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第4話 薬草採取完了から盗賊退治契約

 薬草採取 2日目。

 昼まで河原で過ごし街へ戻ります。


 東門の守衛さん、今日も居ます

「薬屋婆さんから依頼の薬草は見つかったのか」

 薬草を見せたく無いので

『はい、ここに』

 腰に下げてる袋を軽く叩きす。

 本当は、スキル-収納の時間経過無しに入れてあります。

「婆さんの依頼達成って凄いな」

 尊敬の眼差しです。

「何の薬草採って来たんだ」

 やばい、どうやって誤魔化そう

『すみません、薬屋婆さんから内緒にしろと言われてて』

 上手いぞオイラ、薬草を見せず採ってきた薬草名も言わないのは薬草に詳しくて、上薬草の生えてる場所を知ってたら、谷までの険しい道のりと谷底への下り方・登り方、色々怪しまれると思い嘘を、優しい守衛さん御免なさい。

「やっぱり無理難題なんだな」

 勝手に納得してくれてます、良かったです。


 薬屋婆さん、生えてる所を知ってたら採って来いって言わないと思ってましたが、無理難題を平気で言う人らしく安易に採って来た事が心配に成ってきました。

 まてまて、そう言えば、薬屋婆さんはオイラが必要な薬草はって聞いたから、上薬草って言っただけで採って来いて一言も言って無い、このまま持ち帰って良いかな?無駄にするのも・・・。



 薬屋に戻り

『婆さん、戻りました』

「諦めて戻って来たのかい」

 ん、諦めて?やはり採ってきては駄目だったんだ、採れなかったことにしようと思ったけど駄目だ左手に持ってるの見られた。

 婆さんの視線は、オイラの左手に注がれてます。


 婆さん、上薬草をオイラから奪い取って見入って。

「本物か!あの谷底以外に有ったのか、いやいやこのサイズは」

 なんかブツブツ言ってますが聞き取れません。

 上薬草、100本採ってきましたが、まずは25本

『25本有るはず、買い取りお願い出来ますか』

 薬屋婆さん、オイラの声が聞こえてないよ。

「あの道の無い谷まで正味1日で往復するのは無理だし、谷底に降りて登るのだって1人では絶対無理だ。でも、これが有ればパン屋の娘が助かる、なんとしても買い取りたいが・・・」

 独り言は続いてます。


 婆さんの言ってる上薬草とオイラが採ってきたのは違う種類かと心配に

『もしかして違う種類でしたか』

 やっと、オイラの声が聞こえたみたい。

「これだ、これで良い、買い取る、買い取るよ」

『良かった』

 婆さん、オイラに目を合わさず。

「買い取りは、中薬草と同だよ」

『え!え~、中薬草と同じ』

 そらされる目、絶対に買い叩かれてるけど生えてる場所山の中の谷底とは言えません。

「採りに行く前に金額交渉しなかった若造が悪いんだよ、このままなら枯れてダメになるだけだろう」

 花瓶に挿て満面の微笑みの婆さん。


 オイラは消沈です。


 今の宿生活でもギリギリ、いやいや足りてない、更に何かしなければ。


 婆さんから、中薬草と上薬草の代金、併せて大銀貨5枚を受け取って、つい『盗賊の隠れ家らしいところを見たんですよ』と言ってしまったら。

 突然、腕を捕まれ、はす向かいの立派な建物へ

『婆さん、そんなに引っ張らないで』


 婆さんは顔が利くらしく、受付嬢さんに。

「爺は居るかい」

 受付嬢さんに、2階の応接室と札の掛かった部屋に通され。

「すぐに、ギルドマスターを呼んで来ますのでソファーに座ってお待ち下さい」

 部屋を出て行きました。


『婆さん、ギルドマスターって此処は』

「商業ギルドだよ」

 案内してくれた人、黒髪、烏の濡れ羽色

『綺麗でしたね』

「一目惚れか」

『黒髪も良いな~綺麗だな~と思っただけです』

「黒髪もって、ヌレガミの黒髪に匹敵する髪の持ち主を知ってるのか」

 先程の人はヌレガミさんって言うのか、烏の濡れ羽色に匹敵、聖女さんが思い浮かび

『金髪の知り合いが居ます』


【わたくしの髪、ユウが綺麗と行ってくれたので日々手入れをしてますのよ】

 聖女さんの声が脳内に木霊しました、今日は聖女さんの声をしたオイラの良心では無く、ただの幻聴のようです。


 部屋の扉が開いたので、雑談は中止。

 婆さんと同じ歳ぐらい?の爺さんが入って来て、向かいのソファーにどっかと腰掛け。

「珍しいな婆さんの方から来るなんて」

「この若造が薬草採取に行て、盗賊の隠れ家らしいのを見たって言うから連れてきた」

「本当か!何人居た!」

 爺さん、両手を机に前のめりです。そんなにムキに成らなくても

『10人ぐらい』

 11人でしたが、ちょっとあやふや風に言ってみました。

「場所は!」

 地図を持ってこられましたが、正味1日で往復できる距離ではないので、薬屋婆さんの前では言えません

『地図上では分からないけど、案内はできると思います』

 地図で見たら盗賊の隠れ家、思った以上に遠い!

