異世界イオルディア・2 ランシーグ大陸・ジルヴァ王国王都シルヴィール周辺
ハッ
天蓋付きのベッドの傍に美しい女の顔がある。
リューだ。
「起きられましたか? 」
「どうした、まだ夜中だろ? 」
「敵襲です」
「ここら辺の魔物だけならアイツらでどうとでもなると、太鼓判を押していなかったか? 」
「想定外の敵が現れました」
「想定外の敵? 」
「はい、それより急いで戦闘準備をお願いします。王の私室にて戦闘装束を準備しておりますので」
「なんだか解らんが解った、案内してくれ」
「こっちです」
リューが先導してくれる。
「アイツらはどうしている? 」
「今は応戦に出ております」
「ということは、もう交戦中なのか? 」
「敵は未だ少数ですが、斥候に出したフジャの話によると、多数の兵が接近しているようです」
「兵? あの壁から? 城が見つかったのか? 」
「いえ、そうではなく、あの壁へ攻めて来る途中の軍のようです」
「それって……、とばっちりじゃねーか」
「はい、その通りです」
「……なあ、応戦させない方が良かったんじゃねーか? 」
「それはどういう……」
「だってそうだろ、俺たちはアイツらとは関係ないんだからさ、中立だって言ったら攻めてこないんじゃねぇ? 」
「……なにを言うかと思えば、そんなことはありえません。考えても見てください、目の前に攻撃目標があり、そのすぐ手前に立派な城がある。当然敵は攻撃目標と関係があると思い攻めてきますし、抵抗が無いなら占領して前線基地として使います」
「どっちにしても攻められるのか……」
「はい、その通りです、覚悟を決めてとっとと戦闘準備をお願いします」
「とっととって、おまえ、いくらなんでも雑すぎない? 」
「さあ、世迷い言は良いので早くして下さい、さあ、さあ」
「わかった、わかった、そんなに急かすな、焦ってボタンを互い違いにはめてしまっただろ? 」
「現状はあくまで時間稼ぎをしているところです、最大戦力のクズミ様に前線に出ていただかないと、この城はすぐにでも沈みますよ? 」
「威すネー」
「もうっ、いい加減にして下さいっ、私は事実を言っているだけですっ」
寝起きということもあって、俺が戦闘装束をモタモタと着ていると、リューが手伝ってくれて着々と装備されていく。
これで終わりか。
俺は姿見で全身を移す。
武器:戦神の槍・攻撃力+900
頭防具:戦神の兜・防御力+180
主防具:戦神の鎧・防御力+540
腕防具:戦神の篭手・防御力+180
脚防具:戦神の具足・防御力+270
外衣:戦神のマント・防御力+180
装飾品:戦神の象徴・防御力+90
「なんというか、格好良い装備だな」
「戦神シリーズと呼ばれる武器防具一式です。王城の武器庫にある中では最も性能の良い物です。7つの戦神シリーズを集めることで最大+280%ものステータスの上昇率が見込めます」
「へぇー、凄い物なんだね」
「では行きましょうか」
「あれ? 」
「どうなされましたか? 」
「なんだか軽いな、結構重そうなのに」
「王の資質のお陰でしょう、ステータスの上昇値があるはずです」
「ほーん」
リューがオレをジロッと見る。
「な、なんだよ? 」
「真面目にやってくださいっ、今は生きるか死ぬかの瀬戸際なんですよ? 」
「わかった、わかった、で、俺は何をすればいいんだ、最大戦力と言ったからには、俺が前に出て戦わなきゃならないのか? 」
「はい、その通りです」
「なあ、人を殺さなきゃならないのか? 」
「……そうですね、初めての方には酷かもしれませんが、慣れてもらわなければ困ります。人を殺すのを躊躇していれば、あなた自身も、私たちも、皆死んでしまうのです」
「そうは言われても、割り切れねーよ、俺は人を救うために命を落としたんだぜ? 」
「ならここで死んでください、私も、外の者たちも、あなたに殉じて死にましょう」
「うっ、せっかく拾った命、そんなに簡単に諦めたくねーな。解った、……とは言い切れねーが、死なないように頑張ってみるよ」
「……これは、結局は意味の無いことですし、問題の先送りにしかなりませんが、とどめはできるだけ私たちにお任せ下さい、徐々に慣れて行きましょう」
「チッ、結局は慣れるしかないのか……」
「こっちです」
リューが先導する通路を付いて歩く。
正直、入り組んでいてどこをどう歩いたのか解らない。
さっきの寝台に戻れと言われても無理だ。
「ここから外の様子が見えます」
「? 出口ではないのか」
「総大将がいきなり戦うということにはなりません」
じゃあさっきの、なんだったんだよ。
「なあ、話し合いで解決しないのか? 」
「話し合ってどうするのです? 結局は城を明け渡せという話になるだけですよ? 」
チッ、やっぱり無理か。
ここは、バルコニーだな。
さてどうなっているのかな。
結構倒れている兵がいるな。
もう相手の兵を殺しちまっているのか、なら、戦うしかないのか。
デカッ、なんだあれは?
