第九話
「チー、周辺に魔物や賊の気配はあるか?」
「ないみたいね」
「フリック、親衛隊の奴らにこの辺りで野営を行うと伝えて来い」
「了解だ」
「カロン、チーと一緒に親衛隊の連中が揃うまで周辺の警戒だ」
「分かった」
「ジークは、かまどを作ってくれ」
「はいはいっと」
街を出発して、そろそろ日が暮れるという時間になり、俺たちは最初の野営予定地に到着したのだが……親衛隊の数名がかなり遅れていた。
始めは遅れたふりをして聖国へ報告する時間を稼ぐつもりなのかと警戒したが、どうやらそれは杞憂のようで、ただ単に協調性のない奴が選ばれていただけのようだ。
ちなみに遅れているのは五人で、その全員がギルド長の調べた情報によると親衛隊の穴……もしダンジョン核を破壊できた時に、その責任を擦り付ける用の生贄として目を付けていた奴らだった。つまり、ここで脱落されては困る奴らでもあるのだ。
「隊長さん、今日はここで夜を過ごすが、周辺の警戒にはそちらからも出してくれるというので間違いないな?」
「ああ、基本的にはこちらとそちらは分ける感じだが、最低でも常に一人は警戒に出すようにしてくれ」
「分かった。それと先に言っておくが、この依頼の最中、俺たちのところは基本的にジークは出さないつもりだ。経験の浅い二つ星の若手に、夜間の警戒までさせるのは負担が大きいからな。そこのところは理解しておいてくれ」
「ふむ……実力的には申し分ないと思うが、経験が不足しているというのなら仕方が無いな。その分の負担をそちらがすると言うのなら、こちらとしてはかまわない」
親衛隊長は俺が夜間の警戒に参加しないことを疑問に思ったようだが、流石に経験不足だからと言われたら納得するしかなかったみたいだ。実際に、野営自体はこれまでに何度もやっているので慣れているが、複数でとなると学園にいる時に数回経験しただけだし、これほどの人数での経験は全く無いので、おっさんの言っていたことは正確ではないが嘘ではない。
「おっさん、かまどが完成したぞ。少し早い気もするけど、料理を作り始めていいか?」
「そうだな……早めに食って夜に備えておくか。分かっているとは思うが、あまり臭いのする料理は作るなよ」
「分かってるって……適当に作るけど、文句は言うなよ」
この辺りにいる魔物や動物なら脅威となるような種類は確認されていないが、この間のコボルトリーダーのこともあるし、数が集まればその分だけ体力を削られてしまうので、ここはおっさんの言う通りにする方がいいだろう……ちょっとだけ、わざと臭いのするものを作って親衛隊に擦り付けようかと考えたのが、おっさんにバレたのかもしれない。
おっさんの許可が出たので、かまどで湯を沸かす準備をしていると、ようやく遅れていた親衛隊の残りが追い付いてきた。
そいつらは遅れて来たというのにへらへらしていたので親衛隊長から怒られていたが、あまり効き目は無いようだった。
(こうしてみると、親衛隊の中でも温度差があるな)
親衛隊長を筆頭に、遅れずについてきていた奴らは聖女のことを考えて行動しているのが見ていてわかるのだが、遅れて来た奴らは素行不良と言っていいくらい態度が悪く、明らかに親衛隊長を侮っているのが見て取れた。
(大方、あいつらは有力者の血族というところか……)
そんな光景を見て昔のことを思い出してしまい、少しだけイラついてしまったが……あいつらにも利用価値はあるし、今のところ俺たちに絡んでくる気はないようなので意識を切り替えることにした。
しばらくの間料理を続けていると、周囲の警戒に出ていたチーとカロンも戻ってきていたらしく、少し離れたところからおっさんたちと四人で俺を見ていた。
「出来たぞ。各々カップを用意してくれ」
そう声をかけると、おっさんたちは待ってましたとばかりにやってきて、俺の前に並んだ。ただ、何故かおっさんの後ろに、白い髪の五人目がいた。
