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黒のジーク 《書籍版発売中》  作者: ケンイチ
第六章
105/117

第九話

書籍版『黒のジーク』が、8月8日に発売予定です。イラストは東上文先生です。

応援よろしくお願いします。

挿絵(By みてみん)

「ジーク、そろそろ本格的な休憩を取りましょう。ここまでくれば、例え今代の雷と言えどもそう簡単に手出しは出来ないはずよ」


 スタッツからバルムンク王国に入るまでは行く時よりも二日程早く移動できたが、その分だけみんなの疲労は溜まっている。

 俺に関しては馬車での移動時間が多かったので、まだこのままのペースで行くことも可能だが、他の皆は馬に乗って警戒しながらの移動だった為、俺とは比べ物にならないくらい疲れているだろう。

 それに、帰りも行きと同じ道を通っているので、今はカレトヴルッフ公爵領内だ。ここなら俺がエレイン先輩の知り合いであることはすぐに分かるはずなので、余計なトラブルに巻き込まれる可能性は少ないだろう。


「そうだね。ディンドランさんの言う通り、次の街で一度本格的な休憩を取ろうか」


 幸いなことに、トーワ国とスオ国の通行の最中に俺たちの前に立ち塞がるものはいなかったので武器は万全の状態だし、関所でも怪しい人物が通らなかったことは確認はしている。


「ここからだと、もう少し移動したところに大きめの街があるね。そこならいい宿があるだろうし、スタッツで浮いた分の滞在費があるから、多少の贅沢は出来る……」


 と言ったところで、俺たちの会話に聞き耳を立てていた他の面々から歓声が上がった。

 ディンドランさんも皆に注意はしているものの、その顔からは嬉しさがにじみ出ているので効果は全くない。


 そんな感じでテンションの上がった皆のおかげか、自然と道中の移動速度が上がってしまったらしく、俺たちは予想よりも早くに目的の街に着いてしまった。その分だけ馬にはかわいそうなことをしたと思うが、今回の休憩でたらふくおいしい野菜を食べさせてやるのでもう少し頑張ってほしい。


 今回の街は、規模としてはスタッツと同じか少し大きいくらいなので、ここまでに通過した町や村と違って入り口での検問が厳しく、入るまでに時間がかかるかと思われたのだが、ディンドランさんが門番に確認したところ貴族は優先的に入ることが出来るとのことだったので、男爵家の家紋を確認する程度の待ち時間で街に入ることが出来た。

 その際、門番に一番いい宿の情報を入手したので今回はそこに泊まることにし、そのまま宿まで直行して三部屋確保することが出来た。

 ちなみに、その宿ではペットも別料金にはなるが同じ部屋に泊まることが出来るとのことだったので、ベラスは俺と一緒の部屋で寝ることが決まった。


「それじゃあ、今日は少し休憩した後で食事、その後は宿で就寝。自由行動は明日ということで、明後日の朝に出発。大まかな予定はこれくらいにして、細かくはその時になって決めようか」


 と言う感じで滞在中の予定を決めると、ディンドランさんがポケットから五本の小さな棒を取り出して、


「明日のジークの警護担当を決めるわ。各自、一本ずつ引きなさい。先が赤くなっているのが当たりよ」


 と言って、皆の前に棒を握りこんだ拳を差し出した。

 そしてその結果、


「担当はディンドランね」

「男爵の護衛は任せたぞ」


 最後に残った一本が当たりだったようで、護衛を免れた他の四人はディンドランさんをからかうような言葉と共に笑っていた。


「これは参ったわね……まあ、言い出したのは私だから仕方がないわ」


 ディンドランさんは当たりの棒を確認せずにそのままポケットに押し込むと、少し悔しそうな感じの言葉を吐いたものの、すでに諦めているのかそれ以上は何も言わずに結果を受け入れていた。