羽が生えていて、空中から地上の兵を攻撃していることから、味方だとは判るが……。
「なあ、リュー。なんだあれ、デカくない? 」
「大きいですね、……おそらく、名付けたことにより、大型化系のスキルを手に入れたのでしょう」
よー解らんが、納得できる理由があるらしい。
ところで、最初に現れた5人には名前を付けた。
兵を使いつぶす気はないからな。
それぞれ、インジャ、フジャ、ミジャ、シジャ、コジャだ。
うん、まあ、名前についてのつっこみは受け付けない。
名前を付けると兵たちは存在進化を果たし、強くなるらしい。
その代わり結構な魔力を持っていかれたがな。
まあ、だから魔力を回復するために寝ていたわけだが。
名前を付けたからか遠目からでも区別できる。
今戦っているデカイのはインジャだな。
インジャの装備している武器や鎧は彼女の大きさに合わせて大きさを変えているようだ。
大型化ってそういうものなのだろうか?
それとも装備に秘密があるのかな。
すこし離れたところにいるのはコジャだな。
逃げようとする兵を押し止める役のようだ。
ミジャは上空に止まっている。
なにやってんの、あいつ?
「あっ」
「ぎゃっ」
「上を警戒しろ」
「矢に気をつけろ」
矢を放っているのか。
フジャとシジャだが、フジャはさっき戻ってきて東の方から軍隊が来ると教えてくれた。
偵察に出ていたようだ。
寝ている途中でリューがなにか言ってきたので、生返事で返した覚えがあるが、フジャが偵察してきたのと関係があるのかもな。
シジャは……、なにをやっているのだろうね。
彼女も鎧姿ではあるのだが……。
最初からこのバルコニーにしゃがんで外を見つめており、両手をゆらゆらと外に向かって動かしているようだ。
夜だから解りにくいが、敵兵がいる地面にもやもやしたものがあり、それが蠢いているような気がする。
何をやっているのか訊こうとしたが、シジャは集中しているようだ。
リューに訊いてみるか?
「なあ、リュー、こいつなにやってんの? 」
「闇魔法を使って、相手の思考と行動を阻害しているようです」
「へー、それもシジャが新たに獲たスキルってやつ? 」
「スキルではありません、魔法ですね。シジャは闇魔法を修得したようです」
「へー」
「なあ、リュー、なんか優勢みたいだな。俺が出なくてもなんとかなるんじゃないか? 」
「はい、そのようです。ですが東から新手が来ているので、そのための準備をお願いします」
「何をすればいいんだ? 」
「兵を増やしましょう、今は手数が足りません」
「どうすればいい? 」
「兵を増やすことを思い描いて下さい」
俺は念じる。
軍勢・黎明班Lv3:5名
兵士・羽女インジャLv15 スキル:大型化Ⅰ、剣術Lv1
ナイトパンサーの巨体(体格値:18)に対抗するために大型化を獲得。
ナイトパンサー撃破で一気にEXPを獲得した。
兵士・羽女フジャLv3 スキル:潜伏Ⅰ、加速Ⅰ
周囲の哨戒や斥候を頼んだようだ。
兵士・羽女ミジャLv9 スキル:回避Ⅰ、弓術Lv1
持たせた矢が足りなかったらしい。
矢を地上へ矢を拾いに行って回避スキルが付いたと思われる。
兵士・羽女シジャLv6 スキル:魔力操作Ⅰ、闇魔法Lv1
最初に不用意に近づいていって怪我をしたらしい。
流れ出る血や痛みと共に魔力の存在を知ったようだ。
夜であることから闇魔法を習得した。
兵士・羽女コジャLv4 スキル:気配察知Ⅰ、妨害Ⅰ
他の支援に徹した結果。
◆軍勢Lv1能力
兵士作成Ⅰ、消費MP10
階級1羽娘・ウイングドーターLv1作成可能
体格値:3
容姿:白髪琥珀瞳、肌は白い。