「……何で聖女がこっちに並んでいる?」
「えっ? だっておいしそうでしたから……それと、私の名前は聖女じゃなくてクレアですよ」
そんなこと聞いてないと思いながら、チー、フリック、カロンと順番に食事を渡していくと、四番目だったおっさんが、
「余分に作っているみたいだし、一個くらい構わないだろう。それに、あちらさんの様子じゃ、食事はもう少しかかりそうだしな」
おっさんが指差す先には、火おこしから苦戦している親衛隊の姿があった。あの感じだと、乾いた枝ではなく湿った枝か、生木を使ってしまったのだろう。
「生木は論外としても、湿った程度なら魔法で乾かせばいいのにな」
そう思わず呟くと、
「ジークさんはそんなことも出来るのですか?」
と、クレアが少し驚いた様子で反応した。すると、
「ジークのことだから、それくらいのことが出来る奴を連れてこなかったのかと言いたいんだろうよ。ジークがそんな器用なことが出来るなら、期待の三つ星冒険者として近隣に名を轟かせていただろうな」
おっさんがさり気なくクレアの疑問に答えた。
本当は魔法で湿った枝だけでなく、生木も乾燥させることくらい簡単に出来るのだが、実際はなかなか難しい技術のようだ。そんなことが出来ると思われないように、おっさんが少し大げさなフォローを入れたのだろう。
「それでおっさん、本当に聖女……クレアに渡してもいいんだな?」
そう確認するとおっさんは笑顔で頷いたので、予備の中からクレアに一つ渡した。ついでにクレアが持っていたカップにスープを入れて渡すと、何故かクレアは親衛隊のところに戻らずに俺たちの近くに腰を下ろして一緒に食べ始めた。
「それにしても、ジークは意外にも料理が上手いんだな」
おっさんが驚いた様子でそう言うと、チーたちも頷いて同意していた。
「そんな難しいものじゃないからな。ベーコンを湯がいてパンに香草と一緒に挟んで、スープの方はベーコンを湯がいた残り汁を塩とスパイスで味付けしただけの簡単なものだ」
ベーコンは孤児院のメリッサとメアリーに頼んで急いで作ってもらったもので、味は薄くてあまり日持ちがしないようなものだが、少し味を足してやれば気にならないくらいのいい出来だった。
パンに挟んだ香草は枝を集めている時に見つけたもので、少しくせはあるものの栄養価も高いとされているし肉の臭いを抑えることが出来る優れものだ。ただ、似た感じのもので副作用が強いのが存在するし、厄介なことにその二つは同じような環境を好むので、今食べている野草の横に食べられない野草が生えていることもあり、野草の知識が乏しいものは手を出さない方がいい代物でもある。
「へ~……ジークさんは野草にも詳しいのですね」
「普段受ける依頼はそう言ったものが多いからな。自然と詳しくもなる」
全員が食べ終えて一息ついたところで、俺はおっさんとクレア以外の三人に、余分に作った残りを大きな葉に包んで渡した。
「これは夜食だ。食べるタイミングが違うだろうから、各々で管理してくれ」
そう言うと、三人は感謝の言葉を口にしながら受け取っていた。そして、そんな様子を見ていたおっさんが、
「ジーク、俺の分は?」
と言ったので、俺はクレアのお腹を指差しながら、
「おっさんの分はそこに収まった。おっさんがクレアにもやれと言うから、おっさんの分として置いていたのを渡したが……文句は無いよな?」
おっさんの分だったやつの在りかを教えてやった。
流石のおっさんも、自分がクレアにも渡せと言った以上、本人の目の前でごねるわけにもいかなかったようで、引きつった笑みを浮かべていた。まあ、おっさんのことだから、どうせ自分用の非常食くらいは用意しているはずだ。
「ついでに聞くけど、なんか俺の分だけ皆のやつと比べて小さかった気がするんだけどよぉ……」
「気のせいだ」
