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純潔のLily ~絆、そしてHydrangea~  作者: サンドリバー
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絆、そしてHydrangea

智佳 「はぁ・・・」


あの出来事があってから、津由との思い出は完全に蘇り、心のもやもやも消え去っていました。だけど、津由が消えてしまったことの虚無感はどうすることもできずに、ただぼんやりとして残りの二年生、三ヶ月を過ごしていきました。その虚無感のせいで、ただでさえすぎるのが早い三学期を余計に早めてしまった感がありました。津由と一緒にいたあの日々が濃かったから余計にそう感じたんだと思います。でも、あんまり引きずっていると、消えてしまった津由にも申し訳ないと思い、徐々に津由のいない生活へと慣れていこうと努力をしていきました。そして3月頃には自分でも吹っ切れたな、と思っていました。

そんな中、ある出来事が起こりました。それは、4月のクラス分けの時のこと。新しいクラスではいぶきも萌愛さんも別々のクラスになり、新しいクラスでは仲の良い人はいませんでした。


智佳 「また始めっから友達作らないとな・・・」


などと心配しながら廊下を歩いていたら、先生に呼び止められました。


先生 「白百合さん。ちょっといい?」


智佳 「はい?」


そこで、私のクラスに机と椅子が一つづつ足りないということで、教室まで持って行って欲しいと頼まれました。私は別に用事もなかったので引き受けました。そうして、教室に机を運び込もうとし、引き戸を開けて中を見た時に一人の少女が窓際の前列の席に座っていました。その少女は空色の髪で長さは肩ほどまでありました。そして左腕にはきれいなエメラルドグリーン色の宝石をつけていました。私は自分の目が信じられなく、言葉を発することができませんでした。そんな私に気づいた少女は、照れくさそうに微笑みながら。


「ただいま」


と一言だけ発し、私に抱きついてきました。、その瞬間、色々な感情がひしめき合い、涙を堪えることができませんでした。私は泣きながらその少女を抱き締め返し、何と言ったらいいのか迷いましたが、この一言に決めて言いました。


「おかえり」


―――――――――――――――――――――――――


出会いの時に拗れたり、隠し事でスレ違い、喧嘩も色々したけれど、毎回仲直りをし、離れ離れになっても、思い出すことを不可能としても、仲良くなりたい一心や、絆によって不可能を可能としてきた。喧嘩するほど仲がいいとよく言う。それはきっと喧嘩をすることで、お互いの内面をよく知ることができ、喧嘩をしても絆でつながってるからこそ崩壊しないで一緒にいるのだ。それほど友の絆は深く、丈夫なのだ。紫陽花の花言葉は絆。そして、紫陽花は周囲の環境によって色や模様を変えられていくのだ。きっと津由も智佳と出会ってなければ、このような感情も抱くことなく過ごしていたに違いない。津由は智佳に不可能を可能とし、智佳は津由に人としての楽しさを伝えた。これこそ、最高の絆により、築きあげられた奇跡なのではないだろうか。


―――――――――――――――――――――――――


数分後、ようやく落ち着いたのでとりあえず一番の疑問を聞いてみました。


智佳 「ところで、なんで戻ってこれたの?」


津由 「それはね、クリスマスの日を覚えてる?」


智佳 「あ~、あの津由と会えた唯一の日?」


津由 「そうそう。その日はね、精霊の最重要試験だったの。筆記は合格できてたんだけど、実技の精霊力の制御でちょっと苦戦しててね。そのときにこっちに残ってた智佳の宝石の精霊力を使わせてもらったの」


智佳 「だから色がなくなったんだ!」


津由 「そう!そのおかげで実技も合格して、晴れて人間界に戻ってこれたの!」


戻ってこれた理由はわかりましたが、まだまだ疑問はあります。


智佳 「と言うか、あの爆発でよく無事だったね」


津由 「ううん。半分死んでたよ。だからクリスマスの日まで球体に羽の生えた単純な精霊の姿しか取れなかったの。だからこれからは、リハビリも兼ねてこっちにきたの!」


そう言いながら私の腕にもたれかかって、


津由 「今度は私が支えてもらう番だね」


智佳 「わかった!もう無理はしないでね」


こうして私たちは笑って過ごしました。心から笑顔になったのは半年ぶりくらいです。


二人で、新たな一歩を踏み出すんだ!



~絆、そしてHydrangea~完~

またまた長い間見ていただきありがとうございました。


ほほえみとCherry Blossomsからだと半年も書いていました(笑)


もはや原動力はキャラへの愛と百合の見たさと見て頂いてるアクセス数くらいですね(笑)


次回は少し間隔が開くとは思いますが、今後ともよろしくお願いします!

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