外見年齢:20代前半の女性。
姿形:恐竜のような皮膜の羽根を持つ。肌と同じ色をしている。
経験値上限:1000
初期装備:なし
スキルスロット・1
武器
兵士の剣Ⅰ・攻撃力+5、剣術スキル派生、消費MP5
防具
兵士の盾Ⅰ・防御力+10、回避率+10%、盾術スキル派生、消費MP20
衣料
間頭衣・防御力+2、奴隷スキル派生、消費MP2
下着
下着上・防御力+1、魅了スキル派生、消費MP25
下着下・防御力+1、魅了スキル派生、消費MP25
鎧下
兵士の短衣・防御力+5、消費MP+5
セット装備
兵士の鎧一式Ⅰ・防御力+20、消費MP20
1兵士の兜Ⅰ・防御力+5、消費MP5
2兵士の鎧Ⅰ・防御力+10、消費MP10
3兵士の篭手Ⅰ・防御力+5、消費MP5
・兵士名付け可能
条件:いつでも
説明:兵士に名前を付けることができる。消費MP発生。
※名前を付けると自我が強くなり、本来会話できない階級でも会話も可能になる。
・兵士格納可能
条件:領土上に兵舎を出現させている。
説明:兵士の状態を保存できる。
※初期状態では王城と兵舎はセットです。
・兵士号令可能
条件:王城を出現させている。
説明:軍勢全体の士気を上げる。
※号令する者が王に近いほど、士気の上昇率が上がります。
◆軍勢Lv2能力
武器
兵士の槍Ⅰ・攻撃力+15、消費MP15
兵士の長剣Ⅰ・攻撃力+20、消費MP20
兵士の杖Ⅰ・攻撃力+5、最大MP+20、消費MP25
防具
兵士のローブⅠ・防御力+8、最大MP+50.消費MP58
鎧下
兵士の長衣Ⅰ・防御力+15、消費MP15
セット装備
兵士装備一式Ⅰフルセットボーナス:Lv+1、消費MP80
1兵士の剣Ⅰ+:攻撃力+15、消費MP15
2兵士の盾Ⅰ:防御力+10、回避率+10%、消費MP20
3兵士の兜Ⅰ:防御力+5、消費MP5
4兵士の鎧Ⅰ+:防御力+20.消費MP20
5兵士の篭手Ⅰ+:防御力+5、攻撃力+5、消費MP10
6兵士の靴Ⅰ:防御力+5、敏捷+5、消費MP10
7兵士の背嚢Ⅰ:5×5、消費MP25
※敏捷が上昇するとHPも上昇する。
※兵士の背嚢Ⅰ:5×5は5種類の物が5個ずつ入る。
スキル取得Ⅰ
条件:兵士がいる。
説明:兵士が所有するコモンスキルをランダムで一つ取得できる。
消費MP100
スキルストックⅠ
条件:スキル取得Ⅰを使用。
説明:取得したコモンスキルをストックできる。
消費MP0
兵士強化Ⅰ
条件:羽娘がいる。
説明:羽娘のレベルを+1上昇させることができる。
効果:対象が経験値1000を獲得。
消費MP10
兵士受け答え可能
条件:兵士がいる。
説明:兵士とコミュニケーションが取れる。
効果:兵士の知識に対する好奇心を刺激する。
消費MP0
◆軍勢Lv3能力
兵士作成Ⅱ・消費MP50
階級2羽女・ウィングレディ作成可能。
体格値:3
容姿:白髪琥珀瞳、肌は白い。やや筋肉質。
性格:軍人気質。
外見年齢:20代前半の女性。
姿形:恐竜のような皮膜の羽根を持つ。肌と同じ色をしている。
経験値上限:1500
初期装備:兵士の鎧一式Ⅰ
スキルスロット・2
武器
兵士の斧Ⅰ:攻撃力+25、消費MP25
兵士の弓Ⅰ:攻撃力+15、消費MP30
兵士の矢Ⅰ:攻撃力+10、消費MP1
兵士の杖Ⅱ旅杖:攻撃力+2、機動力上昇、消費MP32
兵士の剣Ⅲ短剣:攻撃力+5、攻撃回数+1、消費MP150
セット装備
兵士装備一式Ⅱ・フルセットボーナスLv+2、消費MP350
1兵士の槍Ⅱ長槍:攻撃力+45、騎馬特攻、消費MP135