「それじゃあ、食事時間まで部屋で休憩だな。俺はここの従業員にこの辺りで美味しい店の情報を仕入れてくるから、先に部屋に行っていてくれ」


 その場で一時解散して、俺は一人で店の従業員のところに向かおうとしたが……


「いや、仮にも男爵に、護衛の私たちがそんな下っ端のようなことをさせるわけにはいかないでしょ⁉」


 とディンドランさんに肩を掴まれて、結局全員で聞きに行くことになった。

 その際、俺一人で行かせるわけにはいかないというのは理解できたが、何故全員で行く必要があるのかと疑問に思っていたのだが……その理由は、店の話を聞いている最中に判明した。

 つまり全員、


「それじゃあ、その店で文句は無いわね。悪いけれど、その店にヴァレンシュタイン男爵の名前で予約を入れておいてもらえるかしら?」


 自分たちの好みの店を選びたいからだった。

 いきなり六人に詰め寄られた従業員には申し訳ないが、色々と候補を出してもらったおかげで、全員が納得できるところが見つかったので、これならだれからも文句は出ないはずだ。


「それじゃあ、今度こそ解散だな。予約時間に間に合うように従業員が知らせに来てくれるそうだから、それまでは宿の中にいるなら好きにしていていいということで……いやその前に、誰か二人くらいで馬の様子を見に行ってくれ。それと、水と飼い葉の手配もな」


 と、一番労わらなければいけない存在を忘れていたことを思い出し、ディンドランさんたちに指示を出すと、


「私は明日ジークの護衛が決まっているから免除でいいわね。四人で担当を決めてちょうだい」


 などと言って、馬の世話を回避していた。

 流石に四人もそれには受け入れるしかなかったらしく、ディンドランさん抜きでくじ引きをした結果……見事に男二人が当たりを引き当てた。先程の護衛決めの時も思ったが、これでは罰ゲーム的な意味での当たりにしか見えないな。などと思っていると、


「ジーク、ベラスを部屋に連れて行くのなら、あなたも一度馬車のところに行かないといけないんじゃない?」


 と言われて、俺はベラスの存在も忘れていたことに気が付いたのだった。


 そして無事? にベラスを回収した俺は、馬の世話をしているロッドとマルクを尻目に部屋に行き、服を着替えてベッドに横になった。ベラスも俺に倣うかのように、ベッドに飛び乗り……俺の上に着地して、そのまま寝ころんでいた。


「ベラス、痛いし重い」


 俺の上で寝ようとしていたベラスを跳ね除けると、ベラスは抗議するかの如く軽く唸り声を出したが、唸る以上のことはせずに俺の横に寝なおしていた。そんなところに、


「ジーク、入るわよ」


 ディンドランさんがノックもせずに入ってきた。

 毎回のことなので慣れてしまったが、それでも一応注意してみたもののディンドランさんは毎度のごとく適当な返事で聞き流していた。


「それでどうしたの?」

「いえ、少し気になったことがあってね。私が提案しておいてなんだけど、明日を丸々休養に充てて大丈夫かしら? 今代の雷のこともあるし、一日でも早く王都に戻るべきじゃない?」


 ディンドランさんは少し時間を置いたせいかそのことが気になったようで、わざわざ俺のところに確かめに来たようだ。


「そのことなら、まあ大丈夫じゃない? さっきも言ったけど、ここなら今代の雷が襲い掛かってくる可能性はかなり低いはずだし、何よりも休憩を取らないと俺たちはよくても馬が潰れてしまう。そのことを考えたら、一日くらいは誤差の範囲だろうし、仮に今代の雷が今回のことをファブールの上層部に報告しようにも、スタッツからだと今代の雷がファブールの中央に戻るまでかなりの遠回りをしなければならない。向こうとしても、仮にバルムンク王国と戦争をしようとしても、今代の雷抜きではかなり厳しいものになるのは理解しているはず。何せ、前回の小競り合いでファブールが勝てたのは、今代の雷の力が大きい。元々の国力の差がある以上、最大戦力抜きで戦争を始める度胸は無いはずだよ。それに、向こうから戦争を仕掛けてくるかすら怪しいしね」


