ペニチュアの医学書、、「異世界タイムスリップ」
祖父の遺言で、、書斎の品々は、康夫が譲り受けたのである。
本棚には、昆虫図鑑や植物図鑑がたくさんあったので、、
あの頃を懐かしむかのように本棚を眺めていたら、一番上の隅にある分厚い本が目に入る。
それを手に取ると、表紙には、ペニチュアの医学書と書かれている。
しかし、本なのにページが捲れない、、、
「これって、どうやって開けるのだ?」
康夫は、その本を隅々まで調べてみる。
すると、、鍵穴のようなものを見つけて、、、
康夫は、ペニチュアって、なんだ?
その本の鍵穴に射し込んでみたら、なんと開くではないか!
康夫は、ページを捲ってみたら、、、
あなたの存在価値は、判断力、、
全ての可能な対象領域から対象の無限の群れが、判断の前に拡がっている。
それによって、事態も無数の群れが可能である。
それであるから、可能な事態一般の数は、多重の無限大としてある。
言いたいのは、こういうことであろうという推測にもとづいた物語です。
判断力を一歩間違えれば、、、
だが、それが間違いとは限らない。
康夫は、これを読んで意味がわからない。
そのあと、、頭が朦朧として気を失ったのである。
康夫が目を覚まして、辺りが真っ暗な空間でひんやりとした洞窟のようでもある。
遠くの方にランタンの炎が見えたので、其処へ近づいて行くと、、
アリュウムの花の彫刻を刻まれた、木製の古くさい扉が主張するように存在していた。
すると、、
「 開けますか? 」
背の高い看護師が、そう言って立っていた。
手には、大きな注射器を抱えている。
その薄気味悪い姿を見て、、ボクは言葉を失う、、、 「君の名前は、、、」
「はい、わたしは、メルヴィ・エレンと申します、」
「ボクは、要潤康夫と言います、開けなかったらどうなるの?」
「そうですね、永遠にココから抜け出せなくなりますね、」
「やだぁ、、開けます、」
「それでは、先に採血させていただきます、」
「えっ、採血ってなに?」
「いっぺんにとは言いません、500ccを2回に分けて採血します、」
「それでは、そこに座ってください、康夫様、」
「ちょっと、待って、その大きな注射器で、、」
「大丈夫ですよ、痛くない注射針ですから、」
「それでも、、怖いよ、、」
「それでは、いきます、、」
「ちょっと、ちょっと、腕じゃないの?」
「はい、腕では無理ですので、太股に致します、」
、、、ブスリっ、、ぎゃあー、、、、
康夫の採血が終わると、、第一の扉が軋む音を立てて静かに開いていく。