本当のところはわざと少し小さいのを作っておいてそれを渡したので、おっさんの気のせいではないのだが……これについてはちょっとした仕返しだった。
このおっさん、ギルドで俺に大きな背負い袋を渡してそれをパンパンになるまで詰めさせたくせに、クレアたちとの合流場所に到着した俺を見るなり、邪魔だから中身の大半は置いて行けと言い出したのだ。
おっさんとしては、俺が経験不足から過剰に荷物を持ってきてしまったという感じを見せて、聖女たちの油断を誘いたかったのだろうが、そのせいで俺は親衛隊の数人から笑われてしまったのだ。まあ、その親衛隊の中にも、こっそりと居残り組のやつに自分の荷物を預けている奴もいたが……おっさんの声のデカさのせいで、俺だけが目立ってしまっていたのだ。ちなみに、その場で置いてきた荷物(量増しの為の毛布)は、確認の為に来ていたギルド職員がちゃんと持って帰っていた……が、そのギルド職員もその荷物がおっさんの指示だったとは知らなかったようで、必死になって笑いをこらえていたのだった。
「クレア様、食事の準備が出来ました」
クレアがお代わりをしたスープを飲み干したタイミングで、親衛隊の一人(女性)が俺たちのところに近づいてきて、クレアの腕を引っ張って連れて行った。少し強引な感じだったが、離れる際に俺たちを睨んでいたので、聖女を冒険者風情と関わらせたくないとでも思っているのかもしれない。
「おっさん、薪を集めている間に周りを軽く調べてみたが、この辺りはかなり毒草や毒虫が多いみたいだ。もっとも、そこまで強い毒を持っているのは確認できなかったが、食べたら軽いめまいや吐き気に腹を下すような毒草や、刺されたらかゆく、人によっては軽い痺れを感じるような虫を見つけた」
「まじか……今からでも場所を変えるように言った方がいいか?」
「多分、この先はどこも同じようなものだろ。それならこの場に留まって、明るいうちに対策を採った方がいいと思う」
そう言うとおっさんたちも納得し、親衛隊に気が付かれないように周囲を整えていった。まあ、虫の多そうな茂みや木の下を避け、忌避剤の原料に使われる野草を肌や服に塗ったり寝床の周辺に撒き、むやみに野草を触らないといった程度のことしか出来ないが、それだけでも次の日の朝に俺たちと親衛隊には大きな差が出ることになったのだった。
「おい皆、今親衛隊の隊長からの頼みで、出発を少し遅らせることになった。何でも、朝になって体調不良を訴えるものが数名出たそうで、治療を行いたいとのことだ」
起きて早々におっさんは親衛隊長に呼ばれて、出発時間を遅らせたいと言われたそうだ。もっとも、おっさんは頼まれたと言ったが実際のところは決定事項のようなものだったので承諾したそうだが……やっぱりこうなったかと言うのが俺たちの感想だった。
治療自体は親衛隊の中で魔法が使える者が薬も使いながら行うそうなので時間はそこまでかからないみたいだが、多少は余力を削ることが出来そうだし、何よりもこれで少しは主導権をこちらに引き寄せることが出来そうだ。
向こうは俺たちのことを下に見ている者が多いようだが、自分たちのミスで被害が出て予定に遅れが生じた以上こういった環境になれている俺たちの意見を無視できなくなるだろうし、そうなればあいつらの行動を誘導しやすくなる分だけ、俺たちの目標達成の可能性も高くなると言うものだ。
「それにしても、ジークが野草に詳しくて助かったな。恥ずかしい話だが、俺はそこら辺の依頼をあまり受けなかったせいで、最低限のものしか分からないからな」
おっさんが親衛隊の連中に聞かれないように小声で話すと、他の三人も同意していた。
普通は薬草を集めるといったような依頼は、ギルドに加入したばかりの新人が冒険者という職業に慣れる為に行うことが多いので、ある程度ギルドの仕組みを理解するともっと儲かる仕事に手を出すことが多いのだ。それも、才能があると言われる冒険者程、そう言った簡単で報酬の安い依頼を受ける期間が短い為、おっさんたちのような実力者と呼ばれる冒険者が野草には詳しくないということもよくある話ではある。