「まあ、向こうに今代の雷がいるように、我が国には今代の緑であるエンドラ様がいるし、公表はされていないものの今代の黒(ジーク)も控えているからまともにやれば負けることは無いわね」


「ただ、その今代の黒は今代の雷に負けたけどね……まあ、次はああいう結果になりはしないけど」


 次に戦う時は、俺にとどめを刺さなかったことを後悔させてやるという強い決意を込めて言うと、ディンドランさんは「そうね」とだけ言って頷いた。


「それで話は戻るけど、多少ゆっくりしても大丈夫と思ったのは、ここがカレトヴルッフ公爵領だからだよ。カレトヴルッフ公爵領の大きな街なら、少し前に俺がエレイン先輩たちに協力したという話は伝わっているだろうし、そんな中で俺たちが滞在していると知れば、まず間違いなく先輩かそれに近い人に連絡が行くはずだ。カレトヴルッフ家には伝達速度の速いの連絡網があるみたいだし、予想通りなら明日には誰かが俺を訪ねてくるはずだから、その連絡網を利用させてもらおうと思っている」


 もしその連絡網が王都にまで繋がっているのなら、馬で移動するよりも早くウーゼルさんたちに情報を届けることが出来るはずだ。

 俺はそこまで考えてのことだと、少し自慢げにディンドランさんに視線を向けると、


「えっ? ということは、ジークは明日宿にこもる予定なの?」


 と、何故かディンドランさんは驚いた顔をしたのだった。


「いやまあ、基本はね。食事に関してはこの宿にも食堂があるし、マジックボックス内に食べるものは色々入っているから、休憩がてら宿で待機する予定だけど」


 その表情に違和感を覚えながら答えると、


「それならそうと、先に行ってくれればよかったじゃない! そうすれば、わざわざ小細工までして、ジークの護衛を引き受けなかったのに!」


 などとディンドランさんは俺を責めるようなことを言ってきた。


「さてはディンドランさん、俺にくっついてくれば何か美味しいものでもおごってもらえると思っていたね? しかもその様子だとあの時のくじは全部ハズレで、最後に残ったのを当たりと見せかけて自分が選ぶことで、どうやっても自分が護衛になるように仕掛けていたね?」


 だから小細工をしたと言ったのかとディンドランさんを見ると、ディンドランさんは明後日の方向を見て聞こえないふりをしようとしていた。


「まあ、そう言うわけだから、食事は宿のやつで我慢してね」


「……いいわよ、我慢するわよ。その代わり、おごってもらうからね」


 護衛中の食事代を出すのは当然だとは思うので構わないが、この様子だと高いものから順に選んでいきそうなので、そんなことをする素振りを見せたらすぐにカラードさんたちに報告すると忠告して止めさせて、そこまであからさまにしないのであれば……まあ、多少高額になったとしても目を瞑るとしよう。


 予約した時間までまだあるので、俺は不機嫌そうなディンドランさんを部屋から追い出して仮眠をとることにした。


「ベラス、もう少し横にずれろ」


 俺が居なかったのをいいことに、ベラスはベッドのど真ん中を陣取っていたので強引にどかして横になると、ベラスは抗議のつもりなのか、半分寝ぼけた状態で俺を蹴っていた。まあ、それもすぐに睡魔に負けていびきに変わっていたが……煩かったので、布団をかけて音が小さくなるようにした。


「ジーク、そろそろ時間よ」


 ディンドランさんに起こされた俺は、部屋着から着替えようとして……上着を脱いだところでディンドランさんが部屋にいることに気が付き、半裸の状態でディンドランさんに部屋から出て行ってくれるように頼んだ。


