596日目の告白。
昨日の夜、テレビを三人で見て、寝た。私は私の部屋で。睦は隣の自分の部屋で。夜の十時ごろ仲良く帰って来た親もいつも通り。〝お客様〟は、どこだっけ。ああ、私の部屋の私のベッド。私は床に布団を敷いた。
だよね。でも、私が今寝ているのは、ベッド。どうしてだろう。……もう、すでに、泣きたい気分だ。
何気なく、起き上がってみる。床の布団はきれいに畳まれて、端に寄せてある。ふと手元に視線を落とすと、左手の薬指に……いや、見間違いか?
「……あ、皐さん。おはようございます」
そのときだ。ドアを開けて入ってきた声に、反射的に振り返った。目を細めて、微笑っている。なぜかものすごく緊張して、両拳をぎゅっと握った。
左手を確認。ある。薬指に、指輪が。
すると突然、後ろから抱かれた。包み込まれたような感覚。
「……!」
「それ。夢で、見なかった?」
そうっと私の上半身を支える者の顔を見る。真面目な顔で、じっとこちらを見つめていた。目線を手に戻した。
「……見た、かも」
「……結婚、しよう」
ああ、神様。私ばかりこんなに幸せでいいのでしょうか。
ちょっと安っぽいような、でも、学生が買ったとするならかなり奮発しないと買えないような、素敵なリング。どういうわけか、サイズはぴったり。傷ひとつない、きれいな白銀色を見つめ、自分を包み込んでくれる彼の手を、胸の前でぎゅっと握りしめた。
「……うん」




