生日だけど。
「ひな、これからもよろしくね。」
「急にどうしたのw。うん、これからもよろしく!」
れお=単純
ひながマジックをするとか、あられと一緒にダンスをするとか考えましたが、これが一番しっくり来ました。
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