第二話
「お~い、ジ~ク~……暇ならこっちでおっちゃんと酒でも飲もうや~」
ギルドへ依頼を探しに来ると、俺を見つけた顔見知りのおっさんが遠くから声をかけてきた。そのせいで、ギルドに居た職員や同業者から一斉に視線を向けられたが、ほとんどが声に反応して反射的に入り口付近の方を見ただけのようで、すぐに視線は外れていった。しかし、そのうちの数人は敵意の籠った視線を俺に向けたままなので、知らないうちに俺は何か恨みを買ってしまったのかもしれない。もっとも、この街に来てから同業者とは積極的にかかわりを持ってこなかったので、逆恨みと言う可能性もあるけれど。
「ありゃ? フラれちまった……残念だ~」
俺が無視して依頼の内容を記した紙が貼ってある掲示板の方へと歩いていくのが分かると、おっさんは何が楽しいのか大笑いし始めた。まあ、酔っぱらいとはああいうものだし、あのおっさんは基本的にあんな感じなので平常運転というところだ。
「これと、これ……あとこれがいけるな」
頼まれごとのついでに確実にこなせる依頼を見つけたので、その依頼書を受付へと持って行き、簡単な説明を受けている時にふと思い出したのだが、この街に来て依頼を受け始めたころに、手下になれとか金を寄越せとか言ってくる奴がいたが、確かあいつらだったような気がする。
しつこくなるようだったら……と思っているうちに急に大人しくなったので、俺が手を汚すことが無かったので忘れていたが、今になって思えばその後も何度か睨まれていたような気もする。
まあ、俺に直接的な被害がない限りはこのままでもいいけれど、あまり気に障るようなら少し考えないといけないかもしれない。
「ジ~ク~、ガンバって来いよ~!」
ギルドを出る時に、またもおっさんが大きな声で俺の名を呼んだので、そちらを見ずに片手を軽く上げると何故か喜んでいた。
そんなおっさんの声を聞きながら外に出て、依頼の品と頼まれたものを集めることの出来る森へと向かおうとすると……その途中の大通りに何故か人が溢れていて、思うように進むことが出来なかった。
大通りは諦めて、少し遠回りになるが裏道を駆使して森に一番近い門のところまで来ると、そこも人が溢れていたが、門番のいる通用口付近は塞がっておらず外に出ることが出来た。
その手続きの際に門番に話を聞くと、どうやらこの世界で一番有名な宗教で聖女と呼ばれる奴がこの街に寄るとのことで、その姿を一目見ようと早くから大通りに人が集まっているとのことだった。
流石に街の外までは人が溢れてはいないので、森までいつも通りの時間で移動できそうだが、もし帰って来る時もこんな状況だったら、予定よりも遅くなったとしても、森で少し遊んで時間を潰した方がいいかもしれない。
街から目当ての森までは歩いて二時間程かかるので、いつもは途中で休憩をするのだが……いつも利用している丘で今日も食事をと思い近づくと、丘の上に先客がいることに気が付いた。しかも、かなりの大所帯だ。
(見た感じ、かなりいいとこの貴族と、その護衛の騎士団と言った感じか……あれが門のところで聞いた聖女の御一行か?)