2兵士の盾Ⅱ小盾:防御力+5、回避率+5%、消費MP10
3兵士の兜Ⅱヘルメット:防御力+10、地属性耐性、消費MP30
4兵士の鎧Ⅱ革鎧:防御力+35、消費MP35
5兵士の篭手Ⅱ:防御力+15、攻撃力+15、消費MP30
6兵士の具足Ⅱ:防御力+35、敏捷+5、消費MP40
7兵士の背嚢Ⅱ:10×10、消費MP100
追加装備
兵士の矢筒・兵士の矢1を×50本ストックしている。消費MP50
武器強化+
条件:兵士の武器を所有
説明:王のMPを消費して生み出す兵士の武器の攻撃力を+5上昇させることができる。
消費MP10
スキル売却Ⅰ
条件:スキルを獲得した兵士。
説明:コモンスキルが消滅する代わりに経験値を獲得できる。
効果:経験値1000を獲得できる。
消費MP0
スキンシップ可能
条件:兵士が居る。
説明:兵士とスキンシップが可能。
効果:対象となった兵士の軍内部での評価が上がる。
消費MP0
※スキンシップ可能以前は王が意識しない。
「なあ、「軍勢」のLvが3になっていて、羽娘と羽女をできそうだが、どうする? 」
「今は数を優先しましょう、消費MPの少ない方をお願いします」
そうだよな、戦いは数だよな。
「わかった」
俺は消費MP10の羽娘を1000体作成した。
「そうだ、武器って全員に渡ると思うか? 」
「……無理ですね、フル装備50体分くらいしかありません」
「なら、どうする、敵から奪うか? 」
「……それしかないでしょう、ところでMP残量はどれくらいですか? 」
「MP564だな」
「……思い切りが良いのは長所ですが、考えなしは短所ですよ? 」
「なら長所だな」
「…………」
「話は変わるが、なあリュー、スキルっていうのはどうやったら派生するんだ? 名前を付けなきゃダメなのか? 」
「スキルは特定の行動を取ると派生すると言われていますが、詳細は解りません。自然に派生することもあるようです」
「そう簡単には手に入らないってことか? 」
「うーん、解りません、いつの間にか自然に手に入れていることもあるようです」
「……、ま、いいや。フジャ、東から来ている軍隊は今どういう状態なんだ? 」
「今は野営をしているようです」
「なら夜襲をかけよう、ついでに武器を奪う」
「ま、待って下さい、それでは兵の……、いえ、失礼しました」
「いや、そうだな、折角飛べるんだ、上から物を落としてから襲撃しよう、そっちの方が敵も混乱するだろうからな」
「ふむ、とはいえ、ここは草原の真っ只中、なにかありますか? 」
「そうだな……」
俺は城の中を見渡す。
「あの塔、解体したら、石材が取れるんじゃね? 」
「……王城は魔法で防護されていますから、解体には時間がかかりすぎます。夜明けまでには無理でしょう」
「しゃあねえな、目的地に着くまでに目ぼしい物があったら拾っていけ、なんでもいい、落としゃ、混乱するだろ」
「解りました、それでは……」
「待った。……そうだ、さっきフル装備はと言っていたな」
「はい」
「なら武器だけでもあるだけ配ったらどうだ」
「……解りました」
「後は、そうだな、弓とかあるのか? 」
「ありますが、スキルを持たない羽娘では矢玉を無駄にするだけです」
「そうだとしても牽制にはなるだろ」
「クズミ様、これで全てが決まるわけでは無いのですよ? 後々のことも考えて行動してください」
「そうは言ってもピンチなんだろ? 今出来ることは全部やっておこうぜ。そうだ、最初の5人には200人ずつ率いさせよう。それと……」
俺は消費MP50の羽女を10体作成した。
「こいつら2体ずつを副官として配置しろ」
「……解りました」
「じゃ、俺は寝るから」
「っ、なっ、何故ですか? 」
「いやもうMP64しか残ってないからな、寝たら回復するんだろ? 」
「……………………」
リューの長い沈黙が俺の精神にチクチクくる。
リューの態度を見ていると、リューゼンセルバさんの言っていた、絶対服従とはなんだったのかと考えさせられてしまうな。
あと寝台までの場所が解んねーから、案内を頼まなくてはならないんだが、……た、頼みずれー。
「じゃあ、寝台までの場所が解らねーから、案内してくれるか? 」
「お待ち下さい、兵たちに命を下してください」
「リューじゃだめなのか? 」
「王はあなたです。私が命じるのと、王が直接命じるのでは、兵のモチベーションも変わってくるでしょう」
「そういうもんか、リューの方がまじめだから兵も従いそうなもんだが…」
「では、ここからお願いします」
「敵兵はどうなった」
「完全に無力化されているようです」
「無力化、ということは生きている奴もいるんだな」
「あとで止めを刺しておきます」
「まあ、待て、生きている奴は捕虜に出来ないか? この城に地下牢とかはないのか? 」
「……あります。解りました。ただし、回復の見込みのない致命傷を負った者に関しては始末しておきます」
「そこは任せる。……今思ったんだが、医薬品などの備品は無いのか? 」
「あります。しかし態々使う必要はないでしょう」
「なにがどんだけあるんだ? 」
「目録は念じれば閲覧できます」
「解った」
「待って下さい、まずは兵にお命じになってください」
「……そうだったな」
俺はバルコニーから窓の外を見下ろした。
見渡す草原に1000の羽娘たちが傅いて俺の言葉を待っている。
こうやって見ると壮観だな。
こいつらの所属は黎明なんとかだったよな。
ちゃんと見ておくか。
軍勢Lv3・黎明大隊1025名・班規模5名→分隊規模20名→小隊規模50名→中隊規模150名→大隊規模1000名、集団戦闘勝利、
インジャ隊、兵士長インジャ、副官・羽女2名、隊員・羽娘200名
フジャ隊、兵士長フジャ、副官・羽女2名、隊員・羽娘200名
ミジャ隊、兵士長ミジャ、副官・羽女2名、隊員・羽娘200名
シジャ隊、兵士長シジャ、副官・羽女2名、隊員・羽娘200名
コジャ隊、兵士長コジャ、副官・羽女2名、隊員・羽娘200名
うん、大隊ね。
「黎明大隊よ、我らはこれより東にいる正体不明の軍隊に夜襲をかける。その際、敵に混乱を与えるため、岩でも木でもなんでもいい、上空から落としてから攻撃すること。落とす物は今ここには無いので周辺から見繕ってくれ。それから敵を殺すより物資を奪うことを優先してくれ、できるだけ死なないようにな、あと全軍の指揮はインジャに任せる。インジャが倒れたら、撤退だ。フジャ→ミジャ→シジャ→コジャの順で指揮を取れ。では行け」
羽娘たちは羽ばたいて天を駆ける。
うん、壮観だ。
「良かったのですか、護りを置かないで」
「知らん、後は任せた」
「解りました」
俺は出て行こうとしたが思い直してリューを見た。
「なにか? 」
「寝台の場所まで案内してくれるか? 」
「ハァー、近くに休憩室があるのでそこを使ってください。それから鎧は脱いではいけませんよ? 」
「待て、それでは寛げないだろ? 」
「寛がないで下さい」
「それでちゃんとMPは回復するのだろうな? 」
「さあ、少しは回復すると思いますが……? 」
「そうだ、やることが無くなったら戻って来いよ」
「ええ、そのつもりです。ご安心下さい」
リューが俺に冷たい笑みを浮かべて、俺を休憩室へと先導した。