「いきなり脱いでおいて勝手な言い草ね……まあいいわ。外で待っているから、早くしなさいね」


 などと言って、呆れた様子でディンドランさんは外に出て行ったが……確かに寝ぼけていた俺にも原因があるが、声をかけられるまで気が付かなかったということは、ディンドランさんが気配を消しながら部屋に入ってきたということだ。部屋の扉をノックしてくれれば普通に気が付けたのに、あの人は何がしたいんだろう? まあ、単純に俺を驚かせたかっただけのような気もするが……いや、多分明日宿に待機することに対する腹いせの可能性が一番高いな。

 などと考えながら、俺は下着も着替えてみんなと合流したのだった。

 そして次の日。


「ジーク、お客さんよ」


 俺とディンドランさん以外が出かけるのを見送ってから昼食の時間までベッドでダラダラ過ごしていると、少し不機嫌そうなディンドランさんが、またノックもせずに部屋に入ってきてそう言った。


「え~っと……確かエレイン先輩と一緒にいた……」

「エレイン様の護衛を務めているシャーリー・シュライクです。今回は、ヴァレンシュタイン男爵がこの街に急にいらしたという情報が送られてきまして、何があったのかを訪ねてくるように命令されてきました。差支えがなければ、お早い帰還の理由をお教えいただけると幸いです」


 俺を訪ねてきたのは、以前エレイン先輩と会った時にそばにいた女性騎士だった。

 一応ここにいる理由は任意で話してくれという風に言っているが、その雰囲気からは俺に拒否権がないようにすら思える。

 俺個人がこのシャーリーと言う騎士に嫌われているのか、それとも何か厄介ごとの気配を感じ取っているからなのかは分からないが、かなり警戒されているようだ。まあ、嫌われているかどうかは分からないが、確かに厄介事を持ち掛けようとしているのは当たっている。


「そちらから来てくれるとは助かる。実はエレイン先輩に少し協力してもらいたくて、連絡を取りたかったところだ」


 先輩の護衛が来たのは予想外だったが、俺のことをエレイン先輩に直で話が行く人が来たのはありがたいし、それ以外は予定通りだったので、俺はすぐに理由を話すことにした。

 ただ、ここからは俺がカレトヴルッフ公爵家に借りを作ったと思われないようにしなくてはならない。むしろ俺の方が恩を売る立場として話を進める必要がある。

 まあ、あまり恩を売りつけ過ぎると後が怖いので、ほどほどにしなければならないが、今回の話はカレトヴルッフ公爵家にとっても利益が出るかもしれない話なので、余程のことがない限りは乗ってくるだろう。それに、頼むこと自体は大したことではないだろうし。


「私の一存では決めかねないことになりそうなので、エレイン様に聞かなければならないと思いますが……その前に、その内容をお教え願えますか?」


 とシャーリーは表情を変えずに聞いてきた……が、


「確実に協力してもらえるのなら、ここで話してもいいが、そうでないのなら無理だ。こちらにもそれなりの事情がある。ただ、これはウーゼル陛下に報告する必要のある話だということだけは言っておく」


 俺のことをエレイン先輩から聞いているとすれば、俺がウーゼルさんと個人的な会話が出来る間柄だということは聞かされているだろう。そうでなかったとしても、俺の養父であるカラードさんとの関係から何かを察することは出来るはずだ。

 そんな俺がウーゼルさんの名前を出した以上、シャーリー……いや、貴族の関係者ならは俺の話を無視することなど出来っこないので、判断する為には嫌が王にもエレイン先輩に話をもっていかなくてはならない。


「分かりました。そこまでおっしゃるのなら、エレイン様に判断していただきますので、少々お待ちください」


 と言って、シャーリーは部屋を出て行こうとしたが、


「その言い方だと、この街にエレイン先輩が来ているみたいだな?」


 そう声をかけると、シャーリーは自分の失言に気が付いたのか初めて表情が崩れた。


「図星か? もしそうなら、俺の方から会いに行こう。文句はないな?」


 少し語気を強めるて言うとシャーリーの目が一瞬鋭くなったが、仮にも国王陛下と繋がりのある貴族に逆らうことは得策ではないと思ったのか、渋々と言った感じで了承した。


「着替えるから、少し外で待っていてくれ。ディンドランさんは……」

「このままで大丈夫です。私も外で待っています」


 別におかしくはない格好だとは思うが、貴族風を吹かせたあとなのでそれなりの服を着て行った方がいいだろうということで着替えることにし、今日の護衛担当であるディンドランさんはどうするかと聞いてみたところ、今の服で大丈夫とのことなのでシャーリーと一緒に待ってもらうことにした。