そんな一団を数百m程離れたところで発見したので、厄介なことに巻き込まれる前に進路を変更して離れることにしたが……向こうも俺を発見したようで、馬に乗った一人の騎士が近づいてきた。
「そこのお前、止まれ!」
などと、剣を向けて叫んできたので、
「抵抗する気か!」
俺も剣を抜いて騎士に向けた。
「盗賊が何の用だ? あいにく、金は持ってないぞ」
一応、盗賊ではないとは思っているが、登場の仕方が俺を襲おうとしている盗賊と言ってもおかしくないものだったので、下手に出るつもりはなかった。
「ふざけたことを言うな! この格好を見て分からんのか!」
「そちらこそ馬鹿なことを言うな! そんなものの何が証拠になると言うんだ! 身元を示すものがない以上、俺にはお前の正体を知る術はないし、今どきの盗賊は平気で騎士や貴族、神官の格好を装って近づいてくるんだ。剣を抜いて駆け寄って来た時点で、攻撃されてもおかしくない話だ。それをしなかっただけありがたく思え!」
ちなみに、俺の言っていることは本当によくある話なのだ。盗賊が自分から貴族だと言ったというのはあまり聞かないが、わざと品のありそうな話し方や服装をして、相手が油断したところを襲うというケースもある。そして貴族の格好以上に、騎士や神官と言った社会的な信用のある人たちの姿を真似て相手警戒を緩めて犯行に及ぶというのはどこの国でも珍しい話ではなく、こういった郊外だけでなく街中でも被害が出ているので、街中に良く注意喚起の張り紙や立て札があったりするくらいだ。
なので、名も所属も知らせずに、剣を抜いて近づいてくる奴に対する対応としては、俺の方が正しいとされている……はずだ。
流石の騎士も、俺の言っていることに間違いがないのは分かったようで、悔しそうな顔をしていたが、俺が剣を抜いているからなのか先に剣を収めるということが出来ないらしく、俺と騎士は剣を握ったままで睨み合うことになった。そこに、
「剣を抜いて何をしている!」
明らかに目の前の騎士の上司と思われる奴が、数人引き連れてやって来た。
(ちっ! 遊び過ぎたか!)
俺は心の中で舌打ちをしながら、後ろに大きく跳んで剣を構えなおした。
恐らく、一対一ならあの上司のような男に勝つことは出来ると思し、その戦いに目の前の騎士と新たに増えた騎士が加わっても大丈夫だと思う。ただし、かなりきわどくはなってしまうだろう。
しかし、一番厄介なのは、まだ後ろの方に十人以上の騎士が控えていることだ。俺の位置から見えるのが十人くらいなので、見えない位置にまだ倍以上の数が控えている可能性もある。なので、数の多さがかなり厄介だがそれ以上に、あの中にこの上司のような男以上の強さを持つ奴がいないとは限らないのだ。
後ろに飛びのいて剣を向けた俺に驚き、上司のような男以外が一斉に剣を抜こうとしたが、
「お前ら、止めろ! 俺が許可を出すまで、剣は抜くな!」
すぐに止められていた。
男は、俺と最初に来た騎士の顔を何度か見てから、
「一体、何があった? お前には様子を見て来いという命令を出しただけの筈だが?」
と騎士に聞いていたので、
「あんたらは盗賊か、それともただの礼儀知らずな集団のどちらだ?」
騎士よりも先に問いかけた。
「どういうことだ?」
流石にこの質問に、男は少し気を悪くしたようだが、
「そいつは、俺に向かって剣を抜いて駆け寄ってきたんだ。そう思われても仕方がないだろ? それで、どっちなんだ?」
それを聞いてどうしてこのような状況になっているのか気が付いたらしい男は、少し慌てて馬から降りた。
「部下が申し訳ないことをしたようだ。確かにそんなことをされては、盗賊と間違われても仕方がない。我々は聖国の聖女様を守る親衛隊で、私は親衛隊長をしているものだ。聖女様の休憩中、こちらに近づいてくる者がいることに気が付いた為、念の為にこの者を確認に向かわせたのだが、この者が命令を勘違いしたようだ。許してほしい」
男が非を認めて頭を下げたのを見て、男についてきた騎士たちも揃って頭を下げていた。
