ひなの誕生日SS 前編
「ひな、誕生日おめでと〜!」
「わおーん!」
「ピーピー!」
「みんなありがとー!ほら、お寿司とかチキンとかどんどん食べよ!」
ひなの家のホール。
僕とコロ、あられ、そして本日主役のひなで大きなテーブルを囲んでいる。
今日はひなの誕生日。ひなの家は豪邸ぐらい大きいからそこでやることにした。
家にホールがあるなんてすごいよね。庭にはテニスコートもあるし。
まあそれで、いろんなものを買ったり、ダンジョンで取ってきたりしてお誕生日会をしてるよ。
「でも本当に僕たちだけが使ってていいの?ひなの家族とお祝いしなくて…」
「全然大丈夫だよ!明日、みんなでするし。」
「そうなんだ!ありがとう。」
「食後にはケーキもあるから。」
「わあ、本当にありがとう。」
あっ、そろそろプレゼントを渡さないと。せっかく用意したしね。
頑張って選んだけど、気に入ってくれるかな?そこまで高価なものじゃないけど…
「ひな。これ誕生日プレゼント。いつもありがとね。」
「わあ、ありがとー!開けてもいい?」
「うん、いいよ。気に入ってくれるかわからないけど…」
ベリベリべリ
包装紙を破いた。ひなをイメージとした水色の包装紙だ。
そこに入っているのは──
「なにこれ可愛い!ありがとう。」
──水色のペンギンの刺繍が入ったハンカチと水色の髪飾りだ。
「ペンギン好きだから、それがいいかもなーって思ったんだけど、どう?」
「めっちゃかわいい。この髪飾りも小さな金色のペンギンのストラップが付いてるね。嬉しい!毎日つけるね。」
「喜んでもらえてよかった。」
なにせよ、色んな店を回って探したからね。2つとも同じ店で買ったんだけど、見つけた瞬間これしかないって、ビビっと来たんだよね。運命的な。
でもほんと女の子が欲しいものとか難しいね。好みのものがわからない。逆に、気を使わせちゃうかもしれないしね。でも、喜んでくれたみたいで良かった〜。ホッとした。
そうしてコロをなでた。
そうしてまた、ひなの方をむくとすると、なんと、ひながいない。
ひなが急にいなくなったんだけど。目を離した隙にどこかに行っちゃった!?
「コロ、あられ、ひながどこに行ったか知ってる?」
「わんわん」
「ペーン!ピーピー♪」
あられがなんか怪しいぞ。
コロは、「知らないよ〜」って言っいて、でもあられは、「し、知らなーい。プープ♪」って口笛吹いてるし。てか、ペンギンって口笛できるんだ。
まあ、それは置いといて、あられは何かを知ってるみたい。でも知ってても内緒にしてるっぽいし、危ないことではないんだろう。そもそも危なかったら、止めると思うしね。
食べながら待ってるか。
もぐもぐ。このお寿司美味しいな〜。もぐもぐもぐ。このチキンも美味し〜。
次は何を食べよ──
カチッ
急に電気が消え、辺りが真っ暗になった。
──かなー。
……えっ!急に何にも見えなくなっちゃった。停電…ではないか。カチッていう音が聞こえたし。
ひな、あられ、コロは無事かな?でも誰が消したんだ!
「急に電気が…どうして!?」
「わんわん?」
あっ、コロはいる!
「ピー!」
あっ、あられもいる!
良かった〜、あとは、ひながどこにいるのかだよね。でも、何が起こったんだろう。
パッ!
また、電気がついた。
いや、その表現は正しくないか。広いホールの1段上がったところだけがスポットライトに照らされた。
──そこには机にのった巨大なケーキがあった。




