第6話 盗賊を捕らえて戻ってきました
盗賊退治に出て2日目の朝。
先日の焼き魚、思った以上に美味しかったので大量に捕って焼き、スキル-収納の時間経過無しへ保管、オイラと捕らえて連れて帰る予定の盗賊達の街へ戻るまでのご飯です。
その後、テクテクと盗賊の隠れ家へ、途中で暗くなりだしたのでスキル-暗視を発動、視界は昼間と変わりません。
盗賊の隠れ家
盗賊達、まだ居ます。
隠れ家は元炭焼き小屋、よく見たら炭焼き釜が有りました。
その為、炭を運び出す山道が街道まで整備されていて盗賊には都合の良い隠れ家のようです。商業ギルドマスターの爺さんが盗賊の隠れ家の場所と出された地図を見た時、道の先が街道だと分かりました。
見張りが2人あばら屋内に9人、依頼の達成条件が盗賊の首って成ってましたが首ちゅんぱは無理です出来ません、当初の予定通りに連れて帰ります。
見張りの2人へ男装の魔法使いさん直伝魔法寝ちゃってくださいを発動、あばら屋の9人へも寝ちゃってくださいを発動、並大抵の状態異常無効化では防げませんよ、これでぐっすり蹴っても起きないです。
寝ちゃった盗賊を1人づつ、ひょいと持ち上げ運び、手枷をして、腰紐を掛け、腰紐から紐を出し手枷と括り、さらに手枷から馬の鞍に繋ぐ綱を、馬1頭に2人を引かせるよう、剣聖さんに教わった軍が使う捕虜の護送方法です。
オイラも仮眠、深夜、狼がお馬さん達を襲って来ましたが、オイラが電撃で撃退、次に起きたら明るく成ってました。
馬の鞍に盗賊達の手枷からの綱を結び、寝ちゃって下さいを解き、軽い電撃魔法で起こします。
縛られてる事に驚きの盗賊達、色々と騒いでますが馬に引かせて街へ、転んだら馬に引かれ続け痛いどころか大怪我なので必死に歩いてます。
お宝は、スキル-鑑定で調べ価値大と分かった品は運搬中壊れないようスキル-収納へ移しました。
驚いたのは、国王に渡してと剣聖さんに預けた勇者の剣と似たのが有ったこと。
他にも、特大魔法石、男装の魔法使いさんに上げたら喜んでもらえるかな、それと、聖女さんの髪色と同じ金糸でユリが刺繍されたシルクの白い反物、これで聖女さんのドレスを作ったら似合うかな
【ユウ、白の反物ってウエディングドレス用ですよね、プロポーズですわよね、喜んで頂きますわ】
聖女さんの叫びが脳内に木霊、幻聴が酷くなった見たいです。
盗賊退治に出て5日目の午後、街に戻ってきました。
確信した事、鑑定通り盗賊達は兵士だと、それも凄く鍛えられた兵士だと思います。
自分たちの状態が軍の捕虜護送方法だと気付いてオイラに軍関係者かと聞いて来ましたし、山道を馬に引かれての状態で半日と街道に出てからの2日間、夜は寝ちゃってくださいで熟睡し体力回復したとはいえ移動中は昼食とトイレ休憩に適時の水分補給のみでしたから。
二晩、オイラはと言うと盗賊達に寝ちゃってください発動後は見張りが必要無いので、スキル-収納から出した風呂に入り、夕飯はスキル-収納の時間経過無しから焼き魚を取り出し1人でむしゃむしゃ、睡眠はスキル-収納から出した寝具と虫除け結界を張り、何時も通り快適満腹快眠でした。
盗賊達とお馬さん達にも虫除け結界は常時、浄化は毎晩掛けてあげ、盗賊達にも焼き魚を提供、お馬さん達には、魔族四天王筆頭討伐の移動手段だったお馬さん達のご飯として、スキル-収納の時間経過無しに大量に残ってた上質な牧草とニンジンを出してあげ、水は魔法で出した綺麗なのを与えてました。
そうそう、お馬さん達はもの凄く賢くて、オイラが乗る2頭だての荷馬車を先頭に、御者なしの2頭だての荷馬車が2台、その後ろに盗賊を引いてる馬引きのいない6頭、最後を空馬2頭が付いてきてくれ、夜は放牧状態にしても朝には戻って来てくれます。
水とご飯のせいかな?