「ところで、ジークはどうやってそこまで野草に詳しくなったんだ? やっぱり、ばあさんの仕事が関係しているのか?」
「ん? 確かにそれもあるけど、この街に来るまで野営ばかりだったからな。一年近く野営を中心に生活していれば、自然と詳しくなるぞ」
野営中に気になった野草や虫と言ったものは、しっかりと覚えておいて街に寄った際に調べてみたり、調べる前に身を持って体験したりすることで、嫌でも詳しくなるのだ。ちなみに、体験の中には不可抗力で寝込みを襲われたり、好奇心に負けて口にしたりと言ったものも含まれている……と言うか、野草に関しては好奇心に負けた結果でのことの方が多い。ちなみに、俺は毒に対しての抵抗力が高いので、今のところ大事には至っていないが、普通の人間なら数回は死んでいるはずだと、過去のことなのに事情(食べてきた野草の種類と量)を知ったばあさんとモニカさんには怒られた。
なお、同じく事情を知ったおっさんたちは……ドン引きして俺から距離を取っていた。
「とにかく、分からないものには手を出さないようにすればいいし、最悪の場合は少しだけ口に含んで様子を見るとか、肌の薄いところにこすりつけて反応を見るとか言う方法もあるな。まあ、それで大丈夫だったからと言って、確実に安全とは言えないけどな」
いわゆるパッチテストと言うやつだが、自然界にはほんの少しであっても致命傷になる毒が存在するので、余程のことがない限りは手を出さない方がいい。まあ、俺が言えたことではないけれど。
「まあ、ジークの性癖は他人が口を出すことではないし、その変態性のおかげで助かったんだから、深く追求するのは止めておこうや」
などと、おっさんが冗談交じりに締めくくろうとしたが……他の三人はおっさんに同調することは無かった。何故なら、
「ちなみにだけどな、おっさん……昨日作った料理に使った野草は、あれくらいの量なら問題ないし、何より万が一のことが無いように手を加えていたけど、食べ過ぎると眠れなくなったり腹を壊したりすることもあるからな……あくまで、『量と調理法』を間違わなければの話だけどな」
自分たちの態度次第では、今後俺の作る料理を美味しく食べることが出来なくなるからだ。それどころか、下手をすると今治療を受けている親衛隊の隊員たちのような目に遭ってしまうことも考えられるのだ。
そのことに気が付いたおっさんは、「あっ!」と声を漏らした後で、
「……ジークが博識だったおかげで美味しい思いが出来たんだから、今後も頼むな!」
などと、少し前のことを無かったかのような態度になり強引にやり直そうとしたが、皆で無視していつでも出発できるように準備を進めていた。
「おっさん、悪いけどここからは先頭を代わってくれ。この先はほとんど来たことが無いから道に詳しくない」
「おう、分かった。ここまでご苦労さん……フリック! ジークと交代だ! ここから先はジーク以外の四人で先頭を順繰りに代わって進むぞ!」
そろそろよく俺が依頼で行動している範囲を外れそうなので、打ち合わせ通りおっさんたちと交代することになった。
これが普通の依頼であるのなら、俺の経験の為ということで先頭を歩かされるはずだが、今回はあくまでも聖女の指名で無理についてきているという体なので、不安要素をなるべく排除するという形で場所を後退することにしているのだ。まあ、この先の道に詳しくないとはいえ、いつもの森と出てくる動物や魔物の種類にほとんど変わりがないので、誰かと一緒に先頭をやるという案も出ることには出たが、元々俺は一人で依頼を受けていたので誰かと組んだ経験がなく、経験豊富な先輩冒険者とは言え初めて顔を合わせたような奴といざという時に連携を取るのにも不安があったので、色々考えた結果こうなったという理由もある。
