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純潔のLily ~絆、そしてHydrangea~  作者: サンドリバー
2/12

遠足

さて、新学期も始まってもう一週間になります。みんなある程度新しいクラスにも慣れてきました。私も不特定多数の人と話すようになりましたが、まだ固定グループ内というわけではありません。そんなある日のHRの時間です。


先生 「来週の水曜日、遠足に行くぞ、一班男子3人女子3人の班をこの時間中に作るぞ!」


どうやら、クラスの仲を深めるための行動らしい。


先生 「と、いっても男子と女子は別々に3人グループを作って、後であみだくじで班にするから男子、女子は3人班を作ってくれ!」


そして、自由に話し合う時間が始まった。私はいつも喋ってるクラスメイトのところへと行きました。

ですが、


生徒A 「智佳、ごめん!もう三人決まっちゃったんだ・・・」


智佳 「そっか、ならいいよ。他をあたるから大丈夫だよ」


生徒B 「あ、ごめん、今三人決まっちゃったところなの~」


智佳 「ありゃ、大丈夫大丈夫、他に行くから」


・・・マズイ。完全に複数のグループを渡り歩いているということが多かったので、こういう時に孤立しちゃうやつでした・・・ということで残ってる三人で班ができました。その班のメンバーは


智佳 「えっと、白百合 智佳です、よろしくお願いします」


いぶき 「春菊 いぶき。よろしく」


頬杖を突きながら鋭い視線でこちらを見てきました。うわぁ、なんだか他人を受け付けないって雰囲気・・・そうして、もう一人は初日のツインテールの子でした。


萌愛 「えっと、えっと、さ、桜 萌愛です。よよよ、よろしくお願いしますッ!」


挙動不審なのが目に見えてわかります。おそらく完全的なコミュ障なのでしょう。正直、このメンバーで遠足に行けるのかどうか不安でいっぱいです。不安要素を少しでもなくそうと、日常の萌愛さんといぶきさんの様子を観察していたのですが、


智佳 「うわぁ、萌愛さんは一日中誰とも話さないで帰って行ってるし・・・」


はたまた、いぶきさんの場合は・・・翌日の二時間目の途中


いぶき 「すみません、遅れました」


と、いぶきさんはいつものように遅刻届を先生に出します。


先生 「はい、席についてね」


冷静に考えたら、いぶきさんはいつも遅刻をしていて、中途半端な時間に来ることが多いということに気づきました。残念ながら不安な気持ちは減るどころか加速させ、その不安な気持ちは家にまで持ち込んでしまい、夜、そのことを考えすぎて、あまり眠れませんでした。しかも、よりにもよって明日は体育で持久走・・・


体育の時間


智佳 「ヤバい・・・確実に走ったら倒れる・・・」


そんなこと思っても、寝不足以外に特に体調が悪いわけではないので体育を休むわけにはいきませんでした。

そうして、始まりのホイッスルが鳴り響く

案の定走り終わった後に気持ち悪くなった。


智佳 「すみません・・・保健室に行ってきます。」


先生 「おい!保健委員、白百合を保健室まで連れて行くんだ!」


そうして私は保健委員の人に連れられて保健室へと行きました。ベットに横になるや否や、私はすぐに寝てしまいました。一時間後、チャイムの音により私は目覚めました。今の時間、チャイム音から推測すると、


智佳 「3時間目か・・・そろそろ授業に戻らないと置いて行かれるからいかないとなぁ」


そうして、私は保健室を後にしました。教室に戻ったまではよかったのですが、


4時間目の授業中


体が重い・・・全身に酸素が贈られきっていない感覚に襲われ、自然と呼吸数が増えていることがわかります。これは、過呼吸ですね。やはり一時間での復帰は不味かったか・・・と悔やみながら


智佳 「すみません・・・体調がすぐれないので保健室に行ってきます」


そうして私は再び保健室に向かいました。ですが、保健室に向かう途中、階段を降り切ったあたりです。


智佳 「あれ・・・?頭がボーっと・・・」


次の瞬間、私の視界は暗転しました。その後の意識は完全になくなっていました。

次に目覚めたのは、保健室のベッドの上でした。意識を取り戻してから一つの疑問が浮かびました。

いったい誰が運んでくれたんだろう・・・?