「討伐隊を出すので案内を頼む、案内料は小金貨2枚だ」

 薬屋婆さんの前で、隠れ家は遠いとも言えないし、どうすれば良いんだ。そうか、オイラが討伐、退治しちゃえば

『討伐隊って』

「領主さまに頼んで兵を、駄目なら費用を出してもらって人を集める」

 準備に何日掛かるの、居なくなるよ

『頼む、集める、悠長な事言ってると移動しちゃうのでは、案内して居なかったからって文句言わないで下さいよ』

 移動しても、スキル-何でも感知で居場所は分かるんですけどね。


「そうだな・・・」

 爺さん悩んでるな

『なんなら、オイラが退治してきても』

 オイラの発言に驚きが隠せてません。

「出来るのか」

『元兵士ですから、なんとか成るかな』

 たかが兵士1人で11人を相手になんとか成るわけ無いと、言ってるオイラも思っちゃいます。

「なんとか成るとは思えんが」

 ですよね~思いますよね~

 押し切る為に話をすり替え報酬交渉です。

 スキル-何でも感知で荷馬車を確認したら、価値大中の品が沢山あったから

『報酬は盗賊が奪ったお宝を貰うって駄目ですか』

 呆れ顔の爺さん、きょとんとしてる婆さん。

「それで良いのか」

 押し切れたけど、その表情は何・何・何に呆れてるの?

 退治に行くこと?報酬?両方?

 お宝は、元の持ち主に返すって言われて絶対駄目だと思ってた、色々分からないけど、さらに押し切ります

『後で揉めないよう契約書をお願いします』

「どんな契約にしたいんだ」

『お宝、元の持ち主だと名乗り出てきても対応は商業ギルドが仲介しての買い戻し』

 オイラは買い戻し要求の対応したくないし、何より交渉事は苦手、いやいや出来ないです。


 商業ギルドマスターの爺さんはすぐに盗賊退治依頼書を作成、待つこと10分

「達成条件に盗賊の首だぞ、あと、仲介しての買い戻しではなく商業ギルドの買い取りにした」

『見せて下さい』

 報酬蘭が空白、なぜ?

 ただ、盗賊のお宝は正規の鑑定後に商業ギルドが一括買い取りすると注釈欄に記載があります。


 一括って有無を言わさず提示金額で全品を買い取り、他の選択に値上げ交渉も認めずは酷い

『すみません商業ギルドの買い取り、一括では無く合意した品にして下さい、合意に至らなかった品は元の持ち主への返却もしないでお願いします』

 修正後、爺さんとオイラが署名をして。

「立ち会い人欄に婆さん、署名をしてくれ」


「ずいぶんと阿漕な報酬内容の契約、わたしゃ嫌だよ」


「若造の希望なんだ、署名してくれよ婆さん」


「説明責任は棚上げかい、恨むなよ若造」


 あれあれ、そんなに酷い契約内容。

 お宝の量を見て驚くな!