 まあ、ディンドランさんの場合は誰かが来る可能性が高いと知っていたので事前に護衛用の服を着ていたし、何よりもシャーリーに圧をかける為に一緒に待つことを選択したのだろう。


 二人が部屋を出てからすぐに着替えた俺は、部屋の隅で大人しくしていたベラスに声をかけてから二人と合流した。

 ベラスが静かにしていたのは、ベラスなりにシャーリーを警戒し、部屋の隅で気配を消していたのだろう。恐らくだが、シャーリーはベラスに気が付いていなかったはずだ。もし気が付いていたのなら、ベラスがいた方へ一瞬でも意識を向けるはずだが、そう言った気配は全く感じられなかった。

 これはシャーリーが未熟というよりは、ベラスの方が上手だったからだろう。何せベラスは、俺やディンドランさんを欺いて馬車に乗り込んでいたくらいだからな。


 シャーリーが居なくなったことで動き出したベラスは俺についてくる気は全くないようで、俺の言葉にはあくびで返してベッドに上がり込んでいた。


「ここにエレイン様が居ます」


 部屋の外で待っていた二人と合流した後はシャーリーが待たせていた馬車に乗り込み、街の中央付近にある立派な屋敷へと案内された。


「エレイン様を呼んでまいりますので、少々お待ちください」


 屋敷に入り応接間に通された俺たちは、少しの間ここで待つように言われたので大人しく椅子に……座らずに、部屋の中央の辺りで立ち止まると、


「出てきなさい!」


 ディンドランさんが、隠れて俺たちの様子をうかがっている人物に対して怒鳴った。その際、ディンドランさんは俺の前に立ってテーブルの上に置いてあったペンを掴み、いつでも投げれるような体勢をとっていた。

 流石にペンでは隠れている人物に当てることはできないが、ディンドランさんくらいになるとペンでも十分武器になるという意味を込めての行動だろう。


 そんなディンドランさんが睨んでいる方角から、


「ひゃっ、ひゃい!」


 メイド服の女性が慌てて飛び出してきた……というか、俺の勘違いでなければあのメイドは前にエレイン先輩と会った時にシャーリーと一緒に護衛をしていた女性のはずだ。


「見た顔ね。それで、なぜ隠れて私たちを監視していたのかしら? それと、敵意がないというのなら、隠し持っているものを捨てなさい。でなければ……」


 ディンドランさんが、ペンを握っている手を振り上げるふりをしたところ、


「す、すぐに! すぐに捨てます!」


 メイドは半泣きの状態で、慌てながらスカートの下に隠し持っていた武器を捨て始めた。


「え~っと……これはいったいどういった状況なのかしら?」


 そして、当然のようにそんな場面に出くわすエレイン先輩。

 まあ、流石にディンドランさんがペンを投げつけようとしている先に、自分のメイドが半泣きの状態でスカートを捲し上げているようなところを目撃すれば、混乱するのは当然だろう。むしろ、いきなりこちら……と言うか俺を睨まないだけ冷静だったのかもしれない……あのメイドがスカートをたくし上げようとした時に、反射的に後ろを向いたのは正しかったようだ。

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貴族って本当に面倒臭いですな。 厄介な敵が襲ってくる可能性を排除しきれないはずなのに、本来味方であるはずの同じ国の貴族への連絡からまずトラブっているとか。 これ実際に敵国が攻めてきた時にもこんなやり取…
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