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街へと向かう前、お馬さん達の会話
「糞やろう(盗賊)達と違って、若造が出してくれた牧草は凄く美味しいよな」
「馬生で一番美味しいです」
「ニンジンも瑞々しくて甘いよ」
「気付いてるか、鬱陶しいハエや痒くなる奴が近づいて来なくなったの」
「気付いてるよ、水だって綺麗なのを出してくれたし」
「水って言えば、水浴びもしてないのに身体が綺麗になったろう。さっき、糞やろう達が寝込んだ後、浄化の魔法を掛けてくれたんだ」
「本当か!」
「今までで、一番快適です」
「それに、さっき、狼が来たろう」
「糞やろう(盗賊)達は、俺達を犠牲にしやがったが、若造は追い払ってくれたんだ」
「命の恩人!」
「ずっと面倒見て貰えるように言うこと聞け、要求を察して行動しろ、今後の俺たちの馬生が掛かってるぞ」
「お!」
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街に入るのに一番近いのは北門でしたが、東門へと廻ります、だって、北門からでは商業ギルドに格安宿屋までの道が分からない、荷馬車で迷子は勘弁です。
『あ!商業ギルドマスターの爺さんと東門を使うって約束してた』
出るときに隊長さんだと知った守衛さんと、教えてくれた若い守衛さんに、門の周辺に居た人達が、荷馬車3台と盗賊を引いてるお馬さん達を見て驚いています。
東門の守衛隊長さんに
『商業ギルドの依頼で、盗賊退治してきました』
驚きから復帰した守衛隊長さん。
「お おう、商業ギルドから、盗賊退治依頼を出したと聞いてる」
商業ギルドマスターの爺さん、ちゃんと連絡してくれたんだ
『お宝と捕らえた盗賊達はどうすれば良いですか』
「盗賊の宝は商業ギルドで預かるって言ってたから、そのまま預けに行ってくれ、盗賊達は引いてる馬ごと此処で預かる」
『商業ギルドの盗賊退治依頼の達成条件に、盗賊の首ってあるんです』
お願いだから、此処で首切て持ってけなんて言わないで。
「その条件なら生きてる死んでるに関係無く、東門の守衛所で受け取ったって事で達成だ」
良かった。
守衛隊長さん後ろの荷馬車と盗賊を引いてるお馬さん達を見ながら。
「なんで、御者無し馬引き無しで平気なんだ」
『オイラも不思議なんです』
本当に不思議なんです。
最初は盗賊のお宝を全てスキル-収納に入れようと思ったけど、どうやって運んだって言われると悩んでたら、お馬さん達一列に並んでくれたので、もしやと出発したらゾロゾロ付いて来てくれたんです。
「さすがに街中を御者なしはまずいから、休憩中の奴に御者をさせる」
守衛隊長さん、やっぱり優しい惚れちゃいそう
『ありがとうございます』
「すまんが、明日にでも顔出してくれ」
『明日、来ます』
荷馬車で商業ギルドへ、盗賊を引いてたお馬さん達の視線を感じます、気のせいですよね。
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オイラを見送る守衛隊長さんと若い守衛さんの会話
「隊長、荷馬車に盗賊を引いてた馬、御者に馬引き無しで、どおして此処まで来れたんですか」
「オレも聞いたが誤魔化された」
「商業ギルドまで御者をさせた2人が戻ったら、盗賊達を領主さまのお屋敷へ連れてくぞ」
「盗賊達、ずっと縛られてた割には臭くないし、着てる服も綺麗なんです、このままで良いですか」
「臭くない、そんなはず無いだろう、クンクン、確かに臭くない」
「不思議ですね、不思議って言えば盗賊を殺さず連れて来るユウさんは何者なんですか」
「オレに聞くな」