『明日の朝、退治に出ます』

 移動してもスキルで見つけられるので、今日は宿で休ませて。

「無理するなよ、失敗の違約金発生は無い依頼にしたから、それと、街の出入りはどの門を使う」

 違約金って恩着せがましく言うけど、手付け金も報酬金も無いんだから当然だろう。

 怒りが治まらず声の少し低くなり

『東門です』

「盗賊退治成功後、街に入るのは東門を必ず使ってくれ」

 怒りはおさまらず、声を低くしたまま

『なにか有るんですか』

「事前に門の守衛に言っとかないと、盗賊の首に宝を持ってたら怪しまれて街に入れて貰えないだろう」

 確かに、怒りが少しおさまり

『街に入るどころか牢屋入りですね』

「街の入出許可カードを渡しとく」

 商業ギルド発行、街の入出許可カードを受け取り商業ギルドを出て格安宿屋へ。



 宿屋、厨房に居るオヤジさんに

『戻りました』

「お!帰って来たか、初日から帰って来ないから心配したぞ」

 薬草採取に行く前に、帰らない事を伝えればよかった

『すみません』

『明日から数日、こんどは商業ギルドの依頼で戻らないので宿泊を1週間延長お願いします』

「そうか、この街に来た早々に大忙しだな」

 中・上薬草の買い取り代、大銀貨5枚を渡し

『今夜の飯代と明日の朝食代、おまけしてくれませんか』

 稼いだお金が右から左へ、飯代が稼げて無いです。

「そのぐらいなら、まけてやるよ」

 東門の守衛さんと、格安宿屋のオヤジさんは優しい

『ありがとう御座います』

「薬草買い取りは、値切られなかったか」

 上薬草の買い取りを愚痴ります

『薬屋婆さんの薬草買い取り、採ってくる前に交渉しなかったので安く買い叩かれました』

「忠告したんだらか恨むなよ」


 婆さんと爺さんは、要注意だと感じて

『薬屋婆さんと、商業ギルドマスターの爺さんは、有名なんですか』

『東門の守衛さんが、薬屋婆さんが欲しいって言った薬草を採ってきたって言ったら驚かれたんです』

「あの2人、幼馴染の腐れ縁ってやつだ」

「薬屋婆さんは無理難題、商業ギルドマスターの爺さんは守銭奴で有名だ」

 やっぱり、盗賊のお宝一括買い取りって、他には売れない条件を平気で契約書に書く人だから買い取り交渉時は気を付けなきゃ

『そうですか、依頼は吟味して受けるようにします』

「そうしとけ」

 ご飯の前の、汗を流しに

『共有浴場行ってくるので戻ったら晩飯お願いします』



 盗賊のお宝を思いながら

 共有浴場で汗を流し

『あ~、ごくらく、ごくらく』



 格安宿屋1階の食堂で晩飯

 オヤジさんと飯を食べながら薬屋婆さんの上薬草買い取り話の詳細を話したら。

「上薬草を中薬草と同額、若造は上薬草の価値を知ってるか」

 生えてるのが山奥の谷底だったけど沢山生えてたし

『中薬草の倍くらいですよね』

 呆れ顔され。

「そう思っててくれ、母さんは中薬草は幾らで買い取ったんだ」

 倍以上なんですね、母さん?薬屋婆さんは、オヤジさんのお母さん、悪口、ちょっと言っちゃったけど事実だから許して、オヤジさんも、母さんの事を無理難題って言ってたし

『5本1束で、銀貨5枚です』

「は! 大銀貨だよな!」

『銀貨ですよ』

 オヤジさん口があんぐり状態、オイラの肩に右手を乗せて。

「すまんな、安く買い取って高く売るって事はしないはず、たぶんしないはずだ」

 項垂れるオヤジさん、麦のシュワシュワのおかわりも出してくれて。

「おごりだ、明日は弁当作っとく」

 あれあれ、中薬草の買い取り額、呆れる程に安いのかな、相場を聞くのが怖いから聞きません何より弁当は嬉しいです。

『ありがとう御座います』

「実は、薬屋婆さんは母親なんだよ」

『さっき母さんって言っちゃってましたよ』


 その晩は予定通り、宿にお泊まりしました。


----------


 格安宿屋のオヤジさんの独り言


「さすがに、中薬草を銀貨5枚って酷すぎだぜ母さん」


「上薬草、谷底に生えてて10年以上誰も採って来れてないのとは違う種類だよな」


「もし、あの上薬草を銀貨5枚って、詐欺師も驚く悪の所行だぞ」


----------


 薬屋婆さんと商業ギルドマスターの爺さんの会話

「婆さん、若造1人では盗賊退治は無理だろう、なぜ止めなかった」


「ババのせいにするのかい」


「いや、止めなかったのに驚いているんだ」


「爺、領主さまに盗賊退治報酬の準備をお願いしときな、至急だよ」

「東門の守衛にも、盗賊退治依頼を出している事を早く連絡しときな」


「依頼したワシが言うのも変だが必要あるのか、たぶん燐領一帯に被害を出してる盗賊だぞ、さっきの若造が1人では無理だろう」


「薬草採取って何を採ってきたと思う」

「上薬草だよ、1人でだよ、昨日の昼頃に出てってだよ、それも萎れてないんだよ」


「萎れて無い上薬草、10年以上誰も採って来れて無いあれか、それを昨日の昼頃に出て、今、此処に居るって、空でも飛べないと無理だろう」


「10人程度なら盗賊だろうと兵士だろうと退治して来る方が簡単だと思うよ」


「確かに」


「お互い理不尽な契約した事で、周囲から白い目で見られるよ」


「婆さん、どんな契約したんだ」


「中薬草、5本で1束を5束で銀貨5枚だよ」


「いくら婆さんでも大銀貨の間違いだろう」


「いや、銀貨だよ」


「銀貨5枚って相場の中薬草が1/10・上薬草が1/2000ぐらいか?鬼婆だな」


「糞爺には言われたくないよ」

「若造、一括買い取りの詐欺行為に気付いたんだ、違約金なしって言ったときの若造の顔は怖かったぞ」


「怖い顔、なぜだ」


「手付け金に報償金が無いのに違約金発生と言ったら怒るだろう、契約書を破られなくて良かったな」


「すまん親切のつもりで言ったんだ、本当に気付かなかった」


「糞爺は、もうろく糞爺に格上げだな」

「若造、契約内容の指摘が出来るのに、旅人の一般常識の薬草の価格を知らないのは不思議でならない」


「そうだな、盗賊退治の報酬に奪った品をって言ったときは驚いた」


「兎に角、若造が戻ったら違約金の件謝りな」


 街で有名な幼馴染みの鬼婆と、もうろく糞爺の会話でした。


 オイラは、旅人としての一般常識が無いようです。

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