第8話 鹿肉の焼き肉 前編
朝、格安宿屋2階の3号室
今日、何しようかな、街をブラブラかな。
1階の食堂で朝飯にしようと部屋を出たら、薬屋婆さんと格安宿屋のオヤジさんの声、オイラはスキル-聞き耳を発動。
「母さん、中薬草に上薬草を5束で銀貨5枚って酷すぎだろう」
「価格交渉は最初に安く言うだろう、そしたら、そのまま受け入れられて驚いた」
「なら、もっと払えよ」
「それがな、普通薬草で作ってた需要強壮薬を中薬草で作って、金額はそのままで売ったもんだから注文殺到なんだよ。それで今日は中薬草の納品催促に来たんだ、3日置きに5束の契約だからね」
「不当な買い取り金額、無効だろう」
「上薬草も銀貨5枚って、谷底のあれじゃ無いよな」
「それだよ、必要な薬草有るかって聞かれたから、上薬草って答えるだろう、そしたら採って来て驚いた」
「最初は、領主さまに買い取ってもらおうと思ったが、パン屋の娘が脳裏を過ぎってな、若造には悪いが買い叩いて早速にパン屋へ持ってた」
「それでか、パンを買いに行ったら元気に店番してる娘を見て驚いた」
「飲ませた薬の説明と代金はどうしたんだ」
「今までの薬草と同じだと言った、上薬草で作った薬だと言ったら飲まないだろう、代金も今まで通りだ。だか、回復具合で薄々気付いている」
「継続して飲む必要は有るのか」
「必要ない、完治だよ」
「同じ症状で困ってる連中はどうすんだ」
「若造に上薬草の採取を頼めないかと思ってるんだが」
「人命は大事なのは分かるが、世間の目もあるから程々にな」
「兎に角、若造に中薬草の採取伝えとくれ」
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格安宿屋のオヤジさんの独り言
「若造、上薬草を採ってきたって何時だよ、まだ街に来て10日程、盗賊退治の前に、母さんの依頼で1日帰らなかった時か、たった1日で、あの谷まで行って谷底に降りて採って来たのか、若造は人族とは思えんな。」
「上薬草、若造が買い取って貰ったのは5束って言ってたが、母さん上薬草5束って、大金貨が必要だろう、それを銀貨5枚って、本当に詐欺師も驚く悪の所行をして平気で居られる親を持った俺、若造は上薬草の価値を中薬草の倍程度って言ってたが、騙された若造が気付いて無いのを良いことに、更に採って来させる気なのか、目眩がしてきた」
「母さん、パン屋の娘と同じ症状の親族が居る貴族・富豪連中に完治の理由、薬の出所が知れたら何されるか分からんぞ、若造に迷惑を掛けるなよ」
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薬屋婆さんが帰った頃合いを見計らい、1階の食堂へ
『おはよう御座います、朝飯お願いします』
「今日はゆっくり出来るのか」
盗み聞きだから薬屋へ行くとは言えない、当初の予定通りに
『この後、共有浴場行って街をブラブラしようかと』
オヤジさん言い辛そう
「実はな・・・言いにくいんだが、母さんが中薬草を納めて欲しいと来てたんだ」
ごめんなさいオヤジさん、嫌な思いさせて。
自分でも白々しいなと思いながら
『あ!中薬草の契約、最初から納期遅延しちゃいました、違約金の条項はなかったはず』
「遅延催促では無く、納品催促って言ってたから、お願いに近いと思うぞ」
『飯を食べたら、薬屋へ行ってみます』
「すまんが、頼む」
オヤジさん、気を使わせてすみません。
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格安宿屋のオヤジさんの独り言
「母さん、違約金獲ったら親子の縁きるからな」
「実情を知ってる俺は、若造が不憫でならないぞ、大金持ちで上宿に泊まって上手い物を毎晩食べられるはずなのに、本当にすまん」
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薬屋へ
褒章金があるから、薬草採取は止めても良いんだけど、今朝の聞いた話しでは婆さん暴利な商売をしてるわけでは無いし人助けに近いから
『婆さん、薬草持て来ました』
今回も、手持ちの革袋から出したようにしてスキル-収納の時間経過無しから中薬草を取り出し
『盗賊退治の帰りに採ったんです』
採ってきたのが、一昨日としても、萎れて無い説明には成ら無い、それに、御者して更に盗賊を護送しながら薬草採取って、言ったあとに無理無理、普通に考えて絶対出来ないよと気付いたけど
『32本で6束と2本、遅れた分1束と2本はオマケするんで許してください』
「2回分で、あと5束だよ」
採って来た事に対しての突っ込みは無かったけど、まさかの足りない発言、確かに、契約では4日毎だから2回分、さすが婆さん。スキル-収納の時間経過無しに大量に入っているけど、だからって此処では出せない
『今から採ってきます』
すると、婆さん
「上薬草も頼むよ」
平然と言ってきました。
上薬草もスキル-収納の時間経過無しに15束入ってるから受ける事に。
前回、採ってきたとき凄く驚かれたから念のため、戻る時間の確認と上薬草で作った薬が必要な人が何人か居るって言ってたから必要数を
『何時までに採ってくれば、あと、量は』
「夕方には採ってこれるかい、10束欲しいよ」
前回より短縮された、採ってこれる言い訳を
『移動用に馬を手に入れたので採ってこれますよ』
スキル-収納の時間経過無しへ保管した鹿があるのを想い出し。
ここで焼き肉
『婆さん、台所を借りてもいいですか』
「何に使うんだ」
『薬草採取に馬で行くなら何か獲ってこようかと』