「勘違いと言うならそれでいい、水に流そう。それで、様子を見るだけなら、もう行ってもいいか? 今日中に依頼を済ませて街に戻るつもりなんだ。こんなところであまり時間を取られたくはない」
「ああ、すまなかった。ただ、あまりあの丘には近づかないでくれると助かる。近づくようなら、一応詳しく調べなくてはいけなくなるのでな」
俺の姿を確認しただけで名前も調べもせずに、やけにあっさりと開放するんだなと思いながら、分かりやすく丘から離れるように移動しようとすると、
「すまん、一つ聞きたいことがあった」
「何だ?」
やはりまだ何かあったのか……と警戒したが、
「ここから『スタッツの街』まではどれくらいかかるんだ?」
「……歩きで一時間と少しくらいだ」
思っていたものとは違った。ただ、男の目は何かを探っているようにも見えるので油断はできないが、向こうもこれ以上俺に関わるつもりはないようで、警戒しているだけと言ったところのようだ。
「隊長、行かせて良かったんですか? この先で依頼をこなすとなると、あの森くらいしかなかったはずですけど、あんな新人くらいの年齢で一人で森に行くのは怪しくないですか?」
「怪しいと言えば怪しいが、だからと言って、我々に他国の人間を他国で拘束する権限は無いんだぞ。それに、下手に尋問なぞしてそれが問題になれば、我々は親衛隊を解散させられてしまう。そうすれば、次に聖女様の警護に就くのがどんな奴らになるか目に見えているだろう?」
「それは、まあ……確実に上層部の誰かの子飼いになるでしょうね」
「そうだ。まあ、そいつらが本当に聖女様の為だけに働くのならそれでもかまわないと思っているが、上はまともでない奴の方が多いんだ。聖女様を利用しようとするだけならまだましで、聖女様を毒牙にかけようとする馬鹿もいるだろうからな。聖女様なら自力で何とか出来るかもしれないが、俺たちの存在が足手まといとなってしまうとどうなるか分からん。多少怪しいくらいなら、確証がない限りは放っておいた方がいい。それに……」
「それに?」
「いや、気のせいだろう。とにかく、勝手なことは今後するな。もしもあの少年が裏で上層部と繋がっていた場合、少年の奴い主がそのことを口実に俺たちを攻撃して来ないとも限らないからな。俺たちの悪評は聖女様の悪評になってしまうのだと、今後は心に刻んで行動城。いいな」
「はっ! 申し訳ありませんでした!」
「俺は聖女様に報告に行って来る。お前たちは念の為周囲の見回りを行え」
(それにしても、あの少年……一体何者だ? 戦闘になった場合、最終的には勝てるだろうが、親衛隊の何人が生き残れるか分からんな……ふふ、こんな感覚は久々だ。もしかすると、あの時のあいつより強いかもしれんな)
「カワラソウの種に葉とホオズキの実……これくらいあれば十分だな」
頼まれていた品は群生地を知っていたのであまり時間をかけることなく集めることが出来、それらは種類ごとに分けて皮袋に詰めてマジックボックスに保管した。
後はギルドで受けた依頼だが……こちらは当てが外れてしまい、少し困ったことになってしまった。
「まさか動物に荒らされてしまっているとはな……これは元に戻るのに時間がかかりそうだ」
ギルドで受けた依頼は、三つとも薬になる野草の採取だったのだ。その三つは以前にも何度か受けており、それぞれの群生地もいくつか把握していたのだが、把握していた群生地の二か所が野生の動物に食い荒らされてしまっていて、一種類だけ規定量に届かなかったのだった。
「まあ、あの野草が生える条件に当てはまりそうな場所は探せばあるだろうし、群生地が見つからなくても少量ずつならそこら辺を探せばあるからな。時間に余裕はあるし、のんびりやるか」
見つからなかったのはそこまで珍しい種類ではないので、心当たりがある場所を何か所か回れば数は集まるだろう。
「それにしても聖女御一行か……あんな馬鹿ばかりの集まりではないだろうけど、一応ばあさんに忠告しとくか」
