オニ令嬢と言われますが私の恋を応援してね《舎弟との婚約を破棄した令嬢をぶっ飛ばして好感度を上げますよ》(切りぬき101)
「母上、、婚約者から、学園のパーティーでのエスコートを断られました。」
玄関ホールでばったり鉢合わせした母親に、硬い表情で報告したのは舎弟のクロです。
「しかも、婚約は破棄してほしいそうです」
これは修羅場です。
…
私の名前はギンチヨ、帝国の女性監査員としてグループの各国を回っています。
「おかえりクロ、一年ぶりね、元気? 」
キョトンとするクロです。
私は、少し化粧しているし、制服のパンツルックなので、ギンチヨと分からなかったようです。
「黒い瞳に銀髪? まさかギン姉さん!」
クロの顔が赤らんだのは、少し嬉しいです。
「うん、仕事でこのイバラーロン王国に来たので、師匠に表敬訪問したのよ」
私は、この屋敷に住み込みながら、学園を卒業するまで、魔道剣士の修行をしていました。
「と、言うか修羅場だよね?」
挨拶を終えて、帰ろうと師匠に続いて玄関ホールに出たところで、この修羅場に遭遇しました。
…
「婚約を申し込んできたのは向こうの家でしょ! それを半年で破棄とは、面白い令嬢がいたものですね、クロ?」
ホシミッツ夫人からは殺気が漏れ出ています。
夫人は、クロの母親であり、私の師匠です。
「・・・」
黙り込むクロ、、、そうです、ここは耐えて、無言でいるのが正解です。
それにしても、うつむく姿もカッコいいのはなぜ?
「クロに落ち度は無いのですね? 殴ったとか、浮気したとか」
「はい」
クロも魔道剣士の有段者です、女性を殴ることはあり得ません。
生真面目なので、浮気はないでしょうが、見た目が良いので、ちょっと心配です。
クロの容姿は、希少な黒髪を短くカットし、黒い瞳で精悍な顔立ちです。
次男でありますが、母親が爵位を持っているので、将来は男爵以上が確定しています。
「クロは、婚約破棄を受け入れることで良いのね? クロの気持ちが一番大事なのよ?」
「・・・」
クロ、ここでの無言は承諾を意味しますよ?
「師匠、クロはまだ気持ちの整理がつかないのでしょう」
助け船を出します。
「クロ、学園のパーティーは、今週末でしたね」
「まさか、ギン姉さん、学園で暴れるの? それはやめて下さい!」
私は、ここの学園の卒業生です。
監査員として、学園を視察する予定も入っています。
学園のパーティに参加しても問題は無いはずです。
「大丈夫、私に任せて!」
「・・・」
クロは、不安そうな顔をしていますが、無視します。
「さて、婚約破棄には法に基づく手続きが必要ですから、監査員である私が、色々と指南します」
「師匠、よろしいですか?」
「それなら、これから一緒にランチをいただきましょう、ギン」
「こちらで持っている情報を提供します」
「師匠、ありがとうございます」
◇
可愛い舎弟の婚約破棄を話題にして、ランチを美味しく頂きました。
「それではギン、クロのことをよろしくね」
「はい、クロは私の、、、大事な舎弟です!」
いいえ、クロは私の、、、とても大事な人なのです。
婚約破棄は貴族社会の信頼を落とす事案!
監査員として相手の令嬢をぶっ飛ばしてあげましょう!
「ふふふ」
これで好感度が爆上がりしますね、笑いが止まりません。
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