その答えは保健室の先生に聞いたらすぐに解決しました。


智佳 「すみません、今日は本当にお騒がせしました」


保健先生 「無理しちゃダメですよ、白百合さん。運んでくれた春菊さんに感謝しないとね」


智佳 「え、いぶきさんが・・・!?」


最も意外な人物でした。確かに4時間目のときいぶきさんは授業をさぼっていて、教室にいませんでした。たまたま倒れた私を見つけて運んでくれたのでしょうか。なんにしろお礼を言わないとね!放課後、帰ろうとするいぶきさんを見つけて、


智佳 「ちょっとまって!いぶきさん!」


いぶき 「何?」


智佳 「もう!わかってるでしょ?今日、私を運んでくれたのいぶきさんなんでしょ?ありがとうね!」


そういうと、いぶきさんはそっぽを向いて


いぶき 「あたしは、別に」


智佳 「本当は優しいんでしょ?いぶきさん!・・・ううん、いぶき!」


いぶき 「・・・次からは気をつけなよ」


そういうといぶきはピッと手を振り、帰っていきました。これなら、いぶきともわかり合えそうだ!


そして、遠足当日


智佳 「あ、いぶき!おはよう!」


そういうと、いぶきは軽く手を振りました。その直後、


萌愛 「すみません!遅れました!」


智佳 「まだバスが来てないから大丈夫だよ!」


萌愛 「皆さんがもう来てるのに・・・はうぅ・・・すみません」


そういうとぺこぺこと下げます。そして、萌愛さんは私たちに手を差し伸べて、


萌愛 「色々と足を引っ張ると思いますが、今日はよろしくお願いします!白百合さん、春菊さん」


智佳 「うん!よろしくね、萌愛さん」


私はすぐに手を握り返しましたが、


いぶき 「・・・・・・」


いぶきはそっぽを向いてしまいました。


萌愛 「わたし、何か変なことでもしたのでしょうか・・・」


智佳 「う~ん・・・恥ずかしがってるだけだと思うんだけどなぁ」


萌愛 「なんだかちょっと殺気を感じたような・・・」


智佳 「気のせいだよ、きっと」


そうして、なんだかギクシャクしたまま私たちはバスに乗り、遠足へと向かいました。その場所は歴史的町並みが有名らしいです。町に着くと、同じ班の男子達が、何故か関わろうとしてくるのです。好感度上げて彼女でも欲しいのでしょうか・・・ですが、残念ながらこの班は曲者だらけの女の子だらけです。


例えば、いぶきの場合


男子 「なぁ、春菊ってよく遅刻してるけど何してんだ?」


いぶき 「・・・・・・」


無言で立ち去ってしまいました。


萌愛さんの場合


男子 「そのツインテールかわいいね」


萌愛 「あ・・・えっと・・・」


そして、瞬時に私の後ろに隠れてしまいました。そして、私たちだけで進もうとすると、


智佳 「えっと・・・」


いぶき 「・・・・・・」


萌愛 「・・・・・・」


二人は私を挟んで両隣に陣取っています。


智佳 「いぶき・・・た、楽しいね」


いぶき 「あたしは来なくてもよかったんだけどね」


智佳 「・・・まぁ、そういう考え方もあるよね」


今度は萌愛さんに話をしてしみます。ですが、なんだか挙動がちょっとおかしいようです。


智佳 「萌愛さん、どうかした?」


萌愛 「だ、大丈夫です、何でもありません」


ですが、明らかに図星を突かれたような顔をしています。


智佳 「話せることなら、話してほしいな」


萌愛 「ですが、迷惑になりませんか?」


智佳 「萌愛さんに何かあるほうが心配だよ。私たち、もう同じクラスメイトなんだから!」


萌愛 「はい・・・実は、さっきから財布がないんです・・・来る時まではあったんだけどなぁ・・・どこかに落としてしまったようです」


智佳 「そうなの?もっと早く言ってよ!」


萌愛 「中身も少ししか入ってないのでいいかなって・・・」


智佳 「よくないよ!探さなきゃ!」


そうして、私はいぶきのほうを見ると、


智佳 「いぶきも探すの手伝ってくれるよね?」


いぶき 「・・・」


返事はありませんでしたが、探してくれると信じています。


萌愛 「う~ん・・・この店で買い物した時まではあったんだけどなぁ・・・」


智佳 「じゃあこのあたりに落ちてるんじゃないの?」


そうして私たちはこのあたりを捜索し始めました。すると、その直後にいぶきが、


いぶき 「見つけた」


智佳 「すごい!いぶき!どうしてわかったの?」


いぶき 「桜 萌愛は財布を左のポケットに入れていた。そして、この店で買い物をして買ったものは小物だったそれを左のポケットに始めに入れ、その上にいつもの癖で左のポケットに財布を入れていた。そして歩くときに落ちた、と考えたから」


いぶきって、案外人間観察してるんだぁ、と思い、その推理力がすごいと思って、


智佳 「萌愛さん、よかったね!」


萌愛 「はい!春菊さん!ありがとうございました!」


いぶき 「・・・」


そんなこんなでアクシデントはあったものの、三人は前よりも仲良くなれたかな?と思い、遠足は終わりを迎えました。

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