今回俺が森に来ることになった依頼を出したばあさんは、あの街ではなかなかの有名人で顔が広いので、すぐに聖女の親衛隊に問題を起こすかもしれない奴がいると関係者に広がるだろう。
(あの男が親衛隊の中で何番目なのか分からないが、最初の奴や付き従っていた奴らなら、ニ~三十は問題なくいけるな。ただ、聖女か……あの国の神官はある程度の回復魔法が使えないといけないという話だから、その中でも聖女と呼ばれている存在が、まさか多少回復魔法を使えますとか言うレベルじゃないだろうから、回復に専念されると厄介だろうな)
それこそ、一人に対して一撃で命を刈り取らないと、むやみやたらに時間がかかって面倒くさいことになるかもしれない。まあ、今のところ聖女とその親衛隊と戦う予定は無いが、親衛隊の大半があの最初の騎士のような奴だった場合、あの上司のような男が頑張っても争いが起こってしまうかもしれない。
「何年もあの街に留まるつもりはないけれど、すぐに出て行かなければならなくなるようなことにならないで欲しいな……おっ!」
そんな事を呟きながら野草を探していると、俺が当てにしていた群生地を荒らしたと思われる犯人を見つけた。
(イノシシの群れか……小さいのも入れて八頭もいるな)
牙が見えないので全て雌だろう。
(半分くらい貰っていくか……『シャドウ・ストリング』)
昔のシャドウ・ストリングなら、小さなイノシシ相手でも通用したか分からないが、前よりは強度がかなり上がっているし、何よりも今は、
「やっぱり、糸との相性がいい魔法だな」
魔物の素材から作った糸と併用することで拘束力が格段に上がっており、おまけに操作性を損なわずに強度を上げることに成功したのだ。
これにより同時に数十kgを超えるイノシシを数頭まとめて捕獲できるようになったのだ。
「それじゃあ、いただきます。『ダインスレイヴ』」
五十kg前後のイノシシ三頭と二十kgを超えるくらいのイノシシ二頭がシャドウ・ストリングによって身動きが出来なくなると、残りのイノシシは突然の出来事に驚いてどこかへと一目散に逃げていった。
動けなくなっているイノシシも何とかして逃げ出そうとしていたが、黒い糸はまるで意志を持っているかのようにイノシシの体に絡みついており、どれだけ動いても拘束が緩むことは無かった。
そんなイノシシに近づいた俺はダインスレイヴを剣の状態で取り出して、一頭一頭の喉に突き刺していった。突き刺した際に血も吸い上げたので、血抜きは完ぺきに近いだろう。
「本当はすぐに冷やした方がいいらしいけど、このままマジックボックスに入れておけば、冷やすのは街に帰ってからでもいいな」
こう言った時に、状態を維持できるマジックボックスは非常に便利だと感じる。これのおかげで、鮮度を保った方がいいものは時間を気にせずに持ち運べるし、今回のように獣を仕留めた場合、解体するとどうしても血の臭いが周囲に拡散してしまうので、その臭いに引き寄せられて肉食の獣が寄って来ることがよくあるのだ。そんな危険性も、ダインスレイブで血を吸い取れば最小限に抑えられるし、解体も街の中などでやればゆっくりと丁寧に出来る。
ただまあ、街中だと解体する場所は限られてしまうので、そう言った場所を確保しているか用意できるコネが無いと大変だが、俺にはそのコネがあるので問題は無い。まあ、半分は持って行かれるだろうが、元々その分も込みで考えていたのでそのコネを維持する為のお土産だと考えればいい。
予想外のことが二回起こったので予定よりも少し時間がかかってしまったが、帰り道を少し急げば誤差の範囲内の時間で戻れるだろう。
「毎度毎度助かるねぇ。これが無いと、うちの商売は上がったりだからね」
「必要なのはわかるが、使い過ぎると体に悪いからな。後々後悔させない為にも、普段から気を付けるようにさせろよ」
依頼の品をいつも世話になっているばあさんに渡すと、ばあさんは後ろに控えていた男に渡して薬屋に持って行くように指示を出していた。
「あれだけあれば、ニ~三か月になるだろう。それでジーク、お礼をしたいって娘が何人かいるんだけど、夜に部屋まで行くように伝えとこうかい?」