「おっさん、この調子だと、ダンジョンがあるというところまでどれくらいで着くと思う?」
「そうだな……俺たちだけなら三日かからないと思うが、今回は慣れていない連中がいるからな……しかも、一応依頼主という形の奴らがな。それを加味すると、四日か五日じゃないか?」
思ったよりも時間がかかるなと思いながら後方の聖女たちの方を見ると……慣れない森の中を鎧姿で移動しているせいでかなり手こずっていた。
そう言ったこともあって、先を歩いている俺たちがある程度道を切り開きながら進んでいるというのも、予定よりも遅れている原因となっている。
ちなみに、親衛隊との事前の打ち合わせでは、親衛隊がこの街に来る為に通って来た道を使うという提案をおっさんがしたが、その道を使うと目的地までは今使っている道と比べると倍以上の時間がかかるという理由で却下されたのだが……この調子なら、おっさんが提案した道を通っても一日二日くらいしか変わらず、おまけに疲労が少ないという結果になりかねない。もっとも、親衛隊だけが疲れてくれる分には俺たちにとって歓迎すべきことなので、今から楽に進める道を使うなどと言う提案は絶対にしないとおっさんは笑っているし、俺としても同意見だ。
「それにしても……流石聖女の親衛隊と言うべきか、まだあんな装備なのにまだ疲れを見せていない奴が数人いるな」
おっさんの言う通り、半数以下ではあるものの疲れを見せずに俺たちの後を付いてきている隊員が居た。
「パッと見で余裕がありそうなのは、親衛隊長にその側近と思われるベテランに……クレアだな」
親衛隊長や明らかにベテランと分かる隊員は、こういった環境にも慣れているのか周りに気を配る余裕があるのは分かるのだが、クレアが未だに軽い足取りで歩き続けているのは完全に予想外だった。むしろ、装備の差があるとは言え、親衛隊長よりも体力があるみたいで、時折遅れている隊員を励ましに行ったり、怪我をした隊員の治療までしていたりする。
「聖女と呼ばれているもんだから、てっきり世間知らずのお嬢様かと思っていたが、何かしらの秘密がありそうだな……もしかすると、あの世間知らずな発言や行動は、全て演技だった可能性もあるな」
などと、おっさんはクレアに対して警戒を強めていたが……俺としては、何となくではあるもののクレアは演技をしていないと思っている。あれが素であるからこそ、俺の気に障ることが多いのだと。
まあ、それは完全に俺の勘ではあるが、大きく外れていないだろう。むしろ、あれが演技だったという方が、俺としては人間味を感じられて今よりは好きになれるかもしれない。
「それはそうと、今日も飯の準備を頼む。フリックたちと軽く話した結果、俺たちの中で料理が一番上手いのはジークだと意見が一致したからな。もちろん、材料費は払うからさ」
などと、一度料理を振舞っただけで冒険者側の料理番を押し付けられることになってしまった。
最初は断ったのだが、おっさんは食い下がらずに、次の休憩の時に他の三人を呼び寄せて、四人で俺をしつこく説得してきたので折れるしかなかったのだ。
まあ、その分いい条件を引き出せたので(依頼中に手に入れたものの優先権など)、料理を担当するだけで依頼中は色々な面で俺の負担が減り、さらに大きく儲けが出る可能性が出たのだった。もっとも、その為には依頼が終わった後で無事に街まで戻る必要があるのだが……最悪の場合は貰えるものを貰って、街に戻らずに姿を晦ませればいいだけのことだ。
そう思いながら、何とか辿り着いた予定地で料理を作ったのだが……
「クレアの分は、誰に請求したらいいんだろうな? やっぱり、親衛隊長なのか? それとも、必要経費扱いでギルド長か?」
またしても俺たちの食事を食べに来たクレアを見て、請求先をどうするのか迷ってしまったのだった。