「何か隠してませんか、この前、領主さまのお屋敷に呼ばれた時に何か聞かされたのでは」
「尋常じゃないって事を聞いた」
「確かに、尋常じゃないですね」
「分かったら働け、街に入る人達が審査を待ってるぞ」
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守衛隊長の独り言
「上薬草を採ってきたって信じられなかったが、至極当然の事のように盗賊を殺さず捕らえ連れて来るって、ユウ、本当に何者なんだ」
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商業ギルドに着き
荷馬車置き場に3台を留め、御者してくれた東門の守衛さん2人。
「じゃあ、戻るは」
『ありがとうございました』
「こんど、差し入れでもしてくれよ」
本当に、お礼をしなければと帰って行く後ろ姿を見送りました。
次は、商業ギルドマスターの爺さんに退治報告と思いましたが、説明とか色々と聞かれて長くなりそうなので、はす向かいの薬屋へ
『婆さん、盗賊退治してきました』
薬草煎じをしてる婆さん、顔を上げ。
「若造、退治してきたって聞こえたぞ」
『退治して、盗賊のお宝を積んだ荷馬車を3台、商業ギルドの荷馬車置き場に留めときました』
店を出て商業ギルドの方を見て。
「あの3台か」
色々と聞きたいのと驚きでか、口をパクパクしてる婆さん。
『預かりをお願いと、商業ギルドマスターの爺さんに伝えて欲しくて』
「あ、ああ」
『今日は、疲れてるから詳しいことは明日って言っといて下さい』
「分かった、伝えとくよ」
滞在先を言っとくの礼儀ですよね
『何かあれば、宿は息子さんの所ですから』
「知ってるよ」
知ってるの、薬草の買い取りをお願いした時、宿屋のオヤジさんに紹介されたって言ったけ?気にする事じゃないか
『それではお願いします』
格安宿屋
オヤジさん、今日も厨房に居ます。
『戻りました』
「無事で良かった、母さんから盗賊退治に無報酬で行ったって聞いて心配してたんだぞ」
親子の会話にオイラが登場したのか、それで、婆さんはオイラが格安宿屋に泊まってるの知ってたんだ。
まてまて、無報酬
『盗賊が奪ったお宝を貰うって条件ですよ』
2頭立て荷馬車3台分。
「それを、無報酬って言うんだよ、やめて正解だ」
やめて?
『捕まえて戻って来たんですよ』
「またまた冗談を」
一瞬の沈黙
「本当か!1人でか!!!若造は勇者か神か!!!」
『な なな 何言ってるんですか 共有浴場で汗流してきますから戻ったら飯を喰わせて下さいね』
飯代の銀貨2枚を先に渡し共有浴場へ。
勇者って言葉で動揺して、盗賊の宝を貰うって言っても無報酬って言われたの、理由を聞けなかった。
共有浴場で汗を流し。
水を湧かした風呂より、天然温泉
『あ~、ごくらく、ごくらく』
宿に戻り早めの晩飯
オヤジさんの色々聞きたい目線を無視して食べ早々に部屋へ、固いベッドに布団を引いて寝ました。
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商業ギルドでは、荷馬車3台分のお宝で大騒
男性従業員、荷馬車からお宝を下ろし倉庫へ運び込む作業で天手古舞い、夜の警備はどうするんだよと嘆きの声。
馬6頭、2頭立ての荷馬車3台、馬の世話するのも荷馬車の置き場を確保するのも四苦八苦、残業代くれ~と彼方此方から叫びが。
未婚女性陣からは、6頭の馬持ち荷馬車3台と荷台満載のお宝、領主さまからは盗賊退治報酬が出るだろと聞き、突然現れた年若い資産持ち、結婚相手と争奪戦勃発です。
その状況を知らずに、早々と寝たオイラでした。