「いらん。報酬はいつも通りでいい」
「若いのに枯れてるねぇ……私の若い頃は、男も女もとっかえひっかえ忙しかったというのに」
「何十年も前の話を出されても困る。それに昔話とは言え、ばあさんのそんな話は聞きたくない」
「はっ! つまらない男だね。まあ、いい。報酬はいつも通り、部屋代一か月と引き換えだね」
俺が住んでいる部屋の家主は、この街でも有名な娼館のオーナーだ。そして俺の部屋は、そんな娼館の敷地内にある元物置である。
ばあさんとはこの街に向かう乗り合いの馬車で一緒になり、その途中で起きたちょっとしたトラブルで縁が出来たのだ。
最初はばあさんの持っている不動産の中で、広くて普通の部屋を借りる予定だったが、その部屋よりは娼館の物置の方が便利で安全と言う理由でこちらに住むことになったのだった。もっとも、便利と言うのは『俺が』と言うよりは、『ばあさんの方が』という意味合いの方が強いが、年が若いというだけで面倒事に巻き込まれることもあるので、夜だけでもここに居た方がトラブルは少なくなるのだ。
その代わり、ばあさんの娼館はこの街でも一番の美人揃いと言われる人気店なので、その女性たちの近くにいる俺をやっかむ奴はいるが……そんなことで俺と争いを起こせば、間違いなくばあさんに目を付けられてしまうので、今のところは俺関係で娼館を出禁になったという馬鹿は現れてはいない。
ちなみに、俺に感謝している娘と言うのは娼館で働いている女性と下働きの子たちのことだ。
その理由は、俺がいつも頼まれて取ってくる野草は堕胎薬の原料となるもので、この店で働く女性たちにとって必要なものだからで、下働きの子たちは俺がたまに持ち帰るお土産が理由だ。
「イノシシの方は明日の午前中には解体を済ませて適当な大きさに切り分けておくように頼んでおくから、忘れずに取りに行くんだよ」
お土産として渡したイノシシは、俺の分も一緒に解体してくれると言うので全て預けておいた。
これで、一応仕事に関する話はすべて終わりだ。まだ俺にはギルドの方の依頼も残ってはいるが、特に期限が決まっているわけではないので、明日の午後にでも持って行けば問題は無い。
「そう言えば、今日聖国の聖女様御一行が来たんだろ?」
「ああ、たいそうな賑わいだったよ。まあ、ほとんどの見物客は、聖女をありがたがっているというよりは珍しいもの見たさだったみたいだけどね……それで、聖女がどうかしたのかい?」
「いや、聖女じゃなくて、その親衛隊が騒動を起こす可能性があるように感じたからな。一応知らせておこうと思って」
ばあさんに森に行く途中のことを話すと、心配しすぎだと笑いながらも、何かあった時はかなりの問題に発展する可能性があるので、念の為その話は知り合いにも知らせておくといっていた。
あの上司のような男が手綱をしっかりと握っていれば大丈夫だと思うが、あんな性格の騎士が何人いるか分からないし、そんな奴が常に目の届く位置にいるとは限らない。それに何よりも、わざと問題を起こそうとするやつがいた場合、真っ先に狙われるのはああいった奴だろう。
「最悪の場合、俺みたいな奴はこの街から出て行けばいいが、ばあさんみたいなのはそうもいかないだろ?」
「まあ、そうだね。絶対に死ぬまでこの地で暮らすまでは思っていないけど、この街に愛着があるのは確かだからね。それに、店の娘たち全員を連れて新しい場所で……とか言うのも、色々と難しいところがあるからねぇ……問題を避けることが出来るのなら、それに越したことは無いよ。ただ、ジークも気を付けるんだよ。あんたはそう言ったトラブルに好かれるところがあるからね」
本当になりそうだから、冗談でもそう言うことは止めてくれとばあさんに行って、俺は晩飯を食いに娼館から少し離れたところにある食堂に向かったのだが……
「ジ~ク~……依頼が終わったら、ギルドに報告に行かないといけないんだぞ~」
ばあさんの言った通り、早速俺は厄介事に捕まったのだった。