中薬草と上薬草を採取して、さらに何か獲ってくるって突っ込まれると思ったけど。
「使わせてやるからババにも食わせなよ、今夜の飯の仕度をしないで待ってるよ」
あれ、受け入れられてる、逆に獲ってこないと怒られそう。
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薬屋婆さんの独り言
「若造、上薬草は馬で行ける所には生えてないんだよ、夕方に採って帰って来るって冗談を真に受けおって、爺も言ってたが、夕方までって空でも飛べないと無理だよ」
「上薬草、採りに行く前に、価格交渉をされるか冷や冷やしたが、また、同じ値段で良いのかね」
「夕飯、どうするか?信じて待つか?駄目なら息子の飯でも食いに行けば良いか」
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東門
守衛隊長さん
「今日は何だ」
『薬屋婆さんの依頼で薬草採取です』
「そうか、休む暇なしか」
そうですよと心で
「領主さまの所に伺うの、何時にする」
嫌なことは、忘れてました。
本音が顔に出たようで。
「嫌なことは早々に片付けようぜ」
守衛隊長さん気を使わせてすいません
『では近日中に』
また、誤魔化して先延ばし。
牧場へ寄りオイラ専用のお馬さんで山へ、お馬さんには乗らずオイラは自走、必死で付いてくる馬って非現実的ですよね。
薬草は採取済なので、のんびり、ゆったり時間を潰します。
昼飯は、スキル-収納の時間経過無しに入ってる、先日の焼き魚を食べきり、お馬さんはスキル-収納の時間経過無しから出した牧草とニンジン、その後、河原で水を飲ませ身体を洗ってやり、虫除け結界を張って遊ばせて、オイラは昼寝。
起きたとこで街へ戻ります。
街の近くまで戻った所で、スキル-収納の時間経過無しから雄鹿をだしてお馬さんに乗せます。
重たくてごめんなさい。
東門へ戻ってきました。
東門の守衛隊長さん
「ずいぶんと早い帰りだな、依頼達成でき・・・」
今回は、お馬さんに乗せた鹿を見て驚いてます。
「薬草採取に行ったんだよな」
鹿から目線が外せてません
『薬草採取の帰りに獲ってきたのですが、許可とか必要でしたか』
「いや必要は無いが・・・」
呆れ顔の守衛隊長さんに何でも聞いちゃいます
『解体から捌いてくれて、肉だけ持ち帰りさせてくれる所知ってますか』
「肉屋で手数料取られるけが、解体から捌きまでしてくれるぞ、場所はここだ」
今回も、場所を街の地図で教えてくれます、優しくて、一昨日、惚れそうに、昨日、惚れちゃい、今日、べた惚れになりました。
肉屋さんに行こうとしたら
「領主さまから、ユウには便宜を図れって言われてて、東門からの出入りは街の入出カードを用意しなくて良いぞ」
今日、街の出入りで入出カードの提示を求められなかったことに、今、気付きました。
「領主さまのお屋敷に伺った折に、街住人カードを渡されるぞ、住人カードあれば家も買えるからな」
家、欲しいけど
『買うお金はないですよ』
「盗賊の宝、買い取りに出してるんだろ、街に還元して欲しいと領主さまは思ってるんじゃないか」
鑑定が終わるのは先だし、量は多いけど価値中だから、商業ギルドマスターの爺さん、正規の鑑定しても、その額を提示するとは限らない、契約書には鑑定をするとして書いて無いから
『買い取って貰えるのはまだ先ですし、家を買える程の額では無いと思います』
馬を引いて肉屋さんへ向かいました。
肉屋さん
お店の前に馬を繋いで。
鹿を降ろそう、駄目駄目、普通は1人で降ろせない、人前で悪目立ちは要注意
『こんちは』
「いらっしゃい」
『すみません、お客ではなくて、鹿の解体から捌きをお願いしたくて』
「初顔だな」
『10日程前に王都から来ました』
まだ10日なのに、色々有った気がする
『薬屋婆さんの依頼で薬草採取に行って、たまたま獲れた鹿、東門の守勢隊長さんに解体から捌きをお願い出来る所って聞いたら紹介されて』
「たまたまで鹿は捕れないんだが、最低でも銀貨8枚だぞ」
最低とはって聞いたら大きさ、状態で増減があるそうです、オヤジさんの指示で裏に回って、2人で鹿を馬の背から降ろして解体小屋へ。
「何時どうやって獲った」
1週間前って言えない、スキル-収納の時間経過無しに入れてた時間を差し引いて、獲った方法はそのまま
『今日の昼前、小刀で首を』
オヤジさん、オイラの顔みて
「首を一刺しか」
そんな、怖い顔で見ないで
「血抜きしたのか、これなら内蔵も食べれるな、2時間後に取りに来い」
『馬を返して来ます』
良かった、でも、なんであんなに怖い顔したんだろう?
捌いてる待ち時間でお馬さんを牧場へ。
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肉屋のオヤジさんの独り言
「小刀で雄鹿の首を一刺し、どうやって近づいた、1人で罠以外で獲ってきた鹿を見るのは初めてだ、噂の盗賊を1人で退治したって言う薬屋の若造か」
「この鹿、どうやって馬に載せた、引っ張り上げた綱の痕も無い」
「昼前に獲ったと言ってたが、そもそも、全く死後硬直していない、死んでから2時間も経ってないぞ何処で獲って来た。血抜きに馬に載せるだけでも1時間は掛かる、馬で1時間の移動先で昼間に鹿は滅多に出没しないと思うが」
「考えるのは止めよう、早くしないと肉を取りに来る」
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鹿、1人で獲ってくるのは普通では無いと気付いていないオイラでした。