部活も恋愛も勉強も
私は、須々木真那。17歳。高校3年生。私たちの欄干高校女子サッカー部は現在、約50人の部員がいる。そんな50人の中から私はキャプテンになった。今日は、私がキャプテンになって初めての練習。初日から、50人もいる部員をまとめられるか不安だったけど、そんな不安を吹き飛ばすように親友の真樹が名前を呼んだ。
「真那ー!おはよう。今日からキャプテンやで!真那なら、絶対できるから自信もちや!うちも副キャプテンとして頑張るから。」
この真樹の言葉であんなに不安がっていた私もいつのまにか不安が消え去っていた。
「気合いれて、全国大会目指すで!みんなでがんばろな!」
真樹は強豪校として有名なこの高校に2人で関西から上京してきた仲。真樹はサッカーが上手だった。自分で言うのもあれだけど、真樹には私も実力は負けていなかった。しかし、真樹にはスカウトが6校、それに比べて、私はこの欄干高校1校だけ。真樹は私に合わせてこの高校を選んでくれた。真樹にはもっと強い、全国大会の常連校を選んでほしかった。だから私はこの代に全国大会に行きたい。
今日から3年生。1年生も入ってくる。真樹と2人で学校に行く途中、新1年生のような元気な少年が声をかけてきた。
「すみません。欄干高校ってどこにありますか。」
私たちは2人で顔を見合わせた。だってそれは、私たちが行く高校なのだから。私たちは言った。
「今から、欄干高校に行くけど一緒に行く?」と聞くと彼は言った。笑顔で
「はいっ」と。
一緒に行くことになり、沈黙が続いた。私は、話題を探した。とっさに出てきた言葉が「部活は何に入るん?」すると彼は、
「僕は、この高校でサッカー部に入ろうと思ってるんです。」
私たちは、何て言ったらいいか分からなかった。それは、この高校の男子サッカー部は先月廃部になったばかりだからだ。