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突破口

メインの小説に着手するので、こっちの小説は多少更新速度落ちると思います。


 充嗣とトリは背後の二人を守る様に前進、正面玄関までのルートを駆け出す。途端、わっと警備が湧いて出て来た、数は十人以上。恐らく有事の際に出動する予備人員だろう、全員が拳銃では無くライフルを手に持っていた。


「なんだ、豆鉄砲には飽きたのか?」


 トリが警備を見つけるや否や笑い声を上げる。そしてその場に膝を着くと機関銃ライトマシンガンを突き出し、掃射。鳴り響く金属音と銃声の中、三人の警備が無抵抗で撃ち殺された。壁や絨毯に風穴を空けながら、生き物のように弾丸がうねる。頭部、腹部、肩部、胸部、それぞれに被弾した警備は半ば吹き飛ぶ様にして死骸と成り果てた。そんな仲間の死に際を見た警備は、慌てて曲がり角に身を潜ませる。


「ドヴァ」

「任せろ」


 トリが引き金から指を放し、充嗣がポーチから爆発物― 手榴弾を取り出した。レバーを握って安全ピンを引き抜き、そのまま勢い良く投擲。丁度角の交差部分に落下した手榴弾は、撃針が雷管を叩き、ベストタイミングで爆発した。如何に身を隠していようと、真横からの破片は防げない。数人の警備はその場に伏せ、破片による負傷を逃れたモノの、突然の爆発に目を白黒させた残りの警備は皆ところどころに鉄破片が突き刺さった。


「ほらほら、ぼうっとしてたら死ぬぞ!」


 ソードオフ・ショットガンとpigを両手に、充嗣は警備目掛けて疾走する。辛うじて射撃可能な警備三人が、半ば這い蹲る恰好でライフルの引き金を引いた。NATO弾が強かに充嗣のアーマーを叩き、衝撃が体を揺さぶる。だが決して貫通は許さない、充嗣がソードオフ・ショットガンを突き出し引き金を引くと、ボンッ! という音と共に三十メートル先の警備が吹き飛んだ。その頭部の上半分をべっこりと凹ませ、ライフルを乱射しながら仰向けに転がる。

 

 運よく乱射したライフルの銃口が隣の警備を向き、そのまま横合いからNATO弾の洗礼を浴びた警備が即死する。胴から足元に掛けて何十発もの弾丸が血袋を貫いた。


「ハハハハツ! スゲエなドヴァ! まるで戦車だ!」


 背後からトリの声が響く、充嗣はそのままソードオフ・ショットガンをもう一人の警備に叩き込み、リロード。スラッグ弾の薬莢が銃身を折り曲げると同時にはじき出され、素早く二発の弾丸を込める。

充嗣と警備達の距離は既に潰され、充嗣の目の前には手榴弾の破片によって負傷した警備の悲惨な姿だけが映った。


「このッ、化け物野郎がッ!」


 充嗣が足元で呻く警備にpigを向けた瞬間、曲がり角に潜んでいた若い警備ガードが充嗣目掛けて飛び出してくる。手にはライフル、その銃床を充嗣の顔面目掛けて振り抜いた。ガチン! と音が鳴り響き、目の前で火花が散る。バイザーと銃床が激しくぶつかり、充嗣の首が傾いた。


「か、ってェ!」


 警備がライフルを取り落とし、呻く。その手は小刻みに震えていた、当たり前だ、HERの直撃すら防ぐ対爆防弾スーツなのだから、人間の腕力程度ではどうにもできない。


「勇敢だが、それは蛮勇だ」


 充嗣が声を上げると、目の前の警備がハッと顔を上げる。何か行動を起こす前に、充嗣はその警備目掛けてpigを突き出し、胴体に押し当てた。


「臓物噛み混ぜてやるよ」


 バキン! バキン! バキン! と連続した金属音、pigから吐き出された弾丸が零距離で警備の腹部をぶち抜く。皮膚、筋肉、内臓、骨、全てを悉く粉砕し、警備の体が大きく揺れた。計二十発、胴体に幾つもの穴を空けた警備は数歩後ろに下がり、蒼褪めた表情でごぽりと喀血かっけつする。


「来世はもう少し考えろ、狗」


 呆然とした顔で自分の腹部を眺める警備の顔面に、充嗣はソードオフ・ショットガンを振り上げると同時に撃った。ボゴン! と顎下から撃ち抜かれた警備は、脳髄をぶちまけながら吹き飛ぶ。半ば一回転する様な形で絨毯に突っ込み、ピクリともしなくなった。


「ドヴァ、お前容赦ねェな」

「後先考えない馬鹿は嫌いなんだ」


 別に他意はない。転がった死体を一瞥し、充嗣は呻き転がる瀕死の警備を一人ずつ撃ち殺していく。充嗣の足を掴み、命乞いをする警備も居たが流れ作業の様に充嗣は眉間を撃ち抜いた。


「クリアだ、このままロビーに突っ込もう」


 充嗣が最後の一人を射殺し、そのままロビーへ続く扉に手を掛ける。しかしその手をトリが「待て」と掴んだ。


「? どうした」

「こういうのは、何だっけ、ええと、そう、先手必勝って言うんだろう?」


 トリがマスクの下でニヤリと笑い、ガチンと機関銃ライトマシンガンの弾倉を嵌め込んだ。それを見て充嗣はトリの行動を予見し、黙って引き下がる。トリは充嗣が下がったのを確認すると、その場で両足を大きく開き機関銃ライトマシンガンを腰の辺りに構えた。


「knock! Knock! ってなァ!」


 トリが叫び、茶色い重厚な扉目掛けて無数の弾丸が吐き出される。薄暗い月明りだけが頼りな廊下に眩いマズルフラッシュが絶え間なく光り、今だけは昼間の明るさを取り戻していた。弾丸は扉を貫通し、幾つもの穴を空けた。木片と薬莢が絨毯の上に落ち、大きく削られた扉の向こう側に次々と倒れていく警備ガードの姿が見えた。テーブルを倒して障害物にしていた警備も、そのテーブル諸共撃ち抜かれている。


 待ち伏せでもしていたのだろう、しかし無駄な事だ。

 ドッドッドッ! という採掘にも似た轟音を鳴り響かせ、トリが銃撃を続けながら扉を蹴り破る。その瞬間に充嗣は飛び出し、陰に潜んでいた数人の警備目掛けてpigを連射、階段の上から銃を突き出した警備にソードオフ・ショットガンをぶちかます。


「ゴガッ」


 顔面の右半分に着弾したスラッグ弾は警備を吹き飛ばし、そのまま亡き者にする。充嗣はそのままソードオフ・ショットガンを振り回すと、テーブルに隠れている警備目掛けて引き金を絞った。爆音が鳴り響き、木製のテーブルは粉々に砕ける。向こう側に隠れていた警備は脇腹に強烈な衝撃を受け、そのまま絨毯の上を転がった。


「弱い、弱いッ、弱いッ! おいおいおいおいおいおいおいおい! 何じゃこりゃ、お前等スーパーマーケットの警備員かよ!? 笑えるぜホント!」


 トリが機関銃ライトマシンガンを撃ちまくりながら叫び、近くに居た警備がトリ目掛けて突っ込む。弾丸がトリのマスクとボディアーマーに突き刺さり、「痛ぇなァ!」と激昂。警備が肩からトリにタックルを仕掛けるも、トリは真正面からソレを受け止めた。そして徐に足を振り上げると、不安定な姿勢から超密接回転キック。トリの体がグリンと回り、跳ね上がった右足が警備の側頭部を捉えた。軍隊仕込みのカポエイラ、ジバータ。


「ガッ!?」


 予測できない方向から飛んできた蹴りに、警備は倒れ伏す。その胴体に銃口を突きつけ、トリは叫んだ。


「人が気持ち良くっている時は邪魔しちゃいけねェって、ママに教わらなかったのかァ!?」


 トリが怒声を上げトリガーを引き絞る、何とか逃れようと警備が銃口を掴んだ瞬間、バキン! と薬莢が宙を舞った。一発目を皮切りに銃口が唸りを上げて次々と弾丸を胴体に叩き込む、何度も警備の体が跳ね口から血が噴き出た。凡そ数発で死に至る弾丸を、トリは過剰なまでに撃ち込み続ける。

充嗣は最後の一人をpigで射殺し、マガジンを絨毯の上に落とした。


「トリ、弾丸の無駄だ、そろそろやめた方が良い」

「ぉ? ……おぉう、しまった、撃ち過ぎたぜ」


 我に返ったトリが機関銃ライトマシンガンを警備の胴体から退かし、赤く加熱した銃口に息を吹きかける。充嗣はポーチから最後のマガジンを取り出してpigに装填した、兎にも角にもロビーは制圧した、後は此処を抜けるだけだ。


「畜生、ラストマガジンだ、コイツの弾は強烈だが重くていけねぇ、もっと持ってくりゃ良かった」

「予備は?」

「UZIだ、マガジンは5つ」


 明らかにUZIが屋内用だろうと言いたくなった充嗣だが、まぁ逃走時にそれほど銃を乱射する事態にはならないだろうと口を噤む。BANKERの個性的なクルーと上手く付き合っていくにはツッコミを入れないことが大切だ。


「マルドゥック、こちらドヴァ、ロビー制圧完了」

《オーケー、逃走車両を今から突っ込ませる、残り三分を切った、急げよ!》


 ロビー制圧をマルドゥックに告げると、逃走用の車両がこれから突っ込んでくる事を教えられる。背後を振り向けば、チトゥイリとアジンがロビーに到着した所だった。殿を務めるチトゥイリがM4を断続的に撃ちながら後退する。扉の横の壁に体を滑り込ませると、マガジンを換装しながら彼女は肩を竦めた。


「連中、かなりしつこいわ、五人は撃ち殺したけれど付かず離れず、まるでストーカーね」

「問題無い、すぐに回収車が来る、トリ、後ろの連中を頼めるか?」


 アジンが絵画の固定具を結び直しながら問いかける、トリは機関銃ライトマシンガンのリロードを終えると「任せろ」とサムズアップし、チトゥイリと場所を交代した。


「よし、ドヴァが先陣を切ってくれ、前衛がドヴァ、サポートがチトゥイリ、殿をトリに頼